名古屋の工務店として注文住宅の相談は体感型モデルハウスがある丸協。名古屋のスノーピーク代理店として心地よさとスノーピークの遊び心を併せ持つ提案をしています。 

小縣が語る。エンズホームが大事にしていること。

2012年にスタートしたエンズホーム。この10余年の間に、コロナ禍や、資材価格高騰、法改正など外部環境が大きく変化していく時代を歩んできました。そして2026年4月に新たなコンセプトを凝縮したモデルハウス「コアハウス」がオープンしました。

エンズホームのこれまでのことや、大事にしている考え方、これからのことをライターによるインタビュー形式で代表の小縣が詳しくお話しします。

長期的な耐久性・メンテナンス性を重視。

―はじめに小縣さんが家づくりで大切にしている考え方を教えて頂けますか?

つくり手都合の家を押し付けないことですね。

いろんな会社さんがある中で、さもお客さんのメリットのように話すけど、実際には自社にとっての利益率とか扱いやすさとか、自社都合でしかないことって多いと思っています。

そうじゃなくて、お客さんが長く使えるとか、お客さんのニーズに合っているものを正直に伝えていくことを大事にしています。

―特に「長く使える」ことを小縣さんは大事にしている印象があります。

そうですね、耐久性の高さやメンテナンスのしやすさは重視していることです。

お客さんが消耗品だと分かって買うものはいいんですよ。例えば100円ショップで購入したものを「10年使い倒そう!」という人はあまりいないですよね。
でも、家はそうではない。

家は「長く持つことが当たり前」という感覚がある中で、実はあまり長持ちしなかったとか、長持ちさせるためにお金がたくさん掛かるというのは避けたいことです。

もちろん、お客さんがはじめから寿命が短いことや、メンテナンスコストが高くつくことを分かった上で選ぶならいいんです。

でも「この設備いいですよ」と住宅会社から薦められて入れたものが、メンテナンスに時間もお金も掛かることを住んでから知るというのは避けなければなりません。

例えばガスの床暖房を入れた方から、「うちはプロパンガスなので、使ってみたらガス代が月4~5万円しました。もう怖くて使えません」という声を聞きます。お客さんが事前に知っていたら選ばなかったと思うんですね。お客さんがその家を長く使うためにはある程度細かいところまで理解している必要があります。

素材の選び方もそうですね。お客さんは写真を見て「きれい・かわいい・かっこいい」ものを選ぶ傾向にありますが、写真だけでは分からない耐久性・メンテナンス性が優れた素材を僕らが選定してお伝えする必要があると考えています。

―長期的な耐久性・メンテナンス性といった、事例写真では分かりにくい部分を丁寧に教えることを大事にしているんですね。

教えるというよりは「一緒の価値観を共有していきましょう」という姿勢ですね。その中でお客さんが知らないデメリットについて説明をしていくことは多いです。

対話をしながらお客さんの真のニーズを見つけ出す。

―「お客さんのニーズに合っているものを伝えていく」というのは、具体的にどういうことですか?

どんな家にしたいかを書き出してもらったりヒアリングをしたりする中で矛盾が出てくることがあるんですね。例えば「落ち着いたリビングがいい」という一方で「リビングに吹き抜けが欲しい」という感じです。吹き抜けは落ち着くというよりは開放的な気持ちになるので意味合いが違うんですね。

そこで質問を重ねながら、お客さんと一緒に優先順位をつけて要望を整理していきます。そうすると、本当に大事なことが絞られていきますので、そのニーズに合ったものをご提案するという感じです。

また、仮に結果が同じになるとしても、短期間の打ち合わせですべてを決めるのではなく、何カ月もかけて打ち合わせをして、家づくりの課程を楽しんで頂くことも大事にしています。

余計なお世話と思われることもあるかもしれませんが、じっくり悩みながら進めていった家の方が満足度が高いと思うからです。

縁が広がっていくことを願う。

―ところで「エンズホーム」という名前にはどういう意味が込められているんですか?

エンズホームは「縁が広がっていくように」という願いを込めて付けた名前です。元々は1951年創業の株式会社丸協の小牧支店として2011年に開設したのですが、その後、エンズホームという完全に独立したブランドとして小牧市を拠点に家づくりを行っています。

ちなみに2015年から2024年まではオフィスに併設する形でスノーピークのアーバンアウトドアショップ「O’s(エンズ)」も運営していて、キャンプ道具の販売やキャンプイベントなども行っていました。

*キャンプイベントの画像を入れたいです。

―エンズホームを立ち上げた当初は知名度がない状態だったと思います。当時苦労したことはありますか?

特に苦労は感じていなかったですね。
クオホームの本田くんという先生からいろいろと勉強させてもらって、メルマガを始めたりしていて、「集客はきちんとやれば成果が出るんだな」と手応えを感じていた時期でした。


本田さんとのツーショット写真を入れたいです。

エンズホームを立ち上げて1年が経つ頃には見学会も定着してきて、名前も知られるようになっていきましたね。
メルマガを見てくださっている方は、既に僕の価値観や考え方をよく知っています。だから初めて会う時には既に距離が縮まっていて、お話ししていて共感が生まれやすいと感じています。

新住協と出会い、高断熱高気密化にシフト。

―ここからは、家づくりの考え方についてより具体的な話を伺いたいと思います。エンズホームさんが力を入れていることの一つに断熱性能・気密性能がありますが、そのあたりの考え方を聞かせていただけますか?

本格的に高気密高断熱住宅をつくり始めたのは2015年頃でした。当時から懇意にしていたダイシンビルドの清水さんの薦めで新住協(一般社団法人 新木造住宅技術研究協議会)に入会したんです。

※ダイシンビルド清水さんと小縣さんのツーショット写真を入れたいです

初めて参加した勉強会では、懇親会、二次会、三次会に進んでもみんなが建築・断熱の話をしていることに驚かされました。最初はまじめ過ぎる雰囲気に抵抗を感じたりもしたのですが、同時に「すごいな…」と思い、本格的に高気密高断熱住宅の勉強を始めました。

そこで学んだ知見を生かして建て始めた最初の住宅の工事を冬に行っていて、ちょうど断熱材の充填が終わった現場に入ると、大工さんがいつもよりも薄着だったんですね。< br>
大工さんに聞くと「動いていると暑い」というんです。その時に「断熱を徹底的に行うとここまで違いが出るのか!」と実感しましたし、完成するとその暖かさにさらに驚かされました。当時の断熱性能はUA値0.5くらい。HEAT20G1グレードくらいでしたね。

今はUA値0.30前後。HEAT20G2グレードを標準的な性能にしています。
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―気密性能についてはどうでしょうか?

当時は「C値1.0を切っていればいいよね」と考えていましたが、目標としては0.7を目指すことにして、その気持ちを現場で共有するために「C値0.7」とプリントしたTシャツをつくって現場の職人さんたちに配ったんですね。

※C値0.7Tシャツの画像があれば入れたいです

そうしたらC値0.5という数値が出たんです。大工さんたちは徹底した気密施工に「面倒くさい」と言いながらもいい数字が出たことでステップアップしたことを実感し、やりがいを感じていました。「気密測定って自分たちの通知表みたいで面白い」と言って、今はC値0.3前後くらいが平均的な数値になっています。

―新住協に入ったことで自社の家づくりは少なからぬ影響を受けましたか?

大きく変わりましたね。建物に対してよりまじめに向き合うようになりました。それ以前は不動産屋的な感覚でしたが、ものづくりの建築屋の感覚に変わりました。

許容応力度計算による耐震等級3は当たり前のこと。

―耐震性能についてはどのように考えていますか?

うちは許容応力度計算で耐震等級3をクリアした家づくりをしていますが、あえて言う必要がないくらい当たり前であるべきことだと思っています。

最低限の基準である耐震等級1と最高等級3では掛かる費用は変わってきますが、安全・安心であることの価値の方が高いですし、それは前提条件と言っていいくらい僕にとっては当たり前のこと。予算が限られている場合、高価な海外製食洗機やソファではなく、耐震性能を確保することの方が重要だと考えています。

4号特例も縮小され、住宅がスクラップ&ビルドではなくストック化していく時代に入っています。その中で、より壊れにくいものを建てるべきだと思います。

雨漏りリスクが少ない軒のある住まいを推奨。

―より壊れにくく、より長持ちする。この考え方は特に大切にしているところですよね。冒頭でもお話し頂きましたが、改めて耐久性について具体的なお話を聞かせて頂けますか?

先程も話しましたが、最初は良くても後で手こずるような設備や仕様は避けたいと思っています。素材が経年変化していくにしても「こんなはずじゃなかったよね」という変化をするものは避けたい。

例えば無垢材がだんだんと飴色に変わっていくのはいいと思うんです。一緒に年をとっていくのを楽しめると思うから。

一方、無垢材風のシートが張られている場合は、表面がカピカピになって割れて、基材に使われている別の素材が見えてくることがあります。それは補修のしようがありません。

お客さんがわかっていて選ぶ分にはいいですが、知らずに選んでいるケースが多いと思いますし、それはすごく残念なことです。

あとは、お客さんが自分で交換できるものや、自分で交換できる場所が多いことも大事なポイントだと思っています。

―軒をしっかり出す家をつくられていることが多いと思いますが、そこも耐久性を考慮しているからこそでしょうか?

はい、やはり軒はあった方が雨漏りのリスクも少なくなりますし、夏場の日射遮蔽もしやすくなります。窓の上に小庇があれば、フックを付けてタープを張ることもできます。

もちろん住宅密集地で隣家との距離が十分取れない場合は「軒ゼロ」にすることがありますので、場所や場合によりけりです。その際の防水処理には細心の注意を払います。

外壁材については、ガルバリウム鋼板、杉、焼杉、塗り壁、ソリドなど、耐久性の観点で使用する素材はある程度絞るようにしています。特に塗り壁の中では「そとん壁」が劣化しにくくお薦めしている材料です。

風景に溶け込む、控えめな佇まいを目指す。

―ちなみに外観は切妻屋根の建物が多い印象です。どんなことにこだわっていますか?

「あそこの家、新築したね」と言われないような、昔からそこにあったかのようになじむ外観を提案することが多いですね。例えば、このコアハウスもこの場所の雰囲気に合っていると思うんですよ。

逆に、ここでキューブ型の建物や、片流れ屋根の3階建てがあったら浮くと思います。

その地域になじむというか、違和感がないというか、目立たない転校生のようなイメージで外観を考えています。

佇まいでいうと、先程の軒を出すという話もそうですし、あまり縦長にならないように全体の高さを落とすようにしています。

このコアハウスの2階を見て頂くと分かりやすいと思います。普通は2階の一番端でも天井高は2,400mm取りますが、そうすると外から見た時にすごく縦長に見えてしまうんです。それで、コアハウスの2階の端の天井高は1,800mmにしています。

高さを抑えると内部の気積(室内の空間の総量)も小さくなるので、冷暖房効率が良くなるというメリットもあります。

あとは植栽ですね。緑を見ていると安らぎますし、外からの視線をやさしくふわっと切ってくれる効果もあります。隣家の窓との間や、道路に面するところなどに植栽を配すようにしていますね。

ちなみに木は山で採れたものを使うことが多いです。山に生えている木は周りのライバルの木をよけて光を受けようとするので、樹形に生命力や力強さが現れるんです。

窓は採光・眺望・通風を考慮して計画する。

―次に内部空間について、どのような考え方で設計をされているか教えて頂けますか?

まず採光とプライバシーのバランスは大事にしていることですね。パッシブ設計というと、南側に大きな窓を取りがちになりますが、プライバシーを置き去りにしているケースも見受けられます。それではダメで、やはり大事なのはバランスだと思いますので、その土地に対して何が最適解かを考えていきます。

また、光は入れ過ぎても絞り過ぎても居心地のいい空間にならないので、気持ちちょっと入れ過ぎにしておきながら調整できることを心掛けています。

コアハウスの南側大開口の外側には開閉式のルーバーがあり、日射をコントロールできる。

それから、窓には役割が必要だと思っていて、採光・眺望・通風のどれかの役割がないものは入れないようにしています。例えば隣家がすぐ手が届きそうな距離の場合に窓を付けても、隣家の壁や窓を見るだけになってしまいます。それでは採光・眺望・通風のどれも望めないので、付けるだけもったいないですよね。

通風については、そのエリアで吹く卓越風を意識しています。必ずしもいつも同じ向きで風が吹くわけではないですが、おおまかにその土地の風向きがあります。それを意識するだけで窓や玄関ドアの配置をより最適な形に近づけられるんです。

「第1種換気を入れて窓は開けない」という考え方もありますが、僕は外の気持ちいい風を家の中に通すのが好きなので、通風は積極的に採り入れていこうとしています。

エアコンは無理に1台に担わせず、複数使いで。

―通風の話が出ましたので、次に空調や冷暖房についてどのように考えているか教えて頂けますか?

高気密高断熱住宅の最後の山が空調だと思っています。特に夏の湿度調整ですね。冬に暖かくすることはそれほど難しくないですが、夏を快適に過ごせるように湿度を調整することは難しいです。エアコンの位置だったり、風の戻り方だったりとかを考えて計画する必要があるからです。

なるべく間仕切りをつくらずに家全体の空気をつなげると温度や湿度は一定に保ちやすいですが、家族内でプライバシーを守れないという問題が出てきます。

最近はエアコン1台で全館冷房という考え方もありますが、それよりも各部屋に10万円程度のお値打ちなエアコンを付けて、それぞれが好きな温度・湿度に調節した方がいいんじゃないかと考えています。即効性がありますし、故障したときも簡単に交換ができますので。

逆に夏の冷房を1台のエアコンに頼っていると、故障した時には冷房が使えなくなり大変なことになるので注意が必要です。

お客さんの財産を扱う家づくり。適当なことはできない。

―ではそろそろの締めくくりに入りたいと思います。小縣さんにとって家づくりの魅力ややりがいはどんなことでしょうか?

僕たちが建てた家でご家族のみなさんが生活していくので、「そんな大事なことを任せてもらっていいんですか?」という気持ちになりますし、だからこそ適当なことはできないと思います。

人の財産を扱う仕事ですから、自分たち都合の家づくりをしてはいけないし、提案をする時にはデメリットもお伝えしなければいけない。家を建てて悲しい思いをする人を減らせるように、自分たちがきちんとした家づくりをしていきたいと思っています。

子育て世代のお客さんが多いですが、子どもさんにとって家がいい思い出が詰まった場所になり、この業界に興味を持ってもらえたら嬉しいですね。

いい家を購入しやすい価格で。つくり込み過ぎないコアハウス。

―最後に、今後の展望について聞かせて頂けますか?

建築費が高騰する中で、お客さんの経済力を見てお客さんを見定める住宅会社さんが少なからずあるように感じています。たしかにいい家を誰もが建てられる時代ではなくなりつつあるかもしれませんが、つくり手側の工夫次第で建築費を下げることができるとも思っています。

一人でも多くの人にいい家を提供できるように考えていきたいですし、それを形にしたものが今回新たにつくり上げたモデルハウス「コアハウス」です。

性能はしっかりと高めていますが、つくり込み過ぎないことでコストを抑えているのが特徴です。ぜひ家づくりを検討している多くの人に体感して頂きたいと思います。

▶︎インタビュー:建築費が高騰する今伝えたい。頑丈で暖かいシンプルな箱「コアハウス」。

▶︎コアハウスの詳細はこちら

〈ライター/カメラマン〉
鈴木亮平
新潟県在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。取材・撮影で訪れた住宅は累計1,000軒以上。