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ハウスメーカーが倒産したら保証はどうなる? 法律で守られる部分・守られない部分

新聞を読む

2026年9月、大手ハウスメーカーの一戸建て事業の再編、いわゆる撤退のニュースが大きく報じられました。当ブログでもこの話題に触れたところ、たくさんの反響をいただきました。

 

「もし建てた会社が倒産したら、保証はどうなるの?」「撤退した地域の施主さんはどうなるの?」。そんな不安を感じた方も多いのではないでしょうか。

 

実は、住宅の保証には「会社がなくなっても法律で守られる部分」と「会社があってこそ成り立つ部分」がはっきり分かれています。ここを区別できると、ニュースに必要以上に振り回されずにすみます。

 

この記事では、ハウスメーカーが倒産・撤退した場合に保証がどうなるのかを、法律の仕組みから分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

 

◆こんな方のために書いています
⇒大手メーカーの撤退報道を見て、保証やアフターが不安になった方
⇒これからハウスメーカーと契約する予定で、万一に備えたい方

 

◆この記事を読むとわかること
⇒倒産しても法律で守られる保証の範囲(引き渡しから10年)
⇒会社ありきで成り立つ保証と、プレハブ住宅ならではのリフォームの注意点

 

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ハウスメーカーが倒産しても法律で守られる部分

住宅保険

引き渡しから10年は「保険」か「供託」で守られる

まず、いちばん大事な結論からお伝えします。新築住宅は、建てた会社が倒産しても、引き渡しから10年間は法律の仕組みで守られています

 

根拠になるのは2つの法律です。1つは品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)。新築住宅の売主・請負人は、構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁など)と雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁など)について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任(瑕疵=欠陥があったら無償で直す責任)を負うと定められています。

 

もう1つが住宅瑕疵担保履行法です。「直す責任があっても、会社が倒産していたら直してもらえないのでは?」という問題に備えて、2009年10月以降に引き渡される新築住宅では、事業者に「保険への加入」か「保証金の供託」が義務付けられています

 

保険に加入している住宅なら、会社が倒産して補修が受けられない場合、施主が保険法人(国土交通大臣指定の保険会社のような機関)に補修費用を直接請求できます。保険金の上限は2,000万円以上と定められており、補修費のほか調査費用や仮住まいの費用なども対象になります。

 

2009年10月以降の新築住宅は、会社が倒産しても10年間は保険・供託の仕組みで補修費用が守られます。

 

守られるのは「構造」と「雨水」の10年間

ただし、この法律の守備範囲には限りがあります。対象になるのは「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」だけ、期間は引き渡しから10年間だけです。

 

つまり、キッチンや給湯器などの設備の故障、内装の不具合は対象外ですし、引き渡しから10年を過ぎた家は、この仕組みの対象からも外れます。築15年で雨漏りが見つかっても、法律の保険から補修費用が出るわけではありません。

 

自分の家がどの保険法人の保険に入っているかは、契約時・引き渡し時にもらう書類(保険付保証明書など)で確認できます。どこにしまったか分からない、、、という方は、この機会に探しておくことをおすすめします。

 

法律で守られるのは「構造と雨水の10年間」まで。それ以外は次に説明する“会社ありき”の保証です。

 

会社があってこその部分 独自の長期保証とアフターサービス

大手ハウスメーカーの多くは、法律の10年を超える「初期保証30年」「最長60年保証」といった独自の長期保証を掲げています。この仕組みの詳しい比較は別の記事に譲りますが、共通するのは、定期点検や有償メンテナンス工事を条件に保証を延長していく形だということです。

 

ここで冷静に考えたいのは、この独自保証はあくまで会社と施主の契約上の約束であって、法律が守ってくれるものではないという点です。約束を果たす会社が存在しなくなれば、延長保証も定期点検も、実行してくれる相手がいなくなってしまいます

 

倒産は極端な例だとしても、事業の縮小や体制の変更で、点検やアフターの窓口が変わったり、対応まで時間がかかるようになったりする可能性は、どの会社にもゼロではありません。「大手だから60年安心」と考えるのではなく、長期保証は会社の存続が前提の約束だと理解しておくことが大切です。

 

「最長60年保証」などの独自保証は契約上の約束であり、会社が続いていることが大前提です。

 

倒産ではなく「撤退」ならどうなる? 2026年9月のニュースから

冒頭のニュースに戻ります。報道によると、大和ハウス工業は2026年9月、新築一戸建て部門を再編し、23道県から撤退して東京・大阪など都市圏中心の体制に移行すると発表しました。撤退地域での注文住宅の営業は2026年9月末まで、分譲住宅は2027年3月末までとされています(共同通信の報道より。2026年9月時点)。

 

会社の公式発表では、2027年4月に戸建住宅ストック事業の新会社を設立し、既存のオーナーへのアフターサービスはその新会社が引き続き全国で提供するとされています。撤退イコール保証やアフターの打ち切り、ではありません。ここは正確に押さえておきたいところです。

 

一方で、読者の方からは「新築部門がなくなった地域で、これまでと同じ体制の点検やメンテナンスを受け続けられるのか」という不安の声もいただきました。営業拠点が遠くなれば、対応のスピード感や担当者との距離感が変わる可能性は否定できません。このあたりは、今後の実際の運用を見ていくしかないというのが正直なところです。

 

大手ハウスメーカーの強みは“ブランド力”と“保証体制”だと言われてきました。今回の出来事は、その保証体制ですら事業環境しだいで形が変わり得るのだと、業界に身を置く者として考えさせられるニュースでした。

 

撤退の場合、会社は存続するため保証・アフターは制度上続きます。ただし体制がどう変わるかは今後の運用しだいです。

 

構造リフォームを他社に頼みにくい クローズド工法と型式適合認定

工法図解

 

もう1つ、今回の反響で多くの方に知っていただきたいと感じたテーマがあります。それは、大手メーカーのプレハブ住宅(工場生産の部材で建てる工業化住宅)の多くが、「クローズド工法」と呼ばれる、そのメーカー独自の非公開の工法で建てられていることです。

 

こうした住宅の多くは「型式適合認定」という制度を使っています。型式適合認定とは、建築基準法に基づき、メーカーの標準設計(型式)が構造や防火などの基準に適合していることを、国があらかじめ審査・認定しておく制度です。同じ仕様の家を大量に建てるプレハブ住宅に向いた、合理的な仕組みです。

 

ただ、この仕組みには裏側があります。型式の詳細な設計情報は認定を受けたメーカーが持っているため、他社では構造の検討や必要な手続きができず、躯体(建物の骨組み)に関わる増改築・リフォームを、建てたメーカー以外が請け負うのは難しい場合が多いと指摘されています。検査機関にお勤めの読者の方からも、認定を持つ会社以外が躯体を触ると認定の前提が崩れてしまうため、基本的に他社は構造部分に手を出せない、という趣旨のご指摘をいただきました。

 

つまり、クローズド工法の家は、将来の間取り変更や増築まで含めて、建てたメーカーと長く付き合い続けることが前提の家だと言えます。それ自体が悪いわけではありませんが、会社の撤退や倒産があった場合に、代わりを探しにくいという弱点があることは、契約前に知っておくべきだと思います。在来工法(昔ながらの柱と梁で建てるオープンな工法)の家であれば、図面と現況が分かれば地域の工務店でも構造リフォームに対応しやすいのとは対照的です。

 

クローズド工法・型式適合認定の家は、躯体に関わるリフォームを建てたメーカー以外に頼みにくいという特徴があります。

 

これから建てる方・すでに建てた方ができる自衛策

 

では、私たちにできる自衛策は何でしょうか。これから建てる方なら、契約前に「工法はオープンかクローズドか」「万一御社に何かあった場合、構造のリフォームは他社でもできますか」と率直に質問してみることです。あわせて、瑕疵保険の保険法人名と証明書の受け取り時期も確認しておきましょう。

 

すでに建てた方は、まず書類の整理をおすすめします。保証書、保険付保証明書、図面(できれば構造が分かるもの)、点検・工事の記録。これらは会社に何かあったときに、自分の家を守る手がかりになる大切な資料です。10年後・20年後の自分のために、1つのファイルにまとめておくと安心です。

 

そして、倒産や撤退のニュースが出ても、慌てて契約や解約の判断をしないこと。ここまで見てきたとおり、法律で守られる部分は会社の状況に関係なく残りますし、撤退の場合はアフター体制の発表内容を確認するのが先です。不安なときは、住まいるダイヤル(国土交通大臣指定の住宅相談窓口)のような公的な相談先もあります。

 

書類の保管と契約前の質問が、いちばん確実な自衛策です。ニュースに慌てず、まず事実を確認しましょう。

 

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まとめ

ハウスメーカーが倒産しても、2009年10月以降に引き渡された新築住宅なら、構造と雨水に関する重大な不具合は、引き渡しから10年間、保険・供託の仕組みで守られます。一方、「最長60年保証」のような独自の長期保証やアフターサービスは、会社が続いていることが前提の約束です。

 

さらに、クローズド工法・型式適合認定の住宅には、躯体に関わるリフォームを他社に頼みにくいという構造的な事情があります。保証の言葉だけでなく、「この会社と何十年付き合うことになるのか」「万一のとき代わりがきくのか」という視点で会社選びをすることが、後悔しない家づくりにつながります。

 

家は建てて終わりではなく、暮らしながら守っていくものです。会社の看板の大きさではなく、10年後・20年後も自分の家に責任を持ってくれる相手かどうか。そこを見極めて、家族が長く安心して暮らせる住まいづくりを目指しましょう。

 

なお、本記事の報道内容・制度・各社の発表はいずれも2026年9月時点の情報です。今後変わる可能性がありますので、最新の情報は国土交通省や各社の公式発表でご確認ください。

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