「最長60年保証だから、この会社なら安心」。ハウスメーカーのカタログや住宅展示場で、そんな言葉に心を動かされた経験はありませんか?
家は人生でいちばん大きな買い物ですから、保証が長いことは大きな魅力に感じられます。しかし、この“最長60年”という言葉、無償で60年間守ってもらえるという意味ではないことをご存じでしょうか。
先日、大手ハウスメーカー6社の公式サイトにある保証のページを、実際にすべて読み比べてみました。すると、各社の保証にはほぼ共通する“ある条件”があることが分かりました。
この記事では、大手6社の保証を比較した結果と、60年保証の仕組み、比較するときのチェックポイントを分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
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ハウスメーカーの保証を比較する前に知っておきたい基本
保証の中心は「構造」と「雨水」
まず前提として、住宅の保証には法律で決められた最低ラインがあります。品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)により、新築住宅は「構造耐力上主要な部分」(基礎・柱・梁など建物を支える部分)と「雨水の浸入を防止する部分」(屋根・外壁など)について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任(欠陥があった場合に無償で直す責任)が義務付けられています。これはどの会社で建てても同じです。
各社が宣伝している「30年保証」「最長60年保証」は、この法律の10年に、各社が独自に上乗せしている部分です。そして大切なのは、長期保証の対象も基本的に「構造」と「雨水」が中心だということです。
キッチンや給湯器などの設備、内装のクロスといった部分は、長期保証の対象ではなく、別枠の短い保証になっているのが一般的です。「60年保証」と聞くと家全体が60年守られるように感じますが、実際の対象はもっと限定的です。
「最長60年保証」の対象は構造と雨水が中心で、設備や内装は含まれないのが一般的です。
大手6社の“最長60年保証”を比較してみた
比較表 初期保証と延長の条件
大手6社の公式サイトの保証ページを確認した結果(2026年9月時点)を、表にまとめました。社名の比較が目的ではないため、A社〜F社としています。
| 会社 | 初期保証 | 最長 | 延長の条件 |
|---|---|---|---|
| A社 | 30年 | 永年 | 有料点検+有償工事 |
| B社 | 30年 | 60年 | 点検+有償メンテ |
| C社 | 30年 | 60年 | 30年目に有償工事 |
| D社 | 30年 | 60年 | 10年単位で延長 |
| E社 | 35年 | 永年 | 診断+耐久工事 |
| F社 | 35年 | 60年 | 点検+有償メンテ |
補足すると、E社の35年は構造体の保証で、防水は30年です。F社は地域によって初期保証が20年になる場合があります。また「永年」とある会社も、無条件ではなく所定の点検と工事を続けることが前提です。
こうして並べてみると、初期保証は30〜35年、その後は条件付きで10年ごとに延長、という形がきれいにそろっていることが分かります。
大手6社の保証は「初期保証30〜35年+条件付きで10年ごと延長」という、ほぼ同じ構造でした。
共通点は「初期保証+有償メンテナンスで延長」
6社に共通する仕組みを整理すると、こうなります。まず、構造と雨水についての「初期保証」が30〜35年。この期間内でも、指定された定期点検を受け、必要と判断された補修を行うことが保証継続の条件になっている会社が多くあります。
そして初期保証が終わったあとは、その会社が行う有料点検を受け、必要と判断された有償メンテナンス工事を実施することを条件に、保証が10年ごとに延長されていきます。つまり“最長60年保証”の正体は、「60年間ずっと保証します」ではなく「所定の有償工事を続けてくれれば、保証を更新し続けます」という約束なのです。
これは決してごまかしではなく、長く住めば外壁や防水のメンテナンスが必要になるのは事実ですから、仕組みとしては合理的とも言えます。ただ、「保証60年」という言葉から受ける印象と、実際の中身にはかなり距離があるのではないでしょうか。
“最長60年保証”は「有償メンテナンス工事を続けることを条件に保証を更新できる制度」というのが実態です。
ハウスメーカーの60年保証で注意したいこと
無償で60年守られるわけではない
注意したいのは、初期保証が切れたあとの点検や工事は、基本的にすべて有償になるという点です。ある会社の公式サイトには、30年目以降の点検・補修はすべて有料と明記されていました。正直に書いてある、とも言えますね。
外壁や屋根、防水のメンテナンス工事は、規模によっては大きな出費になります。10年後・20年後・30年後にどんな工事が想定され、費用の目安がいくらなのかは、契約前にはなかなか見えてきません。
「保証を続けるために、どの時期に、どんな有償工事が必要になる想定か」を契約前に確認しておくことが大切です。長期のメンテナンス計画表を出してもらえるか聞いてみると、その会社の姿勢も見えてくるかもしれません。
60年保証を維持するには有償メンテナンスの費用がかかり続けます。総額の見通しまで確認しておくと安心です。
延長の窓口は建てた会社だけ
もう1つの注意点は、保証延長のための点検や工事は、建てた会社(またはそのグループ会社)が行うことが前提になっていることです。他社で外壁塗装などの工事をした場合、保証が継続できなくなる場合があります。
つまり長期保証は、メンテナンスをその会社に任せ続けることとセットの仕組みです。相見積もりで安い業者を選ぶ、という自由は事実上きかなくなると考えておいた方がよいでしょう。
これは裏を返せば、その会社が数十年にわたって元気に営業を続けていることが、保証の大前提だということでもあります。会社の倒産や事業の撤退があった場合に保証がどうなるかは、それだけで1つの大きなテーマなので、別の記事で詳しく解説します。
長期保証は「建てた会社にメンテナンスを任せ続けること」とセットで成り立つ仕組みです。
保証を比較するときのチェックポイント
ここまでの内容をふまえて、ハウスメーカーの保証を比較するときに確認したいポイントをまとめます。
まず、「最長○年」ではなく「初期保証は何年か」「その対象はどこまでか」を見ること。カタログの大きな数字より、保証書に書かれる条件の方がずっと重要です。
次に、延長の条件を具体的に聞くこと。「何年目に、どんな点検と工事が必要で、費用の目安はいくらか」。ここが曖昧なまま「60年安心です」とだけ言われたら、少し立ち止まってよいと思います。
そして、保証の数字だけで会社を選ばないこと。保証が手厚くても、メンテナンス費用が高ければ、トータルの住居費では逆転することもあり得ます。数字の見かけと実態が違うという意味では、坪単価の“カラクリ”とよく似た話です。
比較すべきは「最長何年か」ではなく「無償の範囲はどこまでか」「延長に何がいくら必要か」です。
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まとめ
大手ハウスメーカー6社の保証を比較してみると、「初期保証30〜35年+有償点検・有償メンテナンス工事を条件に10年ごとに延長」という共通の仕組みが見えてきました。“最長60年保証”は、無償で60年守られるという意味ではありません。
もちろん、長期保証そのものが悪いわけではありません。定期的な点検とメンテナンスは、家を長持ちさせるためにどのみち必要なものです。問題は、言葉の印象だけで「保証が長いから安心」と判断してしまうことです。
大切なのは、初期保証の年数と対象、延長の条件と費用まで確認したうえで、自分たちに合っているかどうかで判断することです。保証の言葉に安心を求めるのではなく、10年後・20年後のメンテナンスまで見通しておくことが、後悔しない家づくりの第一歩と言えるでしょう。
なお、各社の保証内容は2026年9月時点の公式サイトの情報です。制度は変わる可能性がありますので、検討の際は必ず最新の内容をご確認ください。




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