家づくりの情報を集めていると、「一次エネルギー消費量等級6」という言葉を目にすることが増えてきました。「数字が大きいほど良さそうだけど、実際どのくらいすごいの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、一次エネルギー消費量等級6とは、住宅性能表示制度の「一次エネルギー消費量等級」のうち、ZEH(ゼッチ)水準の省エネ性能を持つ家であることを示す等級です。なお、2025年12月1日施行の改正で、さらに上の等級7・8も新設されています(国土交通省・2026年9月時点)。
家の省エネ性能をひと目でわかるようにした制度にBELSがあります。BELSは住宅の省エネ性能を『星の数』で表していますが、その星の数の基準になっているのが、これからお伝えする『一次エネルギー消費量(BEI)』です。
「一般消費者には関係ない話じゃない?」と感じた方もいらっしゃるでしょう。確かに専門的な内容にちょっと踏み込んだお話です。
知らなくても問題はありませんが、知っておくとこんなメリットがあります。
- 無駄な生活コストのかからない家を見つけられる
- 省エネ基準が当たり前になっても資産価値が下がらない家を購入できる
「大きな買い物だから、しっかり理解して家を建てたい(買いたい)」
「ちょっとだけ住宅業界の専門的な話も覗いてみたい」
という方は是非、わかりやすく解説していきますので、お付き合いくださいね。
⇒一次エネルギー消費量等級6が何を意味するのかわからない
⇒家を買うために必要な情報をしっかり理解したい
◆この記事を読むと分かること
⇒一次エネルギー消費量等級6の基準・補助金・調べ方がわかる
⇒専門的な内容をドヤ顔で話せるようになる
一次エネルギー消費量等級とは?基準値・等級ごとの違い

BEIは、その家が使う一次エネルギー消費量を、基準となる一般的な性能の住宅と比較したときの割合です。等級ごとのBEIの基準値と、BELSで★マークがいくつ付くのかを表にまとめたのでご覧ください。
| 等級 | BEI基準値 | BELSの星の数 |
|---|---|---|
| 等級6 | 0.8以下 | ★★★★★ |
| 等級5 | 0.9以下 | 0.85以下なら★★★★ 0.86~0.9なら★★★ |
| 等級4 | 1.0以下 | ★★ |
| 等級3 | 1.1以下 | ★ |
参考情報:住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設|国土交通省
ここで押さえておきたいのが、等級4は、2025年4月からすべての新築住宅に適合が義務化された「省エネ基準」に相当するラインだということです(国土交通省・2026年9月時点)。つまり、これから建てる家は等級4が最低ラインで、その上に等級5・等級6が積み上がっている、という位置関係になります。
縦に並べてみると、等級6と等級4は数字だけなら小さな差に見えますが、BELSの星の数には大きな開きがあります。数字の見た目以上に、家の省エネ性能としては大きな違いがあるということですね。
BELSについて詳しく知りたい方はこちらの記事:ZEH補助金に必要なBELSのわかりやすい解説|評価基準と項目・取得メリットをご覧ください。
一次エネルギー消費量等級6とは?ZEH水準にあたる等級
一次エネルギー消費量等級6は、住宅性能表示制度における一次エネルギー消費量等級のうち、ZEH水準にあたる等級です。2025年12月1日施行の改正で等級7・8が新設されましたが、2026年9月時点では補助制度や基準の多くが等級6=ZEH水準を目安にしています。ここからは本題の等級6について、基準・ほかの等級との違い・等級6にするための対策を順に掘り下げていきます。
一次エネルギー消費量等級6の基準はBEI0.8以下
一次エネルギー消費量等級6とは、BEI基準値が0.8以下という基準をクリアしたことを示します。
言い換えると、基準となる一般的な性能の家より、一次エネルギー消費量を20%以上削減できる住宅ということです。エネルギーを無駄なく使える家ですから、光熱費の負担も抑えやすくなります。
等級4・等級5との違い|2030年にはZEH水準が標準に
等級4は、先ほどお伝えしたとおり2025年4月から義務化された省エネ基準に相当するライン(BEI1.0以下)です。等級5はその一歩上のBEI0.9以下ですが、「ZEH水準」と呼ばれるのはあくまで等級6の方。国の資料では、ZEH水準の住宅は「断熱等性能等級5+一次エネルギー消費量等級6」の組み合わせで説明されています。
「断熱の等級5」と「一次エネルギーの等級5」がまぎらわしいのですが、一次エネルギー側でZEH水準といえるのは等級6、と覚えておくと混乱しません。
さらに国は、遅くとも2030年までに、省エネ基準をZEH水準の省エネ性能へ引き上げる方針を示しています(国土交通省・2026年9月時点)。つまり数年後には、一次エネルギー消費量等級6相当が「特別な家」ではなく「新築の標準」になっていく可能性が高いということ。
だからこそ、これから家を建てるなら等級6を目安にしておくと、10年後・20年後も見劣りしない性能を確保しやすくなります。
一次エネルギー消費量等級6にするための対策
一次エネルギー消費量等級を上げるためには、一般的には以下のような設備の導入が有効といわれています。
- 熱交換換気
- 節水型設備
- 省エネエアコン
- 高効率給湯器
- LED照明+調光やセンサー
ですが、住宅性能にこだわる工務店としては、こうした設備に頼るだけでなく、家そのものの性能にもこだわって建築することこそ基本と考えています。
断熱性能を高めるための緻密な計算と施工、日射角を考慮した庇(ひさし)の設置、その土地の立地・条件に合わせた住まいやすい家づくり。こうした基本に立ち返り、基本的な部分を大切にしてこそ、本当の高性能住宅になるのではないでしょうか。
一次エネルギー消費量等級の調べ方・計算方法
「そもそも自分が検討している家の等級はどこに書いてあるの?」という方のために、調べ方と計算方法もお伝えしておきます。
一次エネルギー消費量等級の調べ方
注文住宅を新築する場合には、住宅性能評価書の内容を確認するか、BELS評価書を確認すると、家の等級を確認できます。
BELSの評価も住宅性能評価も、検査機関に申請して評価を受けるため費用がかかります。
建売住宅を購入する場合、すでに評価済みであればそれを確認できますが、評価を受けていない物件では等級を証明する書類がないケースもあります。購入前に評価書の有無を確認しておくと安心です。
一次エネルギー消費量(BEI)の計算方法
一次エネルギー消費量等級の元となるBEI(一次エネルギー消費量)は、以下の式で算出します。
計算そのものは専門のプログラムで行うもので、施主さん自身が手計算する必要はありません。興味のない方は「そういう式で決まるんだな」くらいの理解で大丈夫です。
一次エネルギー消費量等級6の家に住むメリット

一次エネルギー消費量等級が高い家に住むことのメリットは、生活コスト抑制・日常生活のクオリティ向上・優れた性能の家を補助金を使って建てられることが挙げられます。
一次エネルギー消費量等級6の家は、ZEH水準の省エネ性能で建てられた家です。建築コストは一般的な性能の家より高くなりがちですが、その分、補助金・金利優遇・光熱費の削減といった形で取り戻せる部分もあります。詳しく掘り下げていきましょう。
補助金・支援制度を活用できる(2026年度はみらいエコ住宅2026事業)
国は省エネ性能の高い新築住宅を対象にした支援事業を毎年度実施しており、2026年度は「みらいエコ住宅2026事業」が行われています(国土交通省・2026年9月時点)。
注文住宅(新築)の場合の1戸あたり補助額は以下のとおりです。
- GX志向型住宅:110万円〜125万円(すべての世帯が対象)
- 長期優良住宅:75万円〜80万円(子育て世帯・若者夫婦世帯が対象)
- ZEH水準住宅:35万円〜40万円(子育て世帯・若者夫婦世帯が対象)
金額に幅があるのは、寒冷地かどうか(地域区分)で補助額が変わるためです。一次エネルギー消費量等級6は、このうち「ZEH水準住宅」の要件に関わる等級です(断熱側の等級もあわせて求められます)。GX志向型住宅は、ZEH水準をさらに上回る省エネ性能が求められる区分になります。
注意点として、この補助金には「2025年11月28日以降に基礎工事に着手した住宅が対象」といった着手時期の要件や、予算の上限があります。また、申請は施主さん本人ではなく、あらかじめ事業に登録した建築事業者が行う仕組みです。年度ごとに内容が変わる制度のため、最新の条件は必ず公式サイトでご確認ください。
このほか、環境省系のZEH支援事業(2026年度は「令和8年度 新築戸建ZEH」として公募)もありますが、こちらも年度ごとに公募内容や金額が変わります。
子育て世帯・若者夫婦世帯向けの支援は、過去記事:【子育てエコホーム】最大100万円の新築補助金|対象条件と補助金額で解説した「子育てエコホーム支援事業」から、名前や金額を変えながら毎年続いてきた流れにあります。
※リンク先は過年度の制度解説です。最新の金額・条件は公式サイトでご確認ください。
ZEH補助金のしくみを知りたい方はこちらの記事もどうぞ(こちらも過年度の内容です)。
フラット35Sなど住宅ローンの金利優遇を受けられる
省エネ性能に優れた家を建てる場合、フラット35Sという金利引き下げ制度を利用できます。省エネルギー性などの基準を満たすと当初期間の金利が引き下げられる制度で、ZEH水準の家なら【フラット35】S(ZEH)として、当初5年間・年0.75%の引き下げが受けられます(住宅金融支援機構・2026年9月時点)。
引き下げ幅や期間は制度改定で変わることがありますし、家族構成などに応じたほかの引き下げメニューと組み合わせられる場合もあります。利用を検討する際は、最新の条件を公式サイトで確認してください。
総返済額がどのくらい変わるのか知りたい方は、過去記事:フラット35Sの基準は厳しい?返済額をシミュレーション!|引き下げ金利でシミュレーションの方法や例を紹介しているので参考にしてください。
光熱費を抑えやすい
一次エネルギー消費量等級6の家で生活した場合、コスト面では以下のような効果が期待できます。
- 断熱性能が高いので冷暖房のエネルギーを抑えて生活できる
- 太陽光発電を載せる場合は、自家消費で電気を買う量を減らせる
- 売電で収入になるケースもある
どのくらい安くなるかは、家族構成・設備・気候・電気料金の単価によって変わるため、一概には言えません。ただ、基準の家より一次エネルギー消費量を20%以上削減できる性能ですから、光熱費の負担を長期にわたって抑えやすいのは確かです。
光熱費は、住んでいる限りずっと払い続ける固定費。建てるときの性能への投資は、10年後・20年後まで効き続ける節約とも言えるのではないでしょうか。
エアコンに頼りすぎない健康的な生活ができる
一次エネルギー消費量等級6の家は、断熱性能が高い分、エアコンをフル稼働させなくても室温を保ちやすくなります。過度な暖房による、のどや肌の乾燥も抑えやすくなり、健康的に生活しやすくなるのも大きなメリットと言えるでしょう。
また、家の中での温度差も抑えられるので、冬場のヒートショック(急激な温度差で血圧が大きく変動すること)への対策にもつながります。安心して健康的に暮らせる家、それが一次エネルギー消費量等級6の家と言えるでしょう。
こうした快適さは、設備や断熱だけでなく、家の「気密」にも大きく左右されます。
高気密な家づくりについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
一次エネルギー消費量等級が高い家のデメリット

一次エネルギー消費量等級の高い家に住むデメリットは、建築費用と、補助金を使う場合の要件・建築業者選定が挙げられます。それぞれ掘り下げてみていきましょう。
建築費用が高くなる
一次エネルギー消費量等級6の家は、一般的な性能の住宅と比較すると、一般に200~300万円ほど建築費用が高くなるといわれます。
内訳としては、相応の建材・設備を使うこと、断熱施工などに建築ノウハウと手間が求められることが挙げられます。ただ、こうした費用がかかるものの、環境問題の解決につながることから、前述の補助金や金利優遇で国が後押ししているのが現状です。
かかる費用のすべてとまではいきませんが、補助金も活用して建築費用の負担を抑えることはできます。
補助金の要件・建築業者選定に注意
みらいエコ住宅2026事業のような国の支援事業は、あらかじめ事業に登録した建築事業者を通じて申請する仕組みになっています(2026年9月時点)。
そのため、希望していたメーカー・工務店が事業者登録をしていない場合、補助金を使えないケースもあり得ます。また、等級6の性能を実現するノウハウ・人材が足りず、請け負ってもらえない場合も想定できます。
補助金ありきで計画するなら、契約前に「補助金の事業者登録をしているか」「等級6クラスの家づくりの実績があるか」を確認しておくことが大切です。
一次エネルギー消費量等級6に関するよくある質問
最後に、一次エネルギー消費量等級6についてよくいただく質問をまとめました。
Q1. 一次エネルギー消費量等級6は義務ですか?
A. いいえ、義務ではありません。2025年4月から義務化されたのは、省エネ基準(等級4相当)への適合です。ただし国は、遅くとも2030年までに省エネ基準をZEH水準へ引き上げる方針を示しているため、将来的には等級6相当が標準になっていく見込みです(2026年9月時点)。
Q2. 一次エネルギー消費量等級6とZEHの違いは何ですか?
A. 等級6は「基準の家より一次エネルギー消費量を20%以上削減できる性能」を示す等級です。一方ZEHは、太陽光発電などの創エネも組み合わせて、年間の一次エネルギー消費量を正味でゼロ以下にすることを目指す家の考え方です。等級6はZEHの土台となる省エネ性能、とイメージするとわかりやすいでしょう。
Q3. 等級はいくつあれば十分ですか?
A. 最低ラインは、義務化された省エネ基準に相当する等級4です。ただ、2030年の基準引き上げ方針や将来の資産価値を考えると、これから新築するなら一次エネルギー消費量等級6を目安にすることをおすすめします。
Q4. 自分の家の等級はどうやって調べますか?
A. 住宅性能評価書またはBELS評価書で確認できます。評価を受けていない家には等級を証明する書類がないため、これから建てる方は、評価書を取得するかどうかも含めて建築会社に相談してみてください。
まとめ|一次エネルギー消費量等級6は10年後の当たり前を先取りする選択

一次エネルギー消費量等級6について解説してきました。
BEI0.8と1.0、数字だけで見ると小さな違いに見えますが、BELSの星の数に開きがあることからもわかるように、家の省エネ性能としては大きな違いがあります。
家を資産として見たときも、遅くとも2030年までに省エネ基準をZEH水準へ引き上げる方針が示されている以上、等級6相当が「今後の当たり前」になっていく可能性が高いと言えます。将来「売りたくても売れない」ということにならないためにも、一次エネルギー消費量等級の高い家を選ぶ意味は十分あるのではないでしょうか。
昨今の暑すぎる夏、それと比較して寒い冬。こうした寒暖差があっても、家の中はエアコンに頼りすぎずに快適に過ごせて、健康的な生活が送れる。長く住まう家だからこそ、健康的に暮らせる家を建てていただきたいと思っています。
一次エネルギー消費量等級6相当の高気密高断熱の家がどんな住み心地なのかは、数字を眺めるより体感するのが一番の近道です。愛知県小牧市のモデルハウスでも、夏・冬の空気感を実際に体感していただけます。
皆さんが、「この家にしてよかった」と感じられる家を建てる手助けになれば幸いです。
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