同時給排気は本当に必要?

高気密住宅と同時給排気の思わぬ落とし穴
この記事のもくじ
◆今回はこんな方の為に書いています。
⇒高気密高断熱住宅に住みたい方へ
⇒高気密高断熱住宅の注意点【換気扇編】
◆今回の記事を読むとこんなことがわかります。
⇒玄関ドアや窓が軽くなる方法
⇒換気扇選定の方法と注意点
生活をしていて換気(室内の給排気)をしっかりするということに意識が向くようになったからこそ、家の換気(室内の給排気)についてまとめてみようと思います。今更感はありますが、そこはご容赦を!
新型コロナ対策としても、家の中を新鮮な空気で快適に保つ為にも有効ではないかと思える【換気装置】
やっぱり気になりますよね。
簡単に換気装置と言いますが、細分化するとキッチンの換気扇やトイレ・洗面室の換気扇、全館空調とよく併用される一種換気と言われる設備など色々ありますが、今回はキチンの換気扇について書いていきたいと思います!
このキッチンの換気扇にも種類があって(カタチや色以外の話ですよ〜)室内の空気を室外へ吐き出すだけのものと吐き出すと同時に室内にも空気を取り込んでくるものがあります。
換気扇というと室内の空気を吐き出すだけのものを想像する方が多いと思いますが、今回の記事ではもう一つ、吐き出すと同時に室内にも空気を取り込んでくるものをご紹介していきます。ちなみにこの換気扇は【同時給排気型】と言われたりしま。
【同時給排型】名前の響きはひょっとしたら既に聞いた事がある方もいるかもしれません。
最近はエコ・SDGsの観点からも高気密住宅が当たり前になりつつ?(ちょっと無理があるか、、、笑)あるわけですが、実はしっかり考えて対策しておかなければ同時給排気は高気密住宅にとってはデメリットになってしまうこともあるのです。要注意です。ごく稀にですが。
???
とーさん
なんで?SDGsだからいんじゃない???
かーさん
ではでは、同時給排気とはどういうものなのか、高気密住宅にどんなデメリットが起こりうるのか、対策はあるのか?といったことをまとめてまいります!
同時給排気とは?【高気密住宅にとっての同時給排気】
高気密な住宅といえばマンション、そして最近の戸建て住宅も高気密なものが当たり前になりつつある気がします。
レンジフードや換気扇を回すと、室内の空気を外に排出して、その代わりに(自然)給気口や隙間から新鮮な空気を取り込むのが一般的な給排気(これを第三種換気といいます)をしています。
高気密住宅の場合、この方法では給気が足りない状況になってしまうことがあるんです。
給気が足りないと『(特に高気密住宅の場合)玄関ドアの開閉がしずらい!』『窓から変な音がする』という事になりかねません。また別な側面では風向きにより影響を受けやすい第3種換気は場合によって(排気する換気扇が北向きに設置されていて北風が強い場合など)は、排気不足により換気が思う様にできずに、新鮮な空気が足りず二酸化炭素濃度が増し『集中できない・なんか頭がぼーっとするなぁ』みたいなことも起こりうるのです。
室内が負圧になりすぎる事を防ぐ目的で開発されたのが同時給排気型換気扇で、『排気だけでなく給気も機械で同時にやってしまおう!給気量を増やそう!』というものなのです。
同時給排気しないとどうなるのか?
同時給排気をしないとどうなるのか?というと、高気密住宅では負圧がとなる事で「お子さんだとドアが開け閉めできない!」という位に大変だったりします。
また24時間換気が義務づけられている今の基準で建築された建築物では、24時間換気のための給気口から外の風が入ってくるので『夏はアツい・冬はサムイ』、暖冷房効率が下がるということがあります。(それを最小限に防ぐためにも第一種換気があります。)
同時給排ではないと、特に冬場のキッチンでは調理中レンジフードを回すと足元に外の冷たい空気が入ってきて「足が冷える!!」という事になりやすいんです。
こう見ると…『同時給排気ってしたほうがいいってことじゃん!』と思いますよね?
では続けて、同時給排気のメリットとデメリットついて見てください。
同時給排気のメリット
まずは同時給排気を取り入れるメリットについてみてみましょう。
- 家が負圧になり過ぎず玄関ドアが開く
- 料理をしていて足元が冷えにくい
- スキマ風が入りにくい(風量が増しにくい)
『エアコン付けてるのに換気なんてもったいない!ダメに決まってる!』というのはまず、間違いだということをお伝えしておきます。空気質が大切です。二酸化炭素濃度とか。
また調理中に同時給排気できるレンジフードを稼働させることで、24時間換気用の給気口ではなく頭上のレンジフードから給気させるので、足元から冷たい空気に襲われることが無く冷え防止になります。
同時給排気のデメリット
続けて同時給排気をすることで発生するデメリットについても見ていきましょう。
- 設置場所によっては結露の原因になる
- 一般的なものよりコストがかかる
- 稼働時の音が気になるケースもある
①について解説すると、例えばレンジフードが壁から離れた場所にあると排気・給気ともにダクトが長くなります。
そのダクトに冷たい空気が入り天井裏の空気(高温多湿の場合)と、結露してしまうことがあるので対策が必要。その分のコストもかかるということになります。例えば1階天井裏が25℃湿度30%の場合の露点温度は6℃ですので外気が6℃の場合は理論上ダクトが結露すると言うことになります。22℃湿度50%の場合の露点温度は11.5℃位。
階間エアコンをした場合は注意が必要な気がします。長時間の換気扇の使用時は気をつけたほうがいいかも知れません。もしくは換気扇のダクトに断熱材を巻くなどの対策も有効でしょうね。
同時給排気を設置するなら、その対策も踏まえて設置場所を検討することは必要事項でしょう。
②について。
同時給排気型のものは一般的なものと比較して価格帯も高くなり、また施工にもコストがかかるのです。
検討はしたけどコスト的にちょっと・・・という場合には『差圧レジスターをつける』という対策も有効です。差圧レジスターもタダではありませんが。
③については、給気も排気もしっかり行うからこそ、ではありますが静かに暮らしたい…という方にはかなりストレスになるやもしれません。ちょっとだけ我慢してください。そんなに気になるほどではありません。
同時給排気のレンジフードについて考えてみる
普通のレンジフードは、本体から排気用のダクトが伸びていて、外壁を貫通して室外に室内の空気を排出しています。
同時給排気はこれに加え、給気ダクトがありこれまた外壁を貫通して室外の空気を室内に取り込んでいるという仕組み。同時給排気型レンジフードの給気は本体の上部にあるスリットから行われるので、足元から冷たい空気が入ってきて冷えるということを避けられるわけですね。
火を使う=熱のある場所で回すので、仮に暖房を付けていても同時給排気型レンジフードなら、過度に室内が冷えるということも避けられるともとれます。
ただし同時給排気型レンジフードを採用するなら外部のフード同士が近すぎると、給気・排気のダクトがお互いに近い場所にあると「調理中の匂いや汚れた排気」を「もう一度給気してしまう」という悪循環が起こりうるのでコストがかかりますがきちんと対策をしておかないとデメリットにしかならないということも忘れてはおけません。
しっかりと対策をしないとデメリットになる、それが同時給排気型レンジフードと覚えておいてください。
浴室・トイレに同時給排気型の換気扇はおすすめしないワケとは
浴室やトイレには同時給排気よりも排気は機械で行い、給気は給気口・隙間から自然に行う方が、室内を負圧に保ち、他の部屋に湿気や匂いが流れることを防ぐ効果が得られます。
想像してみてください。トイレが正圧(風船で言うなら空気がパンパンに入っている状態)で他の部屋に空気が流れていく状態を、、、
まとめ
ここまでお伝えした情報を簡単にまとめると…
『同時給排気は高気密住宅では絶対におすすめ!付けるべき!』と言いたいところですが、それなりに対策をしないとダメですね。対策をしっかりしないとコストはかかるのに結局匂いが気になったり。
またここでは高気密住宅であることが前提としたお話も多かったですが、高気密住宅ではないなら同時給排気はそこまでの役割を果たさない場合が多いのでは?と思います。
一般的な換気扇が外に排気しようとすると同時に家のあちこちから給気されてしまうのでスキマ風が強くなるなどが考えられます。その様な場合には別の対策が必要です。