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登記事項証明書は個人情報?

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個人情報が洩れている?

ここ数年で個人情報がとても大切に扱われ、今ではアンケート等でも住所や電話番号をなるべく差し控える風潮になりつつあります。また、個人情報を取得する側にはその問扱いが厳格化されてきております。この背景には、なりすましや、送付け詐欺・オレオレ詐欺などの犯罪の増加が背景にあると言われています。

 

そんな中、私たちが日常業務の中で馴染みのある不動産の登記事項証明書は個人情報じゃないのか?と疑問に思った事が有り、少し調べてみました。

 

登記事項証明書(登記簿謄本)には、所有者・住所・氏名・抵当権(お金を借りているかどうか?)・その他の権利(差押え等)がバッチリと表示されています。それって個人情報じゃないの?かなりの個人情報じゃん!って感じる方は多いはず。ではなぜこれだけ個人情報が叫ばれている時代にも関わらず、いまだに手軽に登記事項証明書が誰でも簡単に取得できるのか?

 

まずは、

個人情報についての整理。

まず、個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をさします(個人情報保護法2条1項)。

 

個人情報保護が人権として認められる根拠は、憲法13条から生じるプライバシー権にあります。しかし13条にはこう書いてあります。人権は公共の福祉の為に一定限度の制限を受ける物であり、個人情報の保護を考えるためには他人の人権や社会制度等との兼ね合いを考慮する必要が在ります。

 

*要するにバランスと言う事。片方を守るがあまり、そのもう一方が疎かになってはそりゃ困る。では、どちらを優先的に保護するか?個人情報の保護と国民の公の利益保全を秤にかけたら国民の公の利益保全の方が勝つって事かな?

不動産登記=個人情報?

不動産登記制度の目的は、不動産登記に関する物理的状況(表題部)と権利関係(権利部)を登記記録に公示して国民の権利の保全を図り、不動産取引の安全と円滑に資することです。

 

個人情報保護とこの不動産登記のいずれを優先すべきかが問題となりますが、仮に個人情報の保護を非常に重視する立場に立って、やむにやまれぬ目的の為に必要な不可欠な限度でのみ個人情報を公開することができるとしましょう。
登記制度がなかった場合、どの範囲が誰の所有に属する土地か、ということが明らかでない場合に、どのように不動産取引を行うことができるでしょうか。動産であれば現在占有している者が所有者であると考えることができますが、不動産であれば公示がなければ所有者を探すことすら非常に困難です(例として、山林の所有者を登記簿を使わずに探すことをイメージしてみてください)。相続登記していなくて、何代も相続していた場合何人の権利者がいるのか?想像しただけでもゾッとします。

 

また登記がない場合、抵当権者はその不動産を抵当権設定後に購入した人間に対して主張することができるでしょうか。主張できないとすれば抵当権は事実上その存在意義をなくしますし、設定者との間での契約書等さえあれば主張できるというのであれば、買い受けた人の権利が酷く害されます(貴方が土地を購入した後にいきなり抵当権を実行されて一円も残らないところを想像してください。もちろん債務者に求償はできますが、通常は金がなくて抵当権を実行されているのですから、求償してもとりかえす事はできません)。

 

このように、不動産の情報を公示する事は国民の財産権に密接に関係します。不動産を購入するか否かの決定をする権利=自己決定権にも影響し、社会全体の取引の安全が酷く害されます。また、そもそも行政機関で保有すべきでないというのであれば徴税すら不可能になります。

 

閲覧を制限しろ、という主張も一部にはありますが、制限(例えば取引を行うことを証明した場合にのみ閲覧させるなど)した場合には、誰が権利者であるかを知りたい場合(知らないとそもそも取引にすら移行できません、だって所有者が分からないんだもん)には閲覧できないということになり、結局上記の目的を達成することができません。と言う事は、登記制度はやむにやまれぬ目的の為に必要不可欠でなんです。

 

実際にはプライバシー権を制約の適否の判断には、より緩い指標が用いられますから、なおさら登記制度は正当化されることになります。
行政機関個人情報保護法においても、法令に基づく場合(もちろん法令が違憲でないことが絶対条件ですが)における個人情報の提供は認められています。

 

第八条  行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。

 

所有物件がわかっているのであれば現地に行けば住所等はわかるでしょうし氏名もおそらくわかるでしょう。また、氏名等というのは通常社会に公開することが予定されています。所有権や抵当権に関しても、権利者は社会に対してそれを主張することが通常ですから、登記制度を犠牲にしてまで保護する必要が有るという事は、この点から見ても言う事ができません。

 

従って、登記事項証明書の内容は個人情報ですが、個人情報保護によって国民が得る利益よりも、登記制度の維持によって得られる利益のほうが大きく、公共の福祉の観点から後者が優先される、ということになります。
上記の問題点を全て解決しつつ、個人情報を保護する方法があれば別ですが。多分ないでしょう。

 

個人情報保護 < 不動産登記事項証明書=国民の利益保全 の図式と言う事のようです。

 

 

 

 

 

 

 

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