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新築のクレームはどこまで直してもらえる?クロスの剥がれ・コンセントの隙間風・蟻・結露など不具合別に工務店が本音で解説

新築 クレーム どこまで

※この記事は2026年9月に全面的に加筆・更新しました。

 

「新築なのにクロスが割れてきた」「冬になったらコンセントから隙間風が入ってくる」「引き渡しから半年で蟻が出た」。住み始めてから見つかる不具合に、これはクレームを言っていいのか、言ったとしてどこまで直してもらえるのか、と迷っている方も多いのではないでしょうか。

 

私は工務店の人間として、長年アフター点検や不具合のご相談を受けてきました。その立場から先に結論をお伝えすると、新築の不具合を無償で直してもらえるかどうかは、“原因が施工にあるか”と“保証・アフター点検の範囲に入るか”の2つで決まります。逆に言えば、この2つを押さえておけば、クレームとして強く言う話なのか、点検のときに直してもらう話なのかを、ご自身で判断できるようになります。

 

そしてもう一つ、工務店の本音としてお伝えしたいのは、「新築なのに不具合が出た=施工不良」ではない、ということです。木の家は建ててから1〜2年、木が乾いて動きます。クロスの割れや隙間はその代表で、だからこそ1年点検・2年点検という仕組みがあるのです。

 

この記事では、クロス、コンセントの隙間風、蟻や虫、結露、床下のカビ、傷といった不具合の種類ごとに、よくある原因、施工側の責任になるケースとならないケース、無償で直してもらえる目安、そして伝え方を、工務店の立場から本音で解説します。ぜひ最後までご覧ください。

 

家の模型を前に頭を抱える若い夫婦

 

新築のクレームはどこまで直してもらえる?判断の基準は2つ

図面の上に置かれた家の模型と折尺・鉛筆・ペンチ

 

新築のクレームがどこまで通るのかは、じつは会社の気分や担当者の人柄で決まるものではありません。「原因」と「範囲」の2つで、ほぼ機械的に決まります。まずはこの2つの物差しを頭に入れておいてください。

 

①原因が施工にあるか、経年変化や使い方か

1つ目の物差しは、不具合の原因です。原因が施工にある、つまり工事のやり方や材料の選び方に問題があって起きた不具合なら、施工会社が責任を持って直すのが筋です。これは保証書に書いてあるかどうか以前の話で、クレームとして伝えて構いません。

 

一方で、木の乾燥による動き、日射や湿気による経年変化、住まい方(換気をしない、家具を壁に密着させる、など)が原因の不具合は、施工側の責任にはなりません。ただし、ここが大事なところですが、施工側の責任でなくても、アフター点検の一環として無償で直してもらえるものは多いです。クロスの隙間はその代表です。

 

つまり、「施工の責任か」と「無償で直るか」は、イコールではありません。責任ではないけれど直す、という領域が大きいのが住宅のアフターの実態です。だからこそ、クレームだと構えて言うより、点検の相談として伝えたほうが話が早いことが多いのです。

 

②保証・アフター点検の範囲か

2つ目の物差しは、その不具合が保証やアフター点検の範囲に入っているかどうかです。クレームを言う前に、ここを確認しておくと話が早くなります。そして知っておいてほしいのは、法律で決まっている保証はとても限られている、ということです。

 

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、新築住宅について、構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁・土台など建物を支える部分)と、雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁・開口部など)について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。この10年は契約で短くすることができません(国土交通省の資料で確認。2026年9月時点)。

 

裏を返すと、クロス、床、建具、設備、外構といった構造と雨漏り以外の部分は、法律の10年の対象外です。これらは各社が独自に決めている保証やアフターサービス基準で扱われ、期間も内容も会社ごとに違います。内装の保証が1年の会社もあれば2年の会社もありますし、設備はメーカー保証が基本という会社が多いと思います。

 

ですから、不具合を見つけたら、まず契約時にもらった保証書とアフターサービス基準を確認してください。「どこまで直してもらえるか」の答えの半分は、その書類にすでに書いてあります。

 

不具合別の早見表

ここまでの2つの物差しを、よくある不具合ごとにまとめたのが下の表です。あくまで私の経験に基づく一般的な目安で、無償で直してもらえるかどうかは会社ごとのアフター基準と契約内容で変わります。ご自身の保証書と照らし合わせて読んでください。

 

不具合 よくある原因 無償対応の目安 詳しくは
クロスの割れ・隙間 木の乾燥収縮 1〜2年点検で補修 クロスの章
コンセントの隙間風 気密処理の不足 施工側に確認依頼 隙間風の章
蟻・ゴキブリ・虫 貫通部・荷物・外構 隙間の是正のみ 虫の章
結露 換気・暮らし方 原因次第 結露の章
床下のカビ 基礎の乾燥・湿気 点検して判断 床下の章
傷・汚れ 引き渡し前後の区別 引き渡し前なら無償 傷の章

 

表の「無償対応の目安」は、あくまで一般的な傾向です。同じクロスの隙間でも、点検時期を過ぎていれば有償になることもありますし、逆に施工側の判断で期間外でも直してくれることもあります。クレームの細かい線引きは、以下の章で不具合ごとに見ていきましょう。

 

新築のクロスのクレーム|剥がれ・割れ・隙間は直してもらえる?

新築のクレームの中で、私の経験上いちばん多いのがクロス(壁紙)です。「入居して数か月で壁の角にひびが入った」「天井との境目に隙間があいた」「継ぎ目が浮いてきた」。え、新築なのに?と思いますよね。ここでは、クロスのクレームがどこまで通るのかを、原因から順に説明します。

 

クロスが割れる・隙間があく本当の原因(木の乾燥収縮・下地の動き)

新築のクロスに割れや隙間が出るいちばんの原因は、木の乾燥収縮です。木造住宅の柱や梁、下地の木材は、建てた直後はまだ水分を含んでいます。それが暮らしの中で少しずつ乾き、わずかに縮んだり反ったりします。クロスはその木の上に貼った石こうボードの表面に貼られていますから、下地の木が動けば、ボードの継ぎ目や壁の入隅(角)のクロスにも力がかかり、割れや隙間として表面に出てきます。

 

特に出やすいのは、壁と天井の境目、壁の入隅、ボードの継ぎ目、窓や建具の枠まわりです。冬に暖房で室内が乾燥すると木の動きが大きくなるため、「冬になったら急にクロスが割れた」というご相談が増えるのも毎年のことです。

 

これは施工が下手だから起きるのではなく、木という材料の性質です。私が現場で見てきた範囲では、どんなに丁寧に施工した家でも、1〜2年の間にどこかしらのクロスは動きます。動かない家のほうが珍しい、というのが正直なところです。

 

1年点検・2年点検で直すのが一般的な理由

では、クロスの割れや隙間はいつ直すのか。多くの住宅会社が1年点検・2年点検といったアフター点検を設けているのは、まさにこのためです。木の動きが落ち着くまでの1〜2年を待ってから、動いた箇所をまとめて補修するのが、クロスに関してはいちばん合理的なのです。

 

入居して3か月で出た隙間をすぐ直しても、木はまだ動いている途中ですから、半年後にまた別の場所が開きます。そのたびに職人さんを呼んで直すより、動きが収まった頃に一度で直したほうが、仕上がりも手間もきれいに収まります。私の経験では、1年点検で一度直し、2年点検で残りを直せば、その後はほとんど動かなくなります。

 

ですから、クロスの隙間を見つけたときに「これはクレームを言うべきか」と悩む必要はありません。写真を撮っておいて、次の点検のときに「ここと、ここと、ここをお願いします」と伝えれば十分です。もちろん、点検を待たずに連絡していただいても構いませんが、その場合も「点検時にまとめて」という返事になることが多いと思います。

 

なお、クロスの補修が無償になる期間は会社ごとに違います。1年まで、2年まで、あるいは点検時に限る、など基準はさまざまですので、保証書やアフターサービス基準の「内装」の欄を確認しておいてください。期間を過ぎてからの補修は有償になるのが一般的です。

 

施工不良と判断されるケース(浮き・継ぎ目のズレ・糊残り等)

一方で、クロスのクレームの中には、木の動きではなく施工に原因があるものもあります。これは点検を待たず、見つけた時点で連絡していただいて構いませんし、クレームとして伝えて問題ありません。

 

たとえば、貼った直後から広い面積で浮いている、継ぎ目が最初から重なっていたりずれていたりする、表面に糊が残って光ると筋が見える、柄がつながっていない、下地のビスの頭が透けて見える、といったケースです。入居直後から出ている不具合や、木の動きでは説明がつかない広い範囲の浮き・ズレは、施工側の責任で直すものと考えてください。

 

ただし、施工不良かどうかの判断は、写真だけでは難しいことも多いです。まずは連絡して、現場を見てもらう。そのうえで「これは乾燥による動きです」「これは貼り直します」と説明を受ける、という流れが自然です。説明に納得がいかなければ、その理由を具体的に聞いてみてください。誠実な会社なら、原因の違いをきちんと説明してくれるはずです。

 

クロスのクレームの伝え方と写真の残し方

クロスの不具合を伝えるときのコツは、感情ではなく場所と状態を伝えることです。「クロスがひどい」ではなく、「2階の寝室、北側の壁の入隅に、床から天井まで縦に隙間があいています。気づいたのは12月の初めです」というように、どこに・どんな状態で・いつからを、写真とセットで伝えると、施工側もすぐに動けます。

 

写真は、部屋全体が分かる引きの1枚と、不具合箇所に寄った1枚の2枚セットで撮っておくのがおすすめです。寄りの写真だけだと、どの壁のどの位置か分からないことがあります。定規や指を添えて撮ると、隙間の幅も伝わります。

 

そして、気づいた日付をメモしておいてください。1年点検のときに「この半年で増えた」「ここは前からあった」が分かると、原因の判断がしやすくなります。クロスのクレームは、伝え方ひとつで「面倒な客」にも「話が早い施主さん」にもなります(現場で何度も実感してきました)。淡々と、具体的に、が一番です。

 

新築のコンセントからの隙間風のクレーム|原因は気密処理

原因を考え込む作業着の職人2人

 

冬になると増えるのが、「コンセントから冷たい隙間風が入ってくる」というクレームです。手をかざすとスースーする、コンセントプレートの周りだけ壁が冷たい、という症状ですね。これはクロスの話とは違い、コンセントの隙間風は施工側に確認をお願いしてよい不具合です。

 

なぜコンセントから隙間風が入るのか(壁の中の空気の流れ・気密ボックス)

コンセントは、壁に穴をあけて取り付けます。壁の中には断熱材が入っていますが、コンセントボックスの周りは断熱材が切り欠かれ、配線が通る穴もあいています。そこに気密処理(隙間をふさぐ処理)がされていないと、壁の中の冷たい空気が、コンセントの穴を通って室内に流れ込んできます。これが隙間風の正体です。

 

外壁側の壁の中は、床下や小屋裏とつながっていることがあり、外気に近い温度の空気が動いています。室内で暖房を使うと、温かい空気が上に逃げ、その分を補うように壁の中から空気が引っ張られます。コンセントの穴は、その空気の出口になりやすいのです。

 

これを防ぐには、コンセントボックスの周りを気密ボックスや気密テープで包んで、壁の中の空気が室内に出てこないようにする施工が必要です。気密を重視している会社では標準の処理ですが、そこまでやらない会社もまだあります。コンセントの隙間風は、家の気密処理がどこまでされているかを映す鏡のようなものだと私は思っています。

 

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施工側に確認してもらうポイント(気密測定の有無)

コンセントの隙間風のクレームは、まず施工会社に「コンセントから隙間風が入るので、気密処理を確認してほしい」と伝えるところから始めてください。確認してもらうポイントは3つです。

 

1つ目は、外壁側のコンセントに気密ボックスや気密テープの処理がされているか。2つ目は、その家で気密測定(C値の測定。家全体の隙間の大きさを数値で測る検査)を行ったか、行ったならその数値。3つ目は、配線が壁を貫通している部分に隙間がないか、です。

 

契約時に「高気密」「C値いくつ」といった性能を約束されていた家であれば、コンセントの隙間風は、その約束が守られているかを確認してもらう正当な理由になります。一方で、気密について特に説明も約束もなかった家の場合、隙間風そのものを「施工不良」と言い切るのは難しいこともあります。それでも、コンセントまわりの後付けの気密処理(気密カバーの取り付けなど)は比較的簡単な作業ですので、相談すれば対応してもらえることが多いです。

 

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“寒い”というクレームはどこまで言える?

隙間風と並んで冬に多いのが、「新築なのに寒い」というクレームです。これはとても難しい話で、寒いという感覚は人によって違いますし、間取り、窓の大きさ、暖房の使い方によっても変わります。

 

線引きの目安は、契約時に何を約束されていたかです。断熱等級(家の断熱性能を国の基準で示す等級)やUA値(外皮平均熱貫流率。家全体からどれだけ熱が逃げるかの数値)を契約書や仕様書で約束されているなら、それが守られているかを確認してもらえます。図面と違う断熱材が入っていた、厚みが足りなかった、といった場合は、施工側の責任で是正してもらう話になります。

 

一方で、数値どおりに建っているのに体感として寒い、という場合は、クレームというより暮らし方の相談になります。性能の数値と体感の寒さは別物で、数値の約束が守られていれば、施工側に「寒さ」を直す義務は基本的にありません。ただ、誠実な会社なら、暖房の使い方や空気の流れについて一緒に考えてくれるはずです。「寒いから直して」ではなく「寒く感じる、何が原因か一緒に見てほしい」と伝えるのが、私のおすすめです。

 

新築に蟻・ゴキブリ・虫が出るクレーム|施工不良とは限らない

「新築なのに蟻が出た」「入居してすぐゴキブリを見た」。虫のクレームは、住む方にとっては衛生面でも気持ちの面でもつらい問題です。ただ、工務店の立場で正直に言うと、新築に虫が出ること自体は、施工不良とは限りません。まずは入ってくる経路を知ってください。

 

新築でも虫が入る経路(基礎の貫通部・配管まわり・引っ越し荷物・外構)

虫が入る経路は、大きく4つあります。1つ目は、基礎や壁を配管や配線が貫通している部分の隙間です。ここは本来ふさぐべき箇所で、隙間が残っていれば施工側の是正対象です。2つ目は、給気口、エアコンの配管穴、換気扇まわりなど、外とつながる開口部です。

 

3つ目は、引っ越しの荷物です。段ボールや家具、観葉植物の土などに卵や成虫がついて運び込まれるケースは、じつはかなり多いです。4つ目は、外構と周辺環境です。庭の土、植栽、隣地の草地などに巣があれば、玄関や窓からの出入りで入ってきます。蟻は特にこのパターンが多く、家の中に甘いものがあれば列を作ってやってきます。

 

つまり、虫のクレームは「家に穴があいている」場合と、「外から普通に入ってきた」場合があり、後者のほうが多いのが実態です。新築の家は周囲の土を動かして建てていますから、建てる前からいた虫の住みかを壊した格好になっていることもあります。

 

施工側が対応するケース/自分で対処するケース

施工側が対応するのは、経路の1つ目、つまり配管や配線の貫通部、基礎と土台の取り合いなど、本来ふさぐべき隙間が残っていて、そこから虫が入っている場合です。「床下から蟻が上がってくる」「壁の中から出てくる」といった症状なら、床下点検口から中を見てもらい、隙間があれば是正してもらえます。これは連絡して構いませんし、写真や動画があれば経路の特定が早くなります。

 

一方で、玄関や窓から入ってくる蟻、引っ越し荷物についてきたゴキブリ、外構の植栽にいる虫については、施工側に「直す」対象がありません。この場合はご自身で駆除する、市販の忌避剤や駆除剤を使う、必要なら害虫駆除の専門業者に頼む、という対処になります。工務店に相談していただければ経路の見立てはお手伝いできますが、駆除そのものを無償で行う会社は少ないと思います。

 

虫のクレームで大切なのは、「どこから出てくるか」を観察してから伝えることです。「蟻が出た」だけでは施工側も判断できません。「洗面所の床の巾木(壁と床の境目の細い板)の隙間から出てくる」「窓を開けた後に増える」といった観察があると、施工の問題か環境の問題かがすぐに分かります。

 

新築の結露・床下カビ・傷のクレーム|線引きの目安

「注意点」と書かれた木のブロックとカレンダー

 

ここからは、結露、床下のカビ、引き渡し後に見つけた傷という、線引きに迷いやすい3つの不具合について、それぞれの目安をお話しします。どれも「クレームを言っていいのか分からない」というご相談が多いものです。

 

結露は施工不良?(換気・暮らし方・気密と断熱)

「高気密高断熱と聞いていたのに窓が結露する」というクレームは、冬の定番です。結露は、室内の湿った空気が冷たい面に触れて水になる現象ですから、原因は「室内の湿気の量」と「面の冷たさ」の2つです。

 

施工側の責任になるのは、面の冷たさに問題がある場合です。たとえば、断熱材が図面どおり入っていない、窓の性能が仕様と違う、壁の中に隙間があって内部で結露している、といったケースです。特に壁の中の結露(内部結露)は、放っておくと木を傷めますので、疑いがあれば必ず見てもらってください。

 

一方で、換気システムを止めている、加湿器を強めにかけている、洗濯物を室内に大量に干している、といった暮らし方による結露は、施工側の責任にはなりません。性能の良い家ほど気密が高く、室内の湿気が外に逃げにくいので、換気を止めると結露しやすくなる、という皮肉な面もあります。まずは24時間換気を止めていないかを確認し、それでも特定の窓や壁だけがひどく結露するなら、その場所を写真に撮って相談してみてください。

 

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床下のカビ・湿気(基礎の乾燥・床下点検)

「床下点検口を開けたらカビ臭かった」「基礎のコンクリートが湿っている」という床下のクレームも、新築1年目に多いご相談です。これも原因によって線引きが変わります。

 

新築の基礎コンクリートは、打ってから長い時間をかけて水分を放出します。建てて最初の1年ほどは、床下の湿度が高くなりやすく、それだけで軽いカビ臭がすることがあります。これは多くの家で起きる一時的な現象で、床下の湿気は基礎の乾燥が進む1年目は高めになりやすく、それ自体は施工不良ではありません。

 

ただし、床下に水が溜まっている、基礎の外側から水が入っている、配管から水が漏れている、土台や大引き(床を支える横木)に広い範囲でカビが生えている、といった場合は話が別です。水の侵入や漏水は施工側で原因を調べて直すべきものですし、放置すると構造に影響します。床下は自分で見るのが難しい場所ですので、においや湿気が気になったら、点検のときに「床下を重点的に見てほしい」と伝えてください。写真を撮ってもらい、説明を受けるのが確実です。

 

引き渡し後に見つけた傷・汚れ(引き渡し時の確認が分かれ目)

「入居して荷物を運び込んだら、床に傷があった」「建具に汚れがついていた」という傷・汚れのクレームは、じつは最も線引きが難しいものです。理由は簡単で、その傷が引き渡し前からあったのか、引っ越しのときについたのかを、後から証明するのがとても難しいからです。

 

工務店の立場から正直に言うと、傷・汚れは、引き渡し前の施主検査や内覧会で指摘されたものは無償で直し、引き渡し後に見つかったものは原則として施主さん側の責任、という線引きが一般的です。もちろん、引き渡し直後で明らかに施工中についたと分かる傷(床の下に潜り込んだ傷、建具の内側の傷など)は相談に乗りますが、荷物を入れた後の床の傷を「最初からあった」と主張されても、施工側は確認のしようがありません。

 

だからこそ、傷・汚れについては次の章の施主検査・内覧会がすべてです。引き渡し前に、床、建具、キッチンやお風呂の表面、窓ガラス、クロスを、明るい時間帯にじっくり見てください。ここで見つけた傷は、遠慮なく指摘して直してもらえます。

 

引き渡し前が勝負|施主検査・内覧会でのトラブルを防ぐ

書類を挟んでテーブル越しに打ち合わせをする2人の手元

 

ここまで読んでいただくと分かるとおり、引き渡し後のクレームの多くは、引き渡し前の確認で防げます。施主検査(完成した建物を施主さんが確認する検査)や内覧会(完成見学の場)は、家づくりの中で、施主さんがいちばん強い立場で不具合を指摘できる最後の機会です。ここでのトラブルを防ぐポイントをまとめます。

 

施主検査で見るところ(チェック項目)

施主検査で見ていただきたいところは、大きく次のとおりです。すべてを完璧に見る必要はありませんが、傷・汚れと動作の確認は必ずしてください。

 

  • 床・建具・階段の傷、へこみ、汚れ(明るい時間に、低い位置からも見る)
  • クロスの浮き、継ぎ目のズレ、糊残り、柄のつながり
  • 窓・ドア・引き戸の開閉、鍵のかかり具合、網戸の動き
  • キッチン・お風呂・洗面・トイレの水の出方、排水、扉や引き出しの動き
  • コンセント・スイッチの位置と数が図面どおりか、通電しているか
  • 換気扇・24時間換気・給湯器・インターホンなど設備の動作
  • 外壁、基礎、外構の割れや汚れ、雨どいの取り付け
  • 図面・仕様書と違うところがないか(色、位置、数、高さ)

 

チェックには時間がかかりますので、施主検査の日は余裕を持って、できれば2時間以上取ってください。夕方や曇りの日は傷が見えにくいので、日中の明るい時間帯がおすすめです。図面と仕様書を持参して、一部屋ずつ照らし合わせながら見ると漏れが減ります。ここで見つけた不具合は、クレームではなく“引き渡し前の是正”として堂々と指摘できます。

 

内覧会で見つけた不具合の扱い(引き渡し前の是正リスト)

施主検査や内覧会で見つけた不具合は、その場で口頭で伝えるだけでなく、場所・内容・写真を一覧にした是正リストを施工会社と共有し、引き渡しまでに直すか、引き渡し後いつまでに直すかを書面で確認しておくことが大切です。これがあると、「言った・言わない」のトラブルがなくなります。

 

内覧会のトラブルでよくあるのが、指摘した箇所が引き渡し当日までに直っていない、というものです。工期の関係で引き渡し後の補修になることは実際にあります。それ自体は珍しくありませんが、「いつまでに」「誰が」直すかが決まっていないと、そのまま忘れられてしまうことがあります。是正リストに期日を書き、引き渡し時に残っている項目を再確認してください。

 

また、不具合の数が多い、構造や防水に関わる指摘がある、という場合は、引き渡しを少し延ばしてもらうという選択もあります。引っ越しの予定があると難しいのですが、引き渡し後に大きな補修をするほうが、暮らしへの影響は大きくなります。

 

追加費用のトラブルを防ぐ(変更は必ず書面で)

引き渡し前後のトラブルとしてもう一つ多いのが、追加費用です。「打ち合わせで変更した内容が、思っていたより高く請求された」「頼んでいない工事の費用が入っている」というものです。

 

これを防ぐ方法は一つしかありません。工事中の変更は、どんなに小さなものでも、金額と内容を書面(メールでも可)で確認してから進めてもらうことです。「コンセントを1つ増やす」「棚を1段追加する」といった小さな変更ほど、口頭で済ませてしまいがちで、後から金額の認識がずれます。

 

そして、図面と違う仕上がりに気づいたときは、まず契約時の図面と仕様書を確認してください。変更の経緯が書面に残っていれば話は早いですし、残っていなければ、どちらの認識が正しいかを冷静に話し合う材料になります。図面の見方に自信がない方は、下の記事を先に読んでおくと、打ち合わせでの確認がしやすくなります。

 

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クレームの伝え方と相談窓口

書類を手に親指を立てる担当者と依頼者の手元

 

不具合を見つけたとき、どう伝えればきちんと動いてもらえるのか。そして、施工会社と話がまとまらないときはどこに相談すればよいのか。この章では、クレームの伝え方と相談窓口をまとめます。

 

クレーマー扱いされない伝え方(事実・写真・日時・希望を淡々と)

「クレームを言ったらクレーマー扱いされるのでは」と心配される方は多いのですが、工務店の側から見ると、クレーマーかどうかは内容ではなく伝え方で決まります。不具合を指摘すること自体は、まったく問題ありません。

 

伝え方の型は、事実・写真・日時・希望の4つです。「どこで何が起きているか(事実)」「その写真」「いつ気づいたか(日時)」「どうしてほしいか(希望)」を、感情を挟まずに順番に伝える。これだけで、施工側は「話が早い施主さん」として、むしろ優先して動きやすくなります。

 

逆に、「こんな家を建てておいて」「信じられない」といった感情の言葉から入ると、施工側は身構えてしまい、肝心の不具合の話に入るまでに時間がかかります。お気持ちは分かりますし、私も現場でお叱りを受けたことは何度もありますが、結果として早く直るのは、淡々と伝えていただいたときです。連絡は電話だけでなく、メールや書面で記録が残る形にしておくと、後の確認にも役立ちます。

 

保証書とアフター基準の確認の仕方

クレームを伝える前に、手元の保証書とアフターサービス基準を確認しておくと、話がぐっと具体的になります。見るところは3つです。1つ目は、その不具合の部位(内装、建具、設備、構造、防水など)が保証の対象に含まれているか。2つ目は、保証期間が何年で、起算日が引き渡し日なのか契約日なのか。3つ目は、免責事項(経年変化、使い方によるもの、天災など)に該当しないか、です。

 

保証書には「経年変化による変色・収縮は対象外」「使用上の不注意による損傷は対象外」といった文言が入っていることが多いです。ここに当てはまると、法律上も契約上も無償対応の根拠がなくなります。ただし、先にお話ししたとおり、保証の対象外でも、アフター点検の一環として直してもらえる領域は広いです。保証書を根拠に「直す義務がある」と迫るより、「保証の対象外だとは思うのですが、点検で見ていただけますか」と相談するほうが、結果的にうまくいくことが多いというのが私の実感です。

 

保証書やアフター基準を紛失した場合は、施工会社に問い合わせれば再発行や写しの提供に応じてくれるはずです。設備のメーカー保証書は、取扱説明書と一緒にまとめて保管しておくと、いざというとき慌てません。

 

話がまとまらないときの相談先(住まいるダイヤル・消費生活センター)

施工会社にクレームを伝えても対応してもらえない、説明に納得できない、そもそも連絡がつかない。そんなときは、第三者の窓口に相談してください。私がおすすめするのは次の2つです(いずれも2026年9月時点で公式サイトを確認しています)。

 

1つ目は「住まいるダイヤル」です。公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する、国土交通大臣指定の住まいの相談窓口で、建築士が電話で相談に乗ってくれます。新築住宅の不具合やトラブルの相談も対象です。電話番号は03-3556-5147、受付は10時から17時(土日祝日・年末年始を除く)です。施工会社との話が平行線になったら、まず住まいるダイヤルで「この不具合は施工の責任と言えるのか」を建築士に聞いてみるのが、いちばん現実的な一歩だと思います。

 

2つ目は、お住まいの自治体の消費生活センターです。全国共通の「消費者ホットライン188(いやや)」に電話して郵便番号を入力すると、最寄りの消費生活センターや相談窓口を案内してもらえます。相談は無料です(通話料はかかります)。契約や請求に関するトラブル、業者の対応そのものへの相談に向いています。

 

どちらの窓口に相談するときも、これまでの経緯(いつ・誰に・何を伝え・どう返答があったか)と写真、保証書、契約書を手元にそろえておくと、相談がスムーズです。

 

損害賠償を考えるほどの不具合なら

構造に関わる大きな欠陥、雨漏りを放置された、補修のために仮住まいが必要になった。そうした深刻なケースでは、補修だけでなく損害賠償を求められる場合もあります。品確法の10年の瑕疵担保責任のほか、民法上の責任を追及できる場合もあり、事業者には保険や供託によって補修の資力を確保する仕組みも義務付けられています。

 

ただ、ここから先は法律の話になり、事実関係の整理と証拠が何より重要になります。損害賠償を考えるほどの不具合であれば、ご自身で交渉を続けるより、住まいるダイヤルや弁護士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。この記事では金額の目安などには触れません。ケースごとにまったく違うからです。

 

また、施工会社が「問題ない」と言い、施主さんは「おかしい」と感じている、という平行線のときは、第三者の建築士による住宅診断(インスペクション)を入れる方法もあります。客観的な報告書があると、話し合いの土台ができます。

 

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新築のクレームでよくある質問

木の板に並んだQ&Aの文字と観葉植物

 

Q1. 新築のクロスの隙間は無償で直してもらえますか?

多くの会社では、1年点検・2年点検などのアフター点検の範囲で無償で補修しています。クロスの隙間は木の乾燥収縮による自然な動きで、施工不良ではないことがほとんどですが、だからこそ点検で直す前提になっている会社が多いです。ただし、どこまで無償で直すかは会社ごとに違いますので、保証書やアフターサービス基準の「内装」の欄で期間を確認してください。期間を過ぎると有償になるのが一般的です。

 

Q2. 引き渡し後に気づいた傷はクレームを言えますか?

伝えること自体は構いませんが、引き渡し後に見つかった傷は、引き渡し前からあったものか引っ越しでついたものかを証明するのが難しく、原則として無償対応にはなりにくいです。明らかに施工中についたと分かる傷(建具の内側や家具を置いていない場所など)は相談に乗ってもらえることもあります。傷・汚れは施主検査と内覧会で見つけて、引き渡し前に直してもらうのが確実です。

 

Q3. 新築の保証期間は何年ですか?

法律(品確法)で義務付けられているのは、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引き渡しから10年間です(2026年9月時点・国土交通省の資料で確認)。それ以外のクロス・床・建具・設備などは法律の対象外で、各社の保証書やアフターサービス基準で期間が決まっており、会社ごとに違います。設備はメーカー保証が基本という会社も多いです。まずはご自身の保証書を確認してください。

 

Q4. 施工会社がクレームに対応してくれないときはどうすればいいですか?

まず、これまでの経緯(連絡した日時・相手・内容・返答)を書面にまとめ、写真と保証書をそろえてください。そのうえで、住まいるダイヤル(03-3556-5147・建築士が対応)に「この不具合は施工側の責任と言えるか」を相談するのが現実的な一歩です。契約や請求のトラブルなら消費者ホットライン188から消費生活センターへ。構造や雨漏りなど深刻なケースは、早めに弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

 

まとめ

「まとめ」と書かれた木のブロック

 

新築のクレームがどこまで直してもらえるかは、“原因が施工にあるか”と“保証・アフター点検の範囲か”の2つで決まります。法律で守られているのは構造と雨漏りの10年だけで、クロスや設備などは会社ごとのアフター基準しだい。「どこまで直してもらえるか」の答えの半分は保証書にすでに書いてありますので、まずはそこを確認するのが最初の一歩です。

 

そして、不具合=クレームではありません。クロスの割れや隙間は木の乾燥収縮による自然な動きで、1年点検・2年点検で直すのが前提です。コンセントの隙間風は気密処理の問題なので施工側に確認を、蟻や虫は経路しだい、結露は暮らし方も関係する、傷は引き渡し前の施主検査・内覧会がすべて。不具合の種類ごとに線引きは違いますが、共通しているのは「事実・写真・日時・希望を淡々と伝える」ことです。

 

工務店の本音を言えば、施主さんからの不具合の連絡は、私たちにとって家を長持ちさせるための大切な情報です。クレームだと構えず、点検の相談として気軽に伝えていただくのが、施主さんにとっても施工側にとっても、いちばん早くきれいに直る道だと思っています。伝えるのをためらって、点検の時期を過ぎてしまうのが、これは本当にもったいないですね。。。

 

なお、工事中の騒音や境界など近所とのトラブル、現場の職人さんのマナーについては、別の記事で詳しくまとめています。

 

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新築の不具合は、起きないことより、起きたときにきちんと直してもらえる関係があることのほうが大切だと私は思います。10年後・20年後も「この家にしてよかった」と家族全員が感じられる住まいづくりを目指しましょう。モデルハウスでは、実際の建物を見ながら、アフター点検の考え方についてもお話しできます。

 

 

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