「玄関は狭いけど、収納も欲しい」
「せっかくだからDIYしてみようと思うけど、どんなものがあったら便利かな」
「DIY初心者だけど、失敗しないコツとは?」
このように、狭い玄関の収納をDIYで何とかしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。家を購入・建築するという人生の一大イベントに、自分でも参加してみたいと希望される方が増えたなと実感する日々です。
玄関収納は、新築時に作り付けてしまえば統一感・利便性の高いオリジナルの収納を手に入れられますが、最近は住んでからDIYにチャレンジされる方も増えています。広い玄関であれば収納力のある大きな玄関収納を確保できますが、玄関が狭いと、既製品の靴箱を置くだけでもスペースを圧迫してしまい、収納を増やすのが難しい場合もあります。
とはいえ、狭いからこそ、限られたスペースを有効活用して便利な玄関収納をDIYする価値があります。狭い玄関に合わせて寸法を決められるのは、既製品にはないDIYならではの強みだからです。
この記事では、狭い玄関でも実現できる収納DIYのアイデアを8つ、初心者でもできる靴箱・シューズラックの作り方とあわせて紹介します。玄関収納DIYを失敗しないためのコツ、DIY以外で狭い玄関を広く使う工夫、用意しておきたい道具まで、工務店の目線で分かりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
※この記事は2026年9月に内容を加筆・更新しました。
⇒狭い玄関の収納をDIYで増やしたい
⇒DIY初心者で、どんな玄関収納なら自分で作れるか知りたい
◆この記事を読むと分かること
⇒狭い玄関でも作れる収納DIYのアイデア8選と、その作り方
⇒玄関収納DIYで失敗しないコツと、用意したい道具・材料
玄関収納DIYを成功させる6つのポイント

玄関は毎日出入りする場所であり、来客時にも最初に目につく「家の顔」とも呼べるスペースです。玄関収納の使い勝手が悪い、DIYしてみたものの仕上がりがイマイチ、などストレスの原因となってしまっては元も子もありません。
まずは、狭い玄関の収納をDIYするにあたり、失敗しないためのコツ・ポイントを6つチェックしていきましょう。
- 素材・色味を収納回りと統一させる
- 使いやすさを重視してデザイン案を練る
- できるだけシンプルな設計にする
- 置く場所と材料をきっちり採寸する
- 不安なら水平器を使ってみる
- 石膏ボードの崩落を防ぐため下地を壁に入れておく
DIY作品を取り付けるなら壁に下地を(ポイント6)
6つの中でも、特に重要度が高いのがポイント6の「下地」です。一般的な住宅の内壁は、柱の上に石膏ボード(石こうを紙で挟んだ板状の内装材)を張り、その上にクロスを貼って仕上げています。石膏ボードはそれ自体が柔らかく、ビスをそのまま打ち込んでも十分に効かないため、耐荷重オーバーなDIY(保管物品含め)になると、棚ごと壁が崩れてしまう結果にもなりかねません。
「重いものをのせないから大丈夫なはず」と思ったものの、しっかりした棚板にしたいと選んだ木材自体が重くて、崩れてしまうケースもあります。靴箱や棚を壁に固定するDIYでは、石膏ボードの裏にある柱や間柱(壁の中に立っている補助の柱)に、ビスをしっかり効かせることが大前提です。
だからこそ、これから家を建てる方でDIYを計画しているなら、作品を設置する可能性のある壁には、あらかじめ下地(ビスを効かせるための合板などの補強材)を入れておくことをおすすめします。新築時に下地を入れておく手間は、後から壁を補強し直す手間と比べればわずかなものです。すでに住んでいる住まいで壁に棚を付ける場合は、壁の中の柱や間柱の位置を探してから取り付けてください。
玄関収納DIYの安全性は、作る前の「下地」でほぼ決まると言えるでしょう。壁の中の柱を探す方法と、新築時に下地を入れておくコツは、こちらの記事で詳しく解説しています。
玄関収納DIYの成功は統一感がカギ(ポイント1〜3)
ポイント1の「統一感」は、仕上がりに大きく影響します。毎日必ず目に入る場所ですから、ここはしっかり納得できる素材にすることをおすすめします。「まったく同じ木材・色味がなくてもいいか、、、と思ったけれど、やっぱり気になる」という方も多いので、材料選びは吟味してください。
床材・玄関周りの内装・既存の靴箱などと素材を統一したい、という希望がある場合は、施工した工務店に購入できないか問い合わせてみるのも一案です。必ずしも購入できるとは限りませんが(余分な木材がなく、ケース単位で購入しないといけない場合も)、同じ材料が手に入れば、狭い玄関でも造作したかのような一体感のある仕上がりになります。
ポイント2・3の「使いやすさ」と「シンプルな設計」も、初心者ほど意識したいところです。DIY経験が浅いうちは、急に凝ったデザインに挑戦するよりも、「棚板と棚受けだけ」のようなシンプルな設計にした方が、失敗が少なく、仕上がりもきれいにまとまります。デザイン案を練るときは、「何を、何足(何個)しまうか」を先に書き出しておくと、使いやすさの検討がしやすくなります。
統一感・使いやすさ・シンプルさの3つは、狭い玄関の収納DIYを「おしゃれに片付く」仕上がりへ導く基本です。
採寸・水平施工こそ使い勝手に重要(ポイント4・5)
使い勝手・仕上がりに直結するのが、ポイント4の「採寸」とポイント5の「水平」です。狭い玄関は、数センチの誤差がそのまま「扉が当たる」「靴が入らない」「通路が狭くなる」という失敗につながります。置く場所の幅・奥行き・高さはもちろん、玄関ドアや靴箱の扉を開けたときの軌道、巾木(壁の一番下に付いている細い板)の出っ張りまで測っておくと安心です。
材料の採寸も同じです。ホームセンターで木材をカットしてもらう場合は、現地で測った寸法をメモにして持っていき、カットしてもらった後にもう一度測り直す、という一手間で失敗が減ります。「測ったつもり」が一番危ないのは、DIYもプロの現場も同じですね。
また、棚板を水平に取り付けるべきところは、目分量ではなく水平器を使うと安心です。ほんの少しの傾きでも、靴が手前に滑ってきたり、置いた小物が転がったりと、毎日のストレスになりかねません。
「測る・測り直す・水平を確認する」を面倒がらないことが、玄関収納DIY成功の秘訣と言えるでしょう。
狭い玄関の収納DIYアイデア8選
ここからが本題です。狭い玄関でも実現しやすい収納DIYのアイデアを、初心者向けの簡単なものも含めて8つ紹介します。まずは一覧で全体像をつかんでください。
| 番号 | DIYアイデア | 難易度 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| ① | オープンシューズラック | 初級 | 見せる収納にしたい |
| ② | 棚板+ポールの玄関クローク | 中級 | 大物や上着が多い |
| ③ | 斜め棚の靴箱・シューズラック | 中級 | 横幅も奥行きも狭い |
| ④ | 壁付けの掛ける収納 | 初級 | 小物の定位置が欲しい |
| ⑤ | 壁付けスリッパ収納 | 初級 | スリッパが散らかる |
| ⑥ | 引き出せる隙間収納 | 中級 | 靴箱の横に隙間がある |
| ⑦ | 靴箱下のキャスター台 | 初級 | 靴箱の下が空いている |
| ⑧ | 有孔ボードの壁面収納 | 初級 | 後から配置を変えたい |
8つすべてを作る必要はありません。ご家族の持ち物と玄関の形に合わせて、必要な玄関収納DIYをいくつか組み合わせるのが、狭い玄関を使いやすくする近道です。それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
①オープンシューズラック(棚受け+棚板)

オープンラックは見た目もおしゃれで、「見せる収納」として設置する方も増えています。作り方は、壁に棚受け(棚板を支える金具)を固定し、棚板をのせるだけ、と施工も簡単です。狭い玄関でも、壁さえあれば取り付けられるのが最大の利点でしょう。
棚板はやすりをかけてから、ニスやオイルなどで塗装しておくと、靴の汚れも拭うだけで簡単に落とせます。棚板の長さ・大きさも自由ですから、ブーツや長靴など高さのある靴の収納も自由に設計できるのも魅力です。併せて、最下段の棚板の裏にポールを設置すると、ハンガーや傘などひっかける収納もできます。
注意点は、先ほどの「下地」です。棚受けを固定するビスは、必ず壁の中の柱や間柱、または新築時に入れた下地に効かせてください。また、オープンラックは中身が丸見えになるため、靴の数を絞り、色味を揃えて並べると、狭い玄関でも生活感が出にくくなります。既製品の靴箱を置く場所がない狭い玄関では、このオープンラックが靴箱の代わりになります。
棚板を水平に設置する場合は、水平器を使うと楽でおすすめですよ。
オガタ
オープンシューズラックは、初心者が最初に取り組む玄関収納DIYとして、もっとも失敗の少ないアイデアです。
②棚板とポールで自作の玄関クローク
シューズクロークのスペースだけ確保して、収納部分は自作DIYという方もいらっしゃいます。収納するものが多い、キャンプグッズなど大きな物が多い、といったご家庭では、自作することで利便性の高い収納を確保できるのも利点です。
先に紹介したオープンシューズラックの要領で、必要なスペースに棚板を設置しましょう。狭い玄関脇の小さなスペースでも、L字型・コの字型にラックを設置すると、壁を無駄なく使えて収納量を確保しやすくなります。アウターやレインコートなど、ひっかけて収納するスペースを設ける場合は、天板にポールを取り付ければ簡単にDIYできます。
ポイントは「しまう物の高さ」から棚の間隔を決めることです。ブーツ・長靴・アウトドア用品など、背の高い物の定位置を先に決め、残りの空間を靴や小物の棚に割り当てると、無駄な隙間ができにくくなります。可動式の棚柱(棚受けを差し込む溝の付いた金物)を使えば、住んでから棚板の高さを変えられるので、初心者にも扱いやすいでしょう。
重いものは下の方に収納スペースを設けてください。
棚板下にスペースをとっておいて、キャスター付きの台を設置しその上に置くと棚の崩落が防げるうえ、掃除も楽にできますよ。
オガタ
玄関クロークのDIYは、狭い玄関でも「靴以外の物」の置き場をまとめて作れる、収納力重視のアイデアです。土間収納やシューズクロークそのものを間取りで計画する場合の失敗例と対策は、こちらの記事をご覧ください。
③斜め棚の省スペースシューズラック【狭い玄関の靴箱DIY】

「玄関の横幅が狭いけれど、靴箱やシューズラックが欲しい」というときには、水平ではなく斜めの棚板を取り付けるシューズラックをおすすめします。棚板を手前に傾けて、靴を立てかけるように収納する形で、水平の棚より奥行きを浅くできるため、狭い玄関でも通路をふさぎにくいのが特徴です。
棚板の傾斜をきつくするほど省スペースで設置できますが、当然、収納力は落ちます。どのくらいの量を収納したいのか、設置して邪魔にならない奥行きにしたときどうか、をポイントにサイズを決めてください。斜めに設置する棚板の下側(つま先部分を固定し落下防止する方)の先端に、1センチ角で十分なので木材を固定しましょう。この小さなストッパーがないと、靴が滑り落ちてしまいます。
靴箱(シューズボックス)そのものを自作する場合の寸法も、考え方は同じです。一般的な大人の靴が収まるように、靴箱の奥行きは30〜35cm程度が目安とされていますが、狭い玄関ではこの奥行きが通路を圧迫することも少なくありません。そのため、ご家族の一番大きな靴を実際に測り、「収まる最小の奥行き」を探るのがDIYならではの工夫です。材料は、反りにくく加工しやすい集成材(小さな木材を接着して1枚にした板)や厚めの合板が扱いやすく、棚板の厚みは靴の重さでたわまない程度に余裕を持たせてください。
既製品の靴箱は、狭い玄関に置くには奥行きが深すぎることがよくあります。靴箱をDIYする一番のメリットは、まさにこの「奥行きを自分の玄関に合わせられる」点にあります。
長靴やブーツを収納すると邪魔になってしまいます。
必要な場合は一番下の棚板の位置を高くし、下にスペースを確保しておくと使いやすくなります。
オガタ
斜め棚のシューズラックは、「狭い玄関に靴箱を置きたい」という悩みに対する、DIYならではの省スペースな答えです。
④壁付けの掛ける収納(板+フック)
壁に装飾のような、ひっかける収納を設置するDIYアイデアです。平行した板(棚板のようにではなく、板を面で壁に付ける)を壁に数枚、隙間を2センチ程度ずつ開けて固定してください。
フックを取り付ける・ポールを付ける・小物を入れる小箱を取り付ける・装飾用の棚板を取り付ける、など工夫次第でいろいろな使い方ができます。フックには帽子や小さなバッグ、観葉植物のポットなどもひっかけられますし、お出かけ準備に必要な小物類をまとめておしゃれに収納できます。ポールがあると、来客時のアウターの保管場所にも使えます。
狭い玄関で床に物を置くと、それだけで通路が狭くなり、掃除もしにくくなります。床に置かず「壁に掛ける」ことで、狭い玄関の床面を空けたまま収納を増やせるのが、このアイデアの強みです。掛ける物を家族それぞれの鍵と帽子程度に絞っておくと、壁がごちゃついて見えるのも防げます。
小さな小物を装飾する程度の棚であれば、固定した板と板の隙間と同じ厚みの木材を挟むだけで棚になります。
オガタ
壁付けの掛ける収納は、狭い玄関の床を広く保ちながら「見せる収納」も楽しめるアイデアです。
⑤散らからない省スペースのスリッパ収納
簡単かつおしゃれ見えも叶う、玄関先で散らかりがちなスリッパの壁付け収納のアイデアも紹介します。既製品のスリッパラックを床に置くと、狭い玄関ではそれだけで邪魔になりがちですが、壁付けなら床面積を使いません。
用意するのは、長さ15cm・幅5cm前後(お好みで)ほどの木材2本と、収納するスリッパを横に並べた長さ分の木材1本(幅は1センチでもあればOK)です。用意した2本の板を、収納するスリッパを横に並べられるだけ間隔を開けて、縦に固定しましょう。残りの木材を中央部分に橋を渡すように固定したら、スリッパ収納の完成です。
横に渡した木材にスリッパのふくらんだ部分をひっかけて使っていただくと、玄関先でスリッパが散らからずにスッキリ片付きます。材料が少なく工程も短いため、電動ドライバーを初めて使う方の練習にもちょうど良いDIYです。
木材でなく、黒などのアイアンのポールを橋渡しすると雰囲気ががらっと変わりますよ。
オガタ
スリッパ収納は、材料3本で完成する、もっとも手軽な玄関収納DIYのひとつです。
⑥靴箱横の引き出せる隙間収納
靴箱(シューズボックス)の横に、中途半端な隙間があると、ここも有効活用できないかと気になりませんか?この隙間を、外出時によく持ち出すものの収納場所として役立てると、靴箱の上に物が散乱したり、忘れて出かけてしまうリスクも軽減するでしょう。
靴箱の奥行き・高さ、隙間の幅をしっかり計測し、そのサイズに合わせて引き出せるラックをDIYします。底面にキャスターを付け、前面にはお好みの取っ手を付けると取り出しやすく便利です。靴箱と同じ質感・色味の木材でサイズを合わせれば、統一感もありおしゃれにまとめられます。
中に置くものは、エコバッグ・鍵類・マスク・保険証やお薬手帳・母子手帳・サングラス・印鑑など、「出かける直前に必要になるもの」がおすすめです。狭い玄関ほど、数センチの隙間が「忘れ物ゼロの定位置」に化けるのが、このDIYの面白いところです。
注意点は、隙間の幅とラックの幅の差です。ぴったりすぎると引き出すたびに壁や靴箱をこすってしまうため、左右に少し余裕を持たせ、キャスターの高さも含めて採寸してください。
引き出せる隙間収納は、狭い玄関のデッドスペースを「毎日使う収納」に変えるアイデアです。
⑦靴箱下のキャスター台で収納力アップ
靴箱の下に空間があるご家庭も多いのではないでしょうか。この靴箱下のデッドスペースこそ、簡単なDIYで収納力アップが可能です。
とても簡単な方法では、100均で購入できる「すのこ」にキャスターを取り付けるだけ、というものもあります。これだと「DIYした実感がわかない、、、」という声も聞こえてきそうなので、別案も紹介しますね。
靴箱の横幅と同じ長さの木材を購入しましょう。このとき、選ぶ木材はできれば靴箱と同じ色味のものだと、統一感のある仕上がりになります。靴をのせる場合は、汚れの付着を最小限に抑えるため、表面はやすってなめらかにし、最低限ニスを塗装すると、さっと拭うだけで汚れは落とせます。表面を整えた木材の裏面にキャスターを4つ取り付ければ完成です。
雨の日に汚れた長靴を乾燥させるスペースとして、また普段履きする靴の収納場所や、外で使う道具や外遊びグッズの収納場所として、いろいろな使い方ができます。引き出せるので奥まで手が届き、たたきの掃除も楽になるのは、狭い玄関ほどうれしいポイントです。
靴箱下のキャスター台は、工具に慣れていない方でも短時間で作れる、費用対効果の高いDIYです。
⑧有孔ボード(パンチングボード)の壁面収納
最後は、有孔ボード(パンチングボード)を使った壁面収納です。有孔ボードとは、等間隔に穴の開いた板のことで、穴に専用のフックや棚受けを差し込んで、物を掛けたり小さな棚を作ったりできます。
作り方は、壁の中の柱や下地の位置に合わせて、有孔ボードをビスで固定するだけです。ただし、フックを穴に差し込むには、ボードの裏側に指1本分程度の隙間が必要なため、ボードと壁の間に木材などのスペーサー(隙間を作るための部材)を挟んで取り付けてください。狭い玄関の壁一面ではなく、靴箱の上の壁だけ、ドア横の細い壁だけ、といった小さな面から始めるのがおすすめです。
有孔ボードの最大の利点は、フックの位置を後から自由に変えられるため、暮らし方が変わっても作り直しがいらないことです。鍵・帽子・傘・スリッパ・お子さまの通園グッズなど、季節や成長に合わせて掛ける物を入れ替えられます。
一方で、有孔ボードも「見える収納」です。掛ける物が増えすぎると、狭い玄関では圧迫感が出やすいため、ボードの色を壁に近い色にする、フックの色を揃える、といった工夫で、すっきりした印象を保ちやすくなります。
有孔ボードの壁面収納は、「今の暮らし」に合わせて何度でも作り替えられる、初心者向けの玄関収納DIYです。
狭い玄関を広く使うアイデア【DIY以外も】
ここまで狭い玄関の収納DIYを紹介してきましたが、DIYで収納を増やしても、玄関そのものが物であふれていては窮屈さは解消しません。ここでは、DIYと組み合わせたい「狭い玄関を広く使う」3つの視点を紹介します。これから家を建てる方なら、間取りの段階で取り入れられるものもあります。
そもそも、収納を含めた玄関全体の広さは3畳前後が平均的といわれていますが、家族の人数や玄関の使い方によって「ちょうど良い広さ」は変わります。人数別の玄関の広さの目安は、こちらの記事で詳しく解説しています。
浮かせる:床に物を置かない
既製品の靴箱やラックを床に置くと、その分の床面積がそのまま消えてしまいます。壁に取り付けて床から浮かせる「フロートタイプ」の収納にすると、足元が見えて圧迫感が減り、掃除もしやすくなります。
先ほど紹介したオープンシューズラック(①)や壁付けの掛ける収納(④)は、まさに「浮かせる」発想のDIYです。新築なら、造作の靴箱を浮かせて下に間接照明を仕込む、といった設計も人気があります。狭い玄関では「床に何も置かない」だけで、実際の広さ以上にゆとりを感じられます。
掛ける:壁面を収納にする
狭い玄関でも、壁は意外と余っているものです。フック・ポール・有孔ボードで壁面を収納にすれば、床を使わずに収納量を増やせます。ただし、掛ける物を絞らないと壁がごちゃつくため、「家族1人につき鍵と帽子だけ」のようにルールを決めておくのがコツです。
DIY以外では、新築時に壁の厚みを利用したニッチ(壁のくぼみの飾り棚)を設けて鍵置き場にする方法もあります。壁面は狭い玄関に残された最後の収納スペースと考えて、DIYでも造作でも上手に使いたいところです。
逃がす:玄関の外に収納を作る
玄関の中に無理に収納を詰め込まず、玄関から近い廊下やホールにクローゼットを設ける、玄関脇に土間収納を設ける、階段下を収納にするなど、収納を「玄関の外に逃がす」のも有効です。これはDIYよりも間取りの工夫になるため、これから家を建てる方は設計段階で検討してみてください。
狭い玄関は「収納を増やす」より「玄関に置く物を減らす」発想の方が、結果的に広く使えることもあります。DIYで作った収納も、しまう物が減れば、その分だけ余裕を持って使えるようになります。
狭い玄関を広く使う鍵は、「浮かせる・掛ける・逃がす」の3つの視点です。DIYにこだわらない玄関収納のアイデアや、計画段階での収納の考え方は、こちらの記事で12個まとめています。
玄関収納DIYで用意したい道具と材料
最後に、狭い玄関の収納DIYを始める前に揃えておきたい道具と材料を、簡潔にまとめます。すべてホームセンターや100均で手に入る、ごく一般的なものばかりです。
| 道具・材料 | 主な用途 | ひとことポイント |
|---|---|---|
| 水平器 | 棚板の傾き確認 | 小型で十分 |
| 電動ドライバー | ビス打ち・下穴 | 手回しより確実 |
| 下地探し | 壁の中の柱を探す | 壁固定なら必須 |
| 棚受け・金物 | 棚板を支える | 耐荷重を確認 |
| 木材 | 棚板・枠・台 | 集成材が扱いやすい |
| やすり | 角・表面を整える | ケガ防止にも |
| 塗料 | 汚れ・傷の予防 | ニス・オイルなど |
このほか、メジャーと鉛筆、そしてビス(木ねじ)も必要です。ビスは「取り付ける板の厚み+下地に効かせる長さ」で選び、短すぎると抜け、長すぎると壁の中の配線や配管を傷つける恐れがあるため、壁に打つビスは、壁の中の柱や下地の位置と、その手前に何があるかを確認してから打つことが大切です。
木材は、ホームセンターでカットしてもらえるサービスを利用すると、初心者でも寸法どおりに揃えやすくなります。塗料は、靴を置く棚ならニスのように表面に膜を作るタイプが拭き掃除に向き、木の風合いを残したい飾り棚ならオイル系が向いています。どちらも、狭い玄関では換気をしながら作業してください。
道具を揃えすぎる必要はありませんが、「水平器・電動ドライバー・下地探し」の3つは、玄関収納DIYの仕上がりと安全性を大きく左右します。
玄関収納DIYに関するよくある質問
最後に、狭い玄関の収納DIYについてよくいただく質問にお答えします。
Q.賃貸でも玄関収納DIYはできますか?
A.壁に穴を開けない方法を選べば、賃貸でも玄関収納DIYは可能です。例えば、床と天井の間に突っ張るタイプの柱を立て、そこに棚受けと棚板を取り付ける方法なら、壁に傷を付けずに靴箱や棚を作れます。靴箱下のキャスター台(⑦)や、置き型のラックを自作する方法も、壁に手を加えないDIYです。ごく細いピンで固定するタイプのフックは穴が目立ちにくいものもありますが、原状回復の範囲は物件によって異なるため、事前に管理会社や大家さんに確認しておくと安心です。
Q.石膏ボードの壁に棚を付けても大丈夫ですか?
A.石膏ボードだけにビスを打っても十分な強さは出ないため、壁の中の柱や間柱、または下地にビスを効かせることが基本です。石膏ボード用のアンカー(ボードに差し込んでビスを効かせる部品)もありますが、支えられる重さには限界があり、靴やブーツをたくさん入れる棚には向きません。「壁のどこに柱があるか」を先に調べてから、棚受けの位置を決めるのが、失敗しない順番です。壁の中の柱の探し方は、前半の「DIY作品を取り付けるなら壁に下地を」で紹介した記事で詳しく解説しています。
Q.靴箱をDIYするなら、材料は何を選べば良いですか?
A.初心者には、反りにくく加工しやすい集成材や、厚めの合板がおすすめです。無垢の一枚板は風合いが良い一方で、湿気の多い玄関では反りや割れが出ることもあるため、扱いには慣れが必要です。靴箱の奥行きは30〜35cm程度が目安ですが、狭い玄関ではご家族の一番大きな靴を測って「収まる最小の奥行き」で作ると、通路を圧迫しにくくなります。靴の汚れや湿気を考えて、棚板にはニスなどを塗り、扉を付ける場合は通気の隙間を残しておくと、匂いがこもりにくくなります。
Q.DIYと造作(工務店に作ってもらう)、どちらが良いですか?
A.重い物・大きな物を支える収納や、壁に固定して長く使う収納は造作、小物の収納や後から配置を変えたい収納はDIY、と分けて考えるのがおすすめです。造作なら床材や建具と素材を揃えた統一感のある靴箱が手に入り、下地や耐荷重の心配もありません。一方で、DIYは費用を抑えつつ、住んでからの暮らし方に合わせて手を加えられるのが魅力です。どちらか一方に決める必要はなく、「間取りで決める収納は造作、住んでから足す収納はDIY」という組み合わせが、狭い玄関では特に相性が良いでしょう。計画段階での玄関収納の考え方は、「狭い玄関を広く使うアイデア」の章で紹介した記事にまとめています。
まとめ:狭い玄関も収納DIYで快適に。コツを押さえてしっかり採寸が成功の秘訣
狭い玄関の収納DIYアイデアを8つ、成功のポイント6つとあわせて紹介してきました。オープンシューズラックやスリッパ収納のような初心者向けのものから、斜め棚の靴箱、有孔ボードの壁面収納まで、狭い玄関に合わせて寸法を決められることこそ、DIYの一番の強みです。
毎日使う玄関ですから、限られたスペースでも有効活用して快適な空間にできたら素敵ですよね。DIYで大切なのは、素材・色味の統一、シンプルな設計、きっちりした採寸と水平、そして壁に固定するなら「下地」です。この基本を押さえておけば、狭い玄関でも失敗の少ない収納DIYができるでしょう。
そして、DIYで収納を増やすことと、「浮かせる・掛ける・逃がす」で玄関に置く物を減らすことは、セットで考えると効果が大きくなります。これから家を建てる方は、DIYを見越して壁に下地を入れておく、玄関の外に収納を逃がす、といった計画を、設計の段階で工務店に相談してみてください。「自分でDIYは難しいけれど、自分たちに必要な収納を形にしたい」という場合も、造作とDIYの分担を工務店と一緒に考えるのが、後悔しない玄関づくりの近道です。
図面の上では、玄関の広さや収納の大きさの感覚はなかなかつかめないものです。愛知県小牧市のモデルハウスで、実際の玄関の広さや靴箱の奥行きの感覚を、ぜひ体感してみてください。
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自分で思ったとおりのものを形にする楽しさは、家づくりに携わる者としていつも実感しているところです。皆さんが狭い玄関の収納DIYを通じて、自宅にもっと愛着を感じていただければ、うれしく思います。


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