同時給排気型レンジフードのメリット・デメリットと普通の排気との違いは?
最近ではエコやSDGsの観点から高気密高断熱住宅の注目が高まっていきますが、同時給排気型レンジフードを選択される傾向があります。
今まさにマイホームのお打ち合わせをしているご家庭であれば、同時給排気型レンジフードの取り付けを進められていたりするでしょう。
実は、同時給排気に向いていない家もあるので注意が必要です。向いていない家に設置してしまうとデメリットになってしまうケースもあるので、設備の特徴をしっかりとチェックしておきましょう。
当記事では、同時給排気型レンジフードの特徴や普通の排気との違いを解説します。あわせてメリット・デメリットもご紹介しますので参考にしてみてくださいね。
◆こんな方におすすめの記事
⇒家づくりの打ち合わせをしている人
⇒我が家は同時給排気型レンジフード向いてる?
◆この記事を読むと分かること
⇒同時給排気型レンジフードの特徴と向いている家
⇒換気扇選定の方法と注意点
同時給排気型レンジフードとは?カンタンに仕組みを解説
この記事のもくじ
同時給排型レンジフードは排気と給気の2つの入口があり、同時に排気と給気をおこなえる設備です。
室内の空気を吐き出すだけではなく給気もおこなう仕組みで稼働します。
レンジフードを稼働した際にフタが開閉することで室内に負圧が生まれ、給気口から屋外の空気がレンジフード側に入るのです。
屋外から入り込んだ空気は室内側に流れますが、レンジフードの稼働中はコンロやIHなどで熱を出しているため、少し冷たい空気が入り込んでも室内の温度が一気に下がることはありません。
そのため、室内で「寒い」と感じる心配はしなくても大丈夫です。
同時給排気レンジフードと換気扇の違い
キッチンに採用されている換気扇には、大きく分けて次の3つのタイプがあります。
- 一般排気型
- 同時吸排気型
- 強制同時給排気型
同時給排気型はファンでの排気とレンジフードで給気を行うタイプのレンジフードですが、一般の換気扇は排気のみのレンジフードで3つの中で最も認知されているタイプです。
3つ目の強制同時給排気型は、同時給排気型と同様に給気・排気を行います。タワーマンションや高層住宅に使用される傾向があります。
このようにどこの部分で吸排気をするのか、もしくは排気のみを行うのかが大きく異なる点です。
同時給排気レンジフードのメリット3つ
まずは同時給排気を取り入れると次の3つのメリットがあります。
- 家が負圧になり過ぎず玄関ドアが開く
- 料理をしていて足元が冷えにくい
- スキマ風が入りにくい(風量が増しにくい)
「エアコン付けてるのに換気なんてもったいない!ダメに決まってる!」と考えている方もいらっしゃいますが、実は空気をクリーンにしてくれる役割もあります。
他にも、調理中に同時給排気できるレンジフードを稼働させることで24時間換気用の給気口ではなく頭上のレンジフードから給気させるため、足元から冷たい空気に襲われることが無く冷え防止になります。
同時給排気レンジフードのデメリット3つ
空気を入れ替えてくれるメリットがある一方で、同時給排気をすることで発生するデメリットもあり具体的には次の3つです。
- 設置場所によっては結露の原因になる
- 一般的なものよりコストがかかる
- 稼働時の音が気になるケースもある
①について解説すると、レンジフードが壁から離れた場所にあると排気・給気ともにダクトが長くなります。
そのダクトに冷たい空気が入り天井裏の空気(高温多湿の場合)と結露してしまうことがあるので対策が必要で、対策費用がかかるということになります。
例えば、1階天井裏が25℃湿度30%の場合の露点温度は6℃で、外気が6℃の場合は理論上ダクトが結露すると言うことになります。
階間エアコンをした場合は注意が必要です。長時間の換気扇の使用時は気をつけたほうがいいかも知れません。もしくは換気扇のダクトに断熱材を巻くなどの対策も有効でしょうね。
同時給排気を設置するなら、その対策も踏まえて設置場所を検討することは必要事項でしょう。
②に関しては、同時給排気型のものは一般的なものと比較して価格帯も高くなり、また施工にもコストがかかるのです。
検討はしたけどコスト的にちょっと…という場合には「差圧レジスターをつける」という対策も有効です。しかし、差圧レジスターも無料で取り付けられる訳ではないため費用を確認しておきましょう。
最後の③については、給気も排気もしっかり行うからこ出てしまうデメリットではありますが「静かに暮らしたい…」という方にはストレスになるかもしれません。
しかし、実際に住んでみると「それほど気にならなかった!」とのお声をお聞きしますので、そんなに気にしなくてもいいと思います。
同時給排気型レンジフードの設置する際の注意点
最近では、高層マンションや戸建て住宅を高気密高断熱での家づくりを検討されるご家庭が増えつつありますが、ぜひキッチンのレンジフードは一般的な換気扇だはなく「同時給排気型のレンジフード」を考えていただきたいです。
一般的なレンジフードや換気扇は、ファンを回すと室内の空気を外に排出し給気口や隙間から新鮮な空気を取り込むのが一般的な給排気ですが、高気密住宅の場合では一般的な方法だと給気が足りない状況になってしまう場合があるのです。
給気が足りなくなってしまうと、「玄関ドアの開閉がしずらい!」「窓から変な音がする」という事が起きてしまう場合があります。
他にも、風向きにより影響を受けやすく(排気する換気扇が北向きに設置されていて北風が強い場合など)、排気不足により換気が思う様にできず新鮮な空気が足りず二酸化炭素濃度が増すことも考えられ「集中できない」「なんか頭がぼーっとするなぁ」のようなことも起こりうるのです。
室内が負圧になりすぎる事を防ぐ目的で開発されたのが同時給排気型換気扇で、「排気だけでなく給気も機械で同時にやってしまおう!給気量を増やそう!」という設備のため、高気密高断熱住宅では設置するのを推奨されています。
同時給排気型レンジフードを最大限に活かすポイント
普通のレンジフードは、本体から排気用のダクトが伸びていて、外壁を貫通して室外に室内の空気を排出しています。
同時給排気はこれに加え、給気ダクトがありこれまた外壁を貫通して室外の空気を室内に取り込んでいるという仕組みです。
同時給排気型レンジフードの給気は本体の上部にあるスリットから行われるので、足元から冷たい空気が入ってきて冷えるということを避けれます。
火を使う=熱のある場所で回すので、仮に暖房を付けていても同時給排気型レンジフードなら、過度に室内が冷えるということも避けることも可能です。
しかし、同時給排気型レンジフードを採用するなら外部のフード同士が近すぎると、給気・排気のダクトがお互いに近い場所にあると「調理中の匂いや汚れた排気」を「もう一度給気してしまう」という悪循環が起こる可能性があります。
設置にコストがかかってしまいますが、きちんと対策をしておかないとデメリットを生じてしまうので気をつける必要があるのです。
まとめ
同時給排気型レンジフードは給気と排気が同時にできる設備で省エネやSDGsなどの観点から注目されつあり、高気密高断熱住宅に向いています。
しかし、向いていない家もあるので同時給排気型レンジフードの特徴やメリット・デメリットを押さえた上で取り付けを検討していくことが大切です。
今回の記事を参考に取り付ける目的やどのような家にしたいのか理想を明確にしていきながら、家づくりを進めてみてくださいね!