「目隠しに庭木を植えたいけれど、常緑樹と落葉樹のどちらを選べばいいの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
道路や隣家からの視線が気になるリビングの窓の外に、緑の目隠しが欲しい。そう考えて庭木を調べ始めると、「常緑樹は一年中葉がある」「落葉樹は紅葉がきれい」といった説明はすぐに見つかるものの、では自分の庭にはどちらが合うのか、という肝心なところで手が止まってしまいます。
常緑樹と落葉樹の違いは、実は「葉が落ちるか、落ちないか」だけではありません。葉の作りそのものが違い、育ちやすい地域が違い、庭の中で得意とする役割も違います。この違いを知らないまま樹種を決めてしまうと、「冬になったら外から丸見えになった」「常緑樹なのに思ったより葉が落ちる」といった後悔につながりかねません。
この記事では、常緑樹と落葉樹の違いを「葉の仕組み」「生育環境」「メリットとデメリット」の3つの角度から徹底比較したうえで、目隠しの庭木に向くのは常緑樹と落葉樹のどちらなのかにお答えします。なお、南側に落葉樹を植える日よけの考え方や、家のそばに植えるときの注意点、水やりや剪定などの手入れについては別の記事で解説していますので、この記事では「違いの理解」と「目隠しの視点」に絞ってお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。
※この記事は2026年9月に内容を全面的に見直しました。樹木の性質は地域・品種・植える環境で変わるため、一般的な傾向としてお読みください。
⇒常緑樹と落葉樹の違いを、葉の仕組みや育つ環境から理解したい
⇒目隠しの庭木に常緑樹と落葉樹のどちらを選ぶべきか迷っている
◆この記事を読むとわかること
⇒常緑樹と落葉樹の違い(一覧表と、葉・環境・メリットとデメリットの徹底比較)
⇒目隠しに向く常緑樹の例と、落葉樹を目隠しに使うときの注意点
常緑樹と落葉樹の違い【一覧表で比較】
まずは全体像からです。常緑樹は一年を通して緑の葉を保つ木、落葉樹は秋から冬にかけて葉をすべて落とし、春に新しい葉を出す木です。ここまでは多くの方がご存じだと思いますが、この記事でお伝えしたいのは、その一行の先にある「なぜそうなるのか」と「だから庭でどう違うのか」です。
常緑樹と落葉樹の主な違いを、8つの項目で一覧表にまとめました。
| 項目 | 常緑樹 | 落葉樹 |
|---|---|---|
| 葉の寿命 | 数年で順に交代 | 1年で一斉に落ちる |
| 冬の姿 | 緑のまま | 枝だけになる |
| 葉の質 | 厚く硬い | 薄く広い |
| 落ち葉の量 | 年中少しずつ | 秋に集中 |
| 日差し | 年中さえぎる | 夏遮り冬通す |
| 目隠し向き | ◎ 一年中 | △ 冬は不向き |
| 四季の変化 | 少なめ | 大きい |
| 代表例 | シラカシ・キンモクセイ | ヤマボウシ・モミジ |
※同じ常緑樹・落葉樹でも、樹種や品種によって性質は異なります。一般的な傾向としてご覧ください。
表を眺めていただくと、常緑樹と落葉樹の違いが「葉の寿命」から順番に枝分かれしていることに気づくかもしれません。葉が数年もつから冬も緑のまま、長くもたせるために葉は厚く硬い、厚くて密だから日差しも視線もさえぎる、という具合です。葉の寿命の違いが、常緑樹と落葉樹のほかのすべての違いの出発点と言えるでしょう。
それでは、常緑樹と落葉樹それぞれの定義と特徴を、もう少し丁寧に見ていきます。
常緑樹の定義と特徴
常緑樹とは、一年を通して緑の葉を保っている樹木のことです。正確に言うと、1枚の葉の寿命が1年より長く、古い葉と新しい葉が少しずつ入れ替わるため、木全体としては常に葉に覆われて見える、という状態を指します。
ここで1つ、押さえておきたい区別があります。常緑樹には、シラカシ・ツバキ・キンモクセイ・ソヨゴのような平たい葉を持つ「常緑広葉樹」と、マツ・スギ・ヒノキのような針のような葉を持つ「常緑針葉樹」の2つのグループがあります。同じ常緑樹でも、常緑広葉樹は温暖な地域に多く、常緑針葉樹は寒さの厳しい地域でも育つという違いがあり、この区別を知らないと「常緑樹は寒さに弱い」という説明が一部だけ正しい話になってしまいます。詳しくは生育環境の章で解説します。
常緑樹の特徴は、何と言っても冬でも緑が残ることです。庭木として植えると、一年中安定した景観を保つことができ、外からの視線をさえぎる目隠しや生垣、風をやわらげる防風の役目に向いています。葉が厚く光沢のあるものが多く、冬でも少しずつ光合成を続けている点も、落葉樹との大きな違いです。
一方で、四季の変化は落葉樹に比べると控えめです。「冬に寂しくならない」ことは裏を返せば「春の芽吹きや秋の紅葉の感動が少ない」ことでもあります。常緑樹の中にもキンモクセイの香りやツバキ・サザンカの花のように季節を感じられる樹種はありますが、葉そのものの変化は小さいと考えておくとよいでしょう。
落葉樹の定義と特徴
落葉樹とは、秋から冬にかけて葉をすべて落とし、冬は枝だけで過ごして、春にまた新しい葉を出す樹木のことです。ヤマボウシ・ハナミズキ・イロハモミジ・ケヤキなどが代表例で、日本の四季の風景を作ってきた木の多くは落葉樹です。
落葉樹が葉を落とすのは、冬の寒さと乾燥から身を守るためです。葉を付けたまま冬を迎えると、葉から水分がどんどん失われ、凍結のダメージも受けやすくなります。そこで、秋のうちに葉の中の栄養を幹や枝に回収し、葉を切り離して休眠に入る。これが落葉樹の生き残り方です。
落葉樹の特徴は、春の新緑・夏の濃い緑・秋の紅葉・冬の枝ぶりと、一年を通して表情が変わることです。また、夏は茂った葉で日差しをさえぎり、冬は葉を落として日差しを通すという性質も、常緑樹にはない落葉樹ならではの働きです。
ここで注意していただきたいのが、樹種の分類です。ヤマボウシは「常緑ヤマボウシ」という別の品種が流通していることもあって常緑樹だと思われがちですが、ヤマボウシもハナミズキも、基本は落葉樹です。目隠しのつもりで植えたら冬に葉が落ちて驚いた、という話は珍しくありません。苗木を選ぶときは、必ず常緑タイプか落葉タイプかを確認してください。逆に、針葉樹なのに冬に葉を落とすカラマツのような例外もあり、「針葉樹だから常緑」とも言い切れないのが樹木の面白いところですね。
半常緑樹とは?常緑樹でも葉は落ちる
常緑樹と落葉樹の違いを調べていると、「半常緑樹」という言葉に出会うことがあります。半常緑樹とは、本来は常緑樹でありながら、冬の寒さが厳しいと葉の一部または全部を落としてしまう樹種のことです。
庭木でよく見かける例が、シマトネリコです。暖かい地域が原産の木のため、寒さの厳しい場所や北風の当たる場所では冬に葉を落とすことがあります。常緑ヤマボウシやハイノキも同じように、温暖な地域では常緑を保ちますが、寒さにあたると葉を落とすことがあると言われています。つまり、「常緑樹」と書いてあっても、植える地域や場所によっては冬に葉が減る樹種があるということです。
もう1つ、誤解されやすいのが「常緑樹は葉が落ちない」という思い込みです。常緑樹も、春から初夏にかけて新しい葉が出るのと入れ替わりに、古い葉を落とします。シラカシなどのカシ類やキンモクセイ、ソヨゴなどは、春から初夏に古い葉が目立って落ちる時期があります。落葉樹のように一斉に丸裸になるわけではありませんが、常緑樹を植えても落ち葉掃除がゼロになるわけではない、と覚えておくと、植えてからのギャップが小さくなります。
葉の仕組みの違い【持続型と効率型】
常緑樹と落葉樹の違いを本当に理解するには、葉そのものの作りを見るのが近道です。ここでは専門用語をなるべく使わずに、「葉を長くもたせる作戦」と「葉を使い切る作戦」という2つの戦略として整理します。
常緑樹の葉は「厚くて長持ち」
常緑樹の葉は、手で触るとわかるほど厚くて硬いものが多く、表面がつやつやと光っています。この光沢のもとは、葉の表面を覆う「クチクラ層」と呼ばれる、ロウのような薄い膜です。この膜が水分の蒸発を抑えてくれるため、常緑樹の葉は乾燥や寒さに耐えて、1枚の葉を数年にわたって使い続けることができます。
シイやカシ、タブノキのように葉が光る常緑広葉樹は「照葉樹(しょうようじゅ)」とも呼ばれ、まさにこのクチクラ層が発達した葉を持つ木たちです。1枚1枚の葉を頑丈に作り、冬の弱い光でも少しずつ光合成を続ける。常緑樹の葉は、いわば「持続型」の働き方です。
この「厚くて密な葉」という性質は、目隠しを考えるうえでとても重要です。葉が厚いと光を通しにくく、葉が密に付くと隙間ができにくい。常緑樹が目隠しや生垣に使われてきたのは、単に冬に葉があるからだけではなく、葉の作りそのものが視線をさえぎるのに向いているからと言えるでしょう。
落葉樹の葉は「薄くて効率重視」
落葉樹の葉は、常緑樹に比べて薄くて広く、光に透かすと葉脈が見えるほどです。厚みを削ったぶん、光を受ける面積を大きく取り、春から夏の日差しが強い時期に一気に光合成を行って、短期間で多くの栄養を作ります。
そして秋になると、葉の中の栄養を幹や枝に回収してから、葉を落とします。翌年はまたゼロから新しい葉を作るわけですから、一見もったいないようですが、冬の間に葉を守り続けるコストを考えると、こちらの方が合理的な地域があるのです。落葉樹の葉は、1シーズンで使い切る「効率型」の働き方と言えます。
薄くて広い葉は、夏に心地よい木漏れ日を作ってくれる一方で、目隠しという視点では常緑樹より光も視線もやや通しやすい傾向があります。夏の落葉樹の葉陰から向こうの景色がちらちら見える、あの感じを思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。
紅葉が起こる理由
落葉樹の大きな魅力である紅葉も、葉の仕組みの違いから説明できます。葉が緑色に見えるのは、光合成を担う「クロロフィル」という緑の色素があるからです。秋になって気温が下がり日が短くなると、木は葉を落とす準備として、このクロロフィルを分解して葉の中の栄養を回収し始めます。
緑の色素が減ると、それまで隠れていた黄色の色素が目立って葉は黄色くなり、樹種によっては新たに赤い色素が作られて葉が赤く染まります。福岡県の生物多様性に関する解説によると、紅葉は1日の最低気温が8℃以下になると始まり、さらに気温が下がると進むと言われています。つまり紅葉は、落葉樹が葉を捨てる前に栄養を回収する「後片付け」の過程で起こる色の変化なのです。
常緑樹は葉を数年使うので、基本的にはこの派手な色の変化がありません。常緑ヤマボウシのように寒さで葉が赤みを帯びる樹種はありますが、落葉樹のように木全体が燃えるように色づく景色は、落葉樹ならではのものと言えるでしょう。
生育環境と分布の違い
常緑樹と落葉樹は、育ちやすい地域も違います。「うちの地域で常緑樹はちゃんと育つの?」という不安に答えるために、日本の森の分布から見てみましょう。
常緑広葉樹は温暖な地域に多い
日本の森を大きく分けると、暖かい地域には常緑広葉樹の森(照葉樹林)、寒い地域には落葉広葉樹の森や針葉樹の森が広がっています。照葉樹林は本州南部から四国・九州にかけての暖温帯に分布し、シイ・カシ類・タブノキ・クスノキなどが代表的な樹種です。
常緑広葉樹は、冬もそれほど厳しく冷え込まない温暖な地域を中心に分布しているため、庭木としても温暖な地域では選択肢がとても豊富です。沿岸部や日陰の多い場所でも育つ種類が多く、古くから温暖な地域では生垣として常緑樹が使われてきました。
ただし、寒さに強い樹種とそうでない樹種の幅は広く、例えばシラカシはカシ類の中では寒さに強いとされる一方、ハイノキやシマトネリコのように寒さで葉を落としやすい樹種もあります。同じ常緑広葉樹でも「どこまで寒さに耐えるか」は樹種ごとに違うため、植える地域の冬の冷え込みと照らし合わせて選ぶことが大切です。
落葉樹と常緑針葉樹は寒冷地でも育つ
一方の落葉樹は、冬に葉を落として休眠することで寒さをやり過ごすため、冷涼な地域に強いのが特徴です。冷温帯にはブナやミズナラの落葉広葉樹林が広がり、ケヤキは北海道西南部から九州まで広く自生しています。もちろん温暖な地域でも落葉樹は元気に育ちますから、落葉樹は「寒冷地でも温暖地でも育つ守備範囲の広いグループ」と言えるでしょう。
そしてもう1つ、見落とされがちなのが常緑針葉樹です。マツ・スギ・ヒノキなどの針葉樹は常緑ですが、針のように細い葉で寒さと乾燥に耐える作りになっており、寒さの厳しい地域にも広く分布しています。北海道のような寒冷地でも、冬に緑を保つ針葉樹の姿は珍しくありません。
ですから、「常緑樹は寒さに弱い」という説明は、正しくは「常緑広葉樹には寒さに弱い樹種が多い」と読み替える必要があります。常緑樹と落葉樹の違いを気候の面から語るときは、広葉樹か針葉樹かをセットで考えると、話が一気に整理されます。
名古屋・愛知の気候との相性
では、名古屋・愛知の気候はどうでしょうか。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、名古屋の1月の平均気温は4.8℃、8月の平均気温は28.2℃です。冬に氷点下が続くような地域ではないため、常緑広葉樹の多くにとって冬の寒さは大きな壁にはなりにくく、名古屋・愛知の平野部は、常緑樹・落葉樹のどちらも育てやすい地域と言われています。
ただし、これは平野部の話です。同じ愛知県でも山間部は冷え込みが厳しくなりますし、市街地でも北風の抜ける場所や日陰の多い場所では、半常緑樹が冬に葉を落とすことがあります。「愛知だから大丈夫」と決めつけず、植える場所の日当たりと風の当たり方まで見ておくと安心です。
むしろ名古屋・愛知で気をつけたいのは、冬の寒さより夏の暑さかもしれません。厳しい西日が当たる場所では常緑樹・落葉樹を問わず葉焼けを起こしたり、植えたばかりの木が水切れで弱ったりすることがあります。夏の暑さに対する手当ては樹種の分類と別の話ですので、この記事では「植える場所の西日と水やりに注意」とだけお伝えしておきます。
常緑樹と落葉樹のメリット・デメリット
ここまでの違いを踏まえて、常緑樹と落葉樹それぞれのメリットとデメリットを整理します。どちらにも良い面と気をつけたい面があり、一方が万能ということはありません。
常緑樹のメリット
常緑樹の最大のメリットは、一年中緑を楽しめることです。冬でも庭が寂しくならず、道路や隣家との境界に植えれば、季節を問わず外からの視線をさえぎる目隠しとして働いてくれます。風をやわらげる防風や、ある程度の防音の効果も期待できます。
落ち葉が秋に集中しないため、掃除の負担が分散されるのもメリットです。常緑樹も春から初夏に古い葉を落としますが、落葉樹のように短期間に大量の葉が散ることはありません。忙しくてこまめに庭に出られない方にとって、この差は意外と大きいものです。
また、常緑樹の中にはキンモクセイの香り、ツバキやサザンカの花のように、緑以外の楽しみを持つ樹種もあります。冬の花の少ない時期に咲くサザンカは、常緑の葉と花を同時に楽しめる、目隠しにも向いた木です。
常緑樹のデメリット
常緑樹のデメリットは、一年中日差しをさえぎってしまうことです。目隠しとしては長所でも、冬に日差しを取り込みたい窓の前に植えると、室内が暗くなったり、冬の日だまりを失ったりする可能性があります。植える場所と窓の関係は、常緑樹こそ慎重に考えたいところです。
葉が密に茂るぶん、枝の中の風通しが悪くなりやすく、放っておくと病害虫の温床になることもあります。定期的な剪定で枝を透かしてやる必要があるという点は、目隠しの効果と引き換えの手間と考えておきましょう。
さらに、先ほど解説したとおり、常緑広葉樹には寒さに弱い樹種が多く、地域や場所によっては葉が傷んだり落ちたりします。四季の変化が控えめで、紅葉のような季節の感動が少ない点も、人によってはデメリットに感じるかもしれません。
落葉樹のメリット
落葉樹の最大のメリットは、四季の変化を一年通して楽しめることです。春の芽吹き、夏の濃い緑、秋の紅葉、冬の枝ぶりと、同じ木が季節ごとに違う表情を見せてくれます。庭に季節のカレンダーがあるようなもので、こればかりは常緑樹では味わえません。
夏は葉が茂って日差しをさえぎり、冬は葉を落として日差しを通す、という性質もメリットです。窓との位置関係をうまく取れば、冷暖房に頼りきらない暮らしの助けになります。この使い方については別の記事で詳しく解説しています。
寒冷地でも温暖地でも育つ守備範囲の広さと、成長の早い樹種が多く緑の量が早く確保できる点も、落葉樹の強みです。落ち葉を集めて堆肥(たいひ・落ち葉などを分解させた土壌改良材)にすれば、庭の中で自然の循環を体験できるという楽しみもあります。
落葉樹のデメリット
落葉樹のデメリットは、何と言っても冬に葉がなくなることです。目隠しとして植えていた場合、家で過ごす時間が長い冬に、目隠しがまるごと消えてしまうことになります。これが、落葉樹を目隠しに使うときの最大の注意点です。
秋には大量の落ち葉が短期間に出るため、掃除の手間が集中します。落ち葉が道路や隣家に飛んでご近所との気まずさにつながることもあるため、植える場所や樹高の管理には配慮が必要です。
成長が早い樹種が多いことは、裏を返せば大きくなりすぎやすいということでもあります。剪定を怠ると、10年後には想像以上の大きさになっていることも珍しくありません。冬の枝だけの姿を「寂しい」と感じるか「風情がある」と感じるかは、人それぞれの好みと言えるでしょう。
目隠しの庭木に向くのは常緑樹?落葉樹?【結論】
ここからが、この記事のタイトルにある問いへの答えです。常緑樹と落葉樹の違いを踏まえたうえで、目隠しの庭木にはどちらが向いているのでしょうか。
結論:目隠しの基本は常緑樹
結論から言えば、目隠しを目的に庭木を植えるなら、基本は常緑樹です。理由は3つあります。
1つ目は、単純に一年中葉があるからです。目隠しは「必要なときに機能してこそ」のもので、季節によって消えてしまう目隠しは目隠しとして頼りにくいと言えます。
2つ目は、冬こそ目隠しが必要になる季節だからです。冬は日が短く、夕方には室内に明かりがつきます。明るい室内と暗い屋外という組み合わせでは、外からの方が室内がよく見えてしまいます。家で過ごす時間も長い冬に落葉樹の葉がなくなるのは、目隠しとしては一番困るタイミングと言えるでしょう。
3つ目は、葉の仕組みの章で解説したとおり、常緑樹の葉は厚くて密に付くため、視線をさえぎる力そのものが落葉樹より強いからです。冬に葉があるだけでなく、夏でも落葉樹より透けにくい。目隠しという役割において、常緑樹は二重の意味で有利と言えます。
目隠しに向く常緑樹の例
では、具体的にどの常緑樹が目隠しに向くのでしょうか。ここでは「しっかり隠すタイプ」と「やわらかく視線をそらすタイプ」の2つに分けてご紹介します。同じ常緑樹でも、目隠しの効き目を決めるのは、葉の密度・成長の速さ・育ったときの高さの3つです。
まず、葉が密でしっかり隠せるタイプです。
・シラカシ: 目隠しや高い生垣の定番。カシ類の中では寒さに強く、成長が速いぶん毎年の剪定が欠かせない
・キンモクセイ: 枝葉が密に茂り、秋には香りも楽しめる。放っておくと下の方がすかすかになるため剪定で形を保つ
・サザンカ: 低めの生垣向き。秋から冬に花が咲き、葉も密で目隠しになる
・ツバキ: サザンカに似た常緑樹で、冬から春に花が咲く。葉が厚く光沢がある
・トキワマンサク: 生垣によく使われる常緑樹で、春に紅紫や白の花が咲く
・イヌマキ: 常緑針葉樹。背の高い垣根として、防風にも使われてきた
次に、常緑ではあるものの葉の付き方が繊細で、「がっちり隠す」というより「視線をやわらげる」のに向くタイプです。
・ソヨゴ: 成長がゆるやかで手入れが楽な人気樹種。ただし葉がまばらで、目隠しとしては物足りないという見方もある
・ハイノキ: 成長がとても遅く、繊細な枝葉が美しい。暖地性で、寒さにあたると葉を落とすことがある
・常緑ヤマボウシ: 花と実を楽しめる常緑品種。寒さで葉を落とすことがある半常緑
・シマトネリコ: 成長が速く緑の量は早く確保できるが、半常緑で冬に葉を落とすことがあり、葉の付き方が粗く目隠しにはなりにくいという見方もある
「この木は目隠しになりますか?」と聞かれたとき、答えが樹種によってこんなに違うと思いません? 同じ常緑樹でも、密に隠したいのか、ほどよく視線をそらしたいのかで選ぶ木は変わります。窓の正面に道路がある、隣家の窓と向かい合っている、といった「しっかり隠したい」場所には前者を、庭の奥行きを出しながらやんわり隠したい場所には後者を、と使い分けるのがおすすめです。
なお、成長の速さは「早く目隠しが完成する」メリットと「毎年の剪定が必要になる」デメリットの両面を持っています。ゆっくり育つ木は手入れが楽な反面、目隠しとして機能するまで時間がかかります。どちらを取るかは、庭に出られる時間と相談して決めるのがよいでしょう。
落葉樹を目隠しに使うとどうなる?
「それでも紅葉が好きだから、落葉樹で目隠ししたい」という方もいらっしゃると思います。落葉樹を目隠しに使うと、どうなるのでしょうか。
答えはシンプルで、春から秋は目隠しになり、冬は丸見えになります。葉が茂っている間は、薄い葉なりに視線をさえぎってくれますが、落葉後は枝だけになり、目隠しの機能はほぼ失われます。
とはいえ、これが必ずしも「失敗」とは限りません。例えば、夏に庭で過ごすときの視線だけ気になる、掃き出し窓を開ける季節だけ隠れていればいい、という使い方であれば、落葉樹の目隠しでも十分に役目を果たします。「一年中隠す必要があるのか、葉のある季節だけでいいのか」を先に決めておくと、落葉樹という選択肢も自然に見えてきます。
一年中の目隠しが必要な場所にどうしても落葉樹を植えたい場合は、木だけに頼らず、フェンスや格子、常緑の低木などと組み合わせる方法があります。冬の目隠しはフェンスが担い、春から秋は落葉樹の葉がフェンスの硬さをやわらげてくれる。常緑樹を主役に落葉樹を添える形でも、落葉樹を主役にフェンスで補う形でも、「冬に誰が目隠しを担当するのか」を決めておくことが、後悔しない目隠し計画の第一歩です。
目隠し以外の視点は別記事へ
この記事では「違い」と「目隠し」に絞って解説してきましたが、常緑樹と落葉樹の選び方には、ほかにも大切な視点があります。南側の窓辺に落葉樹を植えて夏の日よけ・冬の採光を両立させる考え方、成長後の大きさや基礎・配管・雨樋との距離といった家のそばに植えるときの注意点、水やり・剪定・病害虫などの手入れ、そしてシンボルツリーとしての樹種選びです。これらは家づくりの視点から次の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
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常緑樹と落葉樹に関するよくある質問
最後に、常緑樹と落葉樹の違いについてよくいただく質問にお答えします。
Q.常緑樹は本当に葉が落ちないのですか?
A.落ちます。ただし、落葉樹のように一斉には落ちません。常緑樹は1枚の葉を数年使い、春から初夏に新しい葉が出るのと入れ替わりに古い葉を落とします。木全体では常に葉があるため「落ちない」ように見えるだけで、落ち葉掃除がゼロになるわけではありません。落葉樹との違いは「一斉か、少しずつか」と考えるとわかりやすいでしょう。
Q.半常緑樹とは何ですか?
A.本来は常緑樹ですが、寒さが厳しいと葉の一部または全部を落とす樹種のことです。シマトネリコが代表的で、常緑ヤマボウシやハイノキも寒さにあたると葉を落とすことがあります。温暖な地域では常緑を保ちますが、北風の当たる場所や冷え込みの厳しい場所では冬に葉が減ることがあるため、一年中の目隠しを期待して植えるなら、その場所の冬の環境を確認しておくことが大切です。
Q.目隠しにおすすめの常緑樹はどれですか?
A.しっかり隠したいなら、葉が密なシラカシ・キンモクセイ・サザンカ・ツバキなどが定番です。やわらかく視線をそらす程度でよければ、ソヨゴやハイノキのような繊細な樹種も選択肢になります。ただし、目隠しの効き目は葉の密度・成長の速さ・育ったときの高さで変わり、同じ樹種でも仕立て方で差が出ます。「どこまで隠したいか」を先に決めてから樹種を選ぶのがおすすめです。
Q.常緑樹と落葉樹はどちらが育てやすいですか?
A.一概にどちらが育てやすいとは言えません。樹種と植える環境しだいです。一般的な傾向としては、常緑樹は落ち葉の掃除が分散する一方で剪定で風通しを保つ手間があり、落葉樹は秋の掃除が集中する一方で寒さに強く守備範囲が広い、という違いがあります。「常緑だから楽」「落葉だから大変」と分類だけで決めず、成長の速さや病害虫への強さを樹種ごとに確認することが、後悔しない庭木選びにつながります。
まとめ:目隠しは常緑樹、季節感は落葉樹、両方の組み合わせが最善
最後に、常緑樹と落葉樹の違いと、目隠しに向くのはどちらかをまとめます。
・常緑広葉樹は温暖な地域向き、落葉樹と常緑針葉樹は寒冷地でも育つ。「常緑樹は寒さに弱い」は常緑広葉樹の話
・常緑樹も春から初夏に古い葉を落とす。半常緑樹は寒さで冬に葉を落とすことがある
・目隠しに向くのは基本的に常緑樹。冬こそ目隠しが必要で、葉が厚く密な常緑樹は視線をさえぎる力も強い
・落葉樹を目隠しに使うなら「冬に誰が目隠しを担当するか」を決め、フェンスや常緑樹と組み合わせる
常緑樹と落葉樹の違いは、葉が落ちるか落ちないかという見た目の話にとどまらず、葉の作り・育つ地域・庭での役割にまで広がっています。そして目隠しという役割については、一年中葉があり、葉が厚く密な常緑樹に軍配が上がります。
とはいえ、常緑樹だけの庭は季節の変化が乏しく、落葉樹だけの庭は冬に寂しくなります。目隠しには常緑樹、季節感には落葉樹と役割を分けて、両方を組み合わせるのが、庭木選びの最善の答えと言えるでしょう。境界沿いの目隠しは常緑樹に任せ、リビングから眺める位置に落葉樹を1本。それだけで、視線を気にせず窓を開けられて、秋には紅葉も楽しめる庭になります。
庭木は植えた瞬間ではなく、10年後・20年後に本領を発揮するものです。常緑樹と落葉樹の違いを知ったうえで「この場所には、どちらの性質が必要か」を考えて選んでいけば、後悔しない庭づくりにつながります。窓を開けたときに緑が目に入る暮らしは、なかなかいいものですよね〜。
庭全体の使い方や楽しみ方については、こちらの記事でまとめています。
窓の外の視線がどれくらい気になるものか、庭木や外構との距離感はどのくらいがよいかは、図面よりも実際の建物で体感するのが一番わかりやすいものです。モデルハウスでも窓まわりと外構の関係をご覧いただけますので、目隠しの庭木をイメージする参考にしてみてください。
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