「間取りって、そもそも何のこと?」「1LDKの“1”って、何の数?」
家探しや家づくりを始めたばかりの頃、こんな疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
賃貸でも建売でも注文住宅でも、最初に目にするのは間取り図です。ところがその間取り図には、1LDK・2DKといった数字とアルファベットのほかに、S・PS・MB・WIC・UBのような記号がたくさん並んでいます。なんとなく分かったつもりで読み飛ばしてしまいがちですが、記号の意味や図面の見方を知らないまま間取りを決めてしまうと、住んでから「思っていた広さと違う」「この部屋、こんなに暗かったの?」となりかねません。
この記事では、間取りとは何かという基本から、間取り図の記号・略語の一覧、寸法や畳数・扉や窓の記号の読み方、そして注文住宅で間取りを決めるときのポイントまでを、工務店の目線で分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
⇒間取り図の1LDK・2DK・S・PS・MBなどの意味を知りたい方
⇒これから注文住宅の間取りを考え始める方
◆この記事を読むとわかること
⇒間取りとは何か、数字とアルファベットの読み方とDK・LDKの広さの目安
⇒間取り図の記号・略語の意味と、寸法・畳数・扉・窓の記号の見方
⇒間取りを決めるときのポイントと失敗しやすい点
※この記事は2026年9月に内容を加筆・更新しました。DK・LDKの表示の目安や採光の規定は2026年9月時点の情報です。制度は変わることがありますので、最新の情報もあわせてご確認ください。
間取りとは?【1R・1K・1DK・1LDKの意味】
まずは「間取りとは何か」というところから。言葉としては毎日のように目にしますが、改めて聞かれると意外と説明しにくいものです。
間取りとは「部屋の配置と広さの計画」のこと
間取りとは、住まいの中にどんな部屋をいくつ置き、それぞれをどのくらいの広さにして、どうつなげるかを決めた計画のことです。玄関からリビング、キッチン、寝室、トイレ、お風呂、収納まで、「どこに・何を・どのくらいの大きさで置くか」を決めたものが間取りで、それを上から見た図にしたものが間取り図です。
賃貸や建売のチラシで見る間取り図は、部屋の位置関係が分かるように簡略化された図です。一方、注文住宅の打ち合わせで出てくるものは「平面図(へいめんず)」と呼ばれ、壁の厚みや窓の位置、寸法まで書き込まれた設計図になります。呼び方は違いますが、どちらも「間取りを図にしたもの」という点は同じです。
間取りは、家の住み心地をほぼ決めてしまう要素と言ってもよいかもしれません。同じ延床面積(各階の床面積の合計)でも、部屋のつなげ方や収納の置き方が変わるだけで、暮らしやすさは大きく変わります。だからこそ、間取り図を正しく読めるようになることが、後悔しない家づくりの第一歩と言えるでしょう。
数字とアルファベットの読み方(1R・1K・1DK・1LDK)
間取りは「1R」「2DK」「3LDK」のように、数字とアルファベットの組み合わせで表されます。アルファベットはそれぞれ、L=リビング(居間)、D=ダイニング(食事をする場所)、K=キッチン(台所)の頭文字です。頭の数字は、L・D・Kを除いた「居室(きょしつ。寝室や子ども部屋など、人が長く過ごす部屋)」の数を表しています。
たとえば3LDKなら、居室が3部屋と、リビング・ダイニング・キッチンが一体になった部屋がひとつある間取りです。数字が大きいほど部屋数が多いというだけで、数字が表しているのは「広さ」ではなく「居室の数」だという点は押さえておきたいところです。
Rはルーム(Room)のことで、1Rはワンルーム、つまり居室とキッチンの間に仕切りがなく、ひとつの空間になっている間取りを指します。1Kは居室1部屋とキッチンが扉などで仕切られているもの、1DKは居室1部屋に食事もできる広さのダイニングキッチンが付いたもの、1LDKはさらにくつろぐスペースまで含めた広いLDKが付いたもの、と考えると分かりやすいでしょう。
では、KとDKとLDKは、何を境に呼び分けているのでしょうか。実はここに、不動産広告のルール上の「目安」があります。
DK・LDKと表示できる広さの目安(不動産広告のルール)
不動産の広告(賃貸・分譲の表示)には「不動産の表示に関する公正競争規約」というルールがあり、これを運用している不動産公正取引協議会連合会が、DK・LDKと表示するために最低限必要な広さの目安を定めています(2011年(平成23年)に連合会の総会で指導基準として承認されたもの。2026年9月時点)。
| 居室(寝室)の数 | DK | LDK |
|---|---|---|
| 1部屋 | 4.5畳以上 | 8畳以上 |
| 2部屋以上 | 6畳以上 | 10畳以上 |
つまり、居室が1部屋の間取りなら、キッチンのある部屋が4.5畳以上でDK、8畳以上でLDKと表示でき、居室が2部屋以上なら6畳以上でDK、10畳以上でLDKと表示できる、という目安です。この目安に届かないキッチンのある部屋は、単にK(キッチン)として扱われることになります。(以前のこの記事では、この数字を取り違えて書いていました。失礼しました。。。)
なお、この目安での「1畳」は1.62㎡以上と決められています(各部屋の壁心面積を畳数で割った数値)。畳の大きさは地域や種類によって差があるため、広告用に物差しをそろえているわけですね。
ここで注意したいのは、この目安はあくまで「広告にDK・LDKと表示するためのルール」であって、注文住宅でこの広さにしなければならない決まりではないという点です。とはいえ、「今住んでいる賃貸の2LDKより広いLDKにしたい」といったとき、10畳という数字が比較の物差しになりますので、知っておいて損はないでしょう。
間取り図の記号・略語一覧【S・PS・MB・WIC・SIC・UBなど】
間取り図には、たくさんの記号や略語が出てきます。まとめて一覧にしておきますので、手元の間取り図と照らし合わせてみてください。なお、記号の表記は会社や図面によって少しずつ違いますので、迷ったら図面の凡例(はんれい。記号の説明書き)や担当者に確認するのが確実です。
| 記号 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| L | リビング | 居間・くつろぐ部屋 |
| D | ダイニング | 食事をする場所 |
| K | キッチン | 台所 |
| DK | ダイニングキッチン | 食事+台所が1室 |
| LDK | リビングダイニングキッチン | 居間+食事+台所が1室 |
| R | ルーム | ワンルームの部屋 |
| 洋・和 | 洋室・和室 | 床がフローリング・畳 |
| S | サービスルーム | 居室扱いでない部屋 |
| N | 納戸 | 収納用の部屋 |
| DEN | デン | 書斎・小さな部屋 |
| CL | クローゼット | 部屋の壁面収納 |
| WIC | ウォークインクローゼット | 人が入れる収納 |
| SIC・SC | シューズインクローク | 玄関横の土間収納 |
| PS | パイプスペース | 配管の通り道 |
| MB | メーターボックス | 検針メーターの場所 |
| UB | ユニットバス | 浴室 |
| WC | トイレ | 便所 |
| BAL | バルコニー | 2階以上の屋外スペース |
| テラス | テラス | 1階の屋外スペース |
| EV | エレベーター | 主にマンションの図面 |
一覧の中でも、意味を聞かれることが特に多い「S」「PS・MB」「収納と設備の略語」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
S(サービスルーム)の正体と採光の話
間取り図でたまに見かける「S」。これはサービスルームの略で、「N(納戸)」と書かれることもあります。広さは部屋として十分でも、建築基準法の採光や換気などの基準を満たしていないため、法律上は「居室」として数えられない部屋のことです。そのため不動産広告では居室の数には入れず、「3LDK+S」「2SLDK」のように別枠で表示されます。
採光の規定は建築基準法第28条にあります。住宅などの居室には採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積を、床面積の5分の1から10分の1までの間で政令が定める割合以上にしなければならない、というのが条文の骨子です。そして住宅の居室については、建築基準法施行令第19条で「7分の1以上」と定められています(2026年9月時点。照明設備の設置など一定の措置をとった場合には、10分の1まで緩和できる仕組みもあります)。ざっくり言えば、6畳(約10㎡)の部屋なら、採光に有効な窓の面積がおよそ1.4㎡は必要ということになります。なお同じ第28条には、換気のための開口部を床面積の20分の1以上にする規定もあります(換気設備がある場合を除く)。
サービスルームは、この基準に届かない部屋ですので、窓が小さかったり、窓があっても隣の建物に近くて光が入りにくかったりします。収納や書斎、趣味の部屋として使う分には便利ですが、寝室や子ども部屋として使う場合は、昼間の暗さや空気のこもり(湿気・結露)に注意が必要です。
注文住宅の場合は、最初からサービスルームを作るつもりで設計することは少なく、敷地や隣家の関係でどうしても採光が取れない部屋が結果的にそうなる、というケースが多いです。「この部屋、居室になりますか?」と設計者に一言聞いておくと、後から「寝室にしたかったのに納戸だった」という行き違いを防げます。
PS・MBの意味と配置(音と点検のしやすさ)
「PS」はパイプスペースの略で、給水・排水・ガスなどの配管をまとめて通す縦のスペースのことです。パイプシャフトと呼ぶこともあります。マンションの間取り図で目にすることが多いですが、戸建てでも2階にトイレや洗面を置く場合は、1階へ配管を下ろす通り道が必要になります。
PSで気をつけたいのは「音」です。お風呂やトイレの排水音は配管を伝わって聞こえますので、2階トイレの真下に1階の寝室やリビングのソファが来る間取りは避けたいところです。水回りは上下階でなるべく同じ位置にまとめ、配管の通り道が寝室の壁の中を通らないようにするのが基本の考え方になります。
「MB」はメーターボックスの略で、電気・ガス・水道の使用量を測るメーターを収めた場所のことです。マンションでは玄関脇の扉の中にまとまっていることが多く、PSと一緒になっている場合もあります。戸建ての場合は、メーターは外壁や敷地内に個別に付きますので、間取り図にMBと書かれることはあまりありません。
ただ、戸建てでも考え方は同じで、検針や点検の人が敷地の奥まで入らなくても済む位置(道路側)にメーターがあると、暮らし始めてからの気遣いが減ります。給湯器やエアコンの室外機も同じで、隣家との距離が近い名古屋周辺の住宅地では、「音が出る機器をお隣の寝室側に置かない」といった配慮も、間取りと一緒に考えておきたいポイントです。
WIC・SIC・CL・UBなど収納・設備の略語
収納の略語でよく出てくるのが、CL(クローゼット)、WIC(ウォークインクローゼット)、SIC・SC(シューズインクローク)の3つです。CLは部屋の壁に沿って作る扉付きの収納、WICは人が中に入って使える部屋型の収納、SICは玄関の土間(靴のまま入れる床)につながった収納で、靴だけでなくベビーカーや外遊びの道具、コートなどを置く場所として使われます。
WICは「2畳で足りるの?3畳は必要?」と広さで迷う方が多い収納です。間取り図上ではただの四角ですが、中に入る通路の分だけ収納できる面積は減りますので、WICは畳数そのものより「入り口の位置と、両側に棚やハンガーパイプを付けられるか」で使い勝手が決まります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
設備の略語では、UB(ユニットバス)とWC(トイレ)がほとんどの間取り図に登場します。UBは、工場で作られた浴槽・壁・床・天井を現場で組み立てる浴室のことで、今の戸建て・マンションの浴室の多くがこの方式です。間取り図に「1616」「1620」といった数字が添えられていることがありますが、これは浴室の内寸(内側の寸法)で、1616なら160cm×160cm、1坪(2畳)のスペースに収まる、いわゆる1坪タイプの広さを表しています。
DENは書斎や趣味の部屋として使う小さなスペースのことで、こちらも採光の基準に届かない場合はサービスルーム扱いになります。バルコニーとベランダ、テラスは似ていますが、一般には屋根のある2階以上の屋外がベランダ、屋根のないものがバルコニー、1階の地面に続く屋外がテラスと呼び分けられています(ここも会社によって表記はまちまちです)。
間取り図の見方【方位・寸法・畳数・扉と窓の記号】
記号の意味が分かったら、次は間取り図そのものの見方です。方位・寸法・畳数・扉と窓の記号、この4つを押さえておくと、図面から実際の暮らしをかなり具体的に想像できるようになります。
方位記号の見方(上が北とは限らない)
間取り図の隅には、「N」と書かれた矢印の方位記号があります。矢印の向きが北です。多くの図面は上を北にして描かれていますが、敷地の形や道路との関係で回転して描かれていることもありますので、「図面の上=北」と決めつけずに、まず方位記号を探す癖をつけておきましょう。
方位が分かると、日当たりと暑さ・寒さの想像がつきます。一般的には、南側にリビングや大きな窓・庭を置き、北側に水回りや収納をまとめる配置が多いです。名古屋周辺でいえば、夏の西日はかなり強烈ですので、西側に大きな窓のある部屋は午後に暑くなりやすく、逆に冬は南からの日射が貴重、という具合です。
ただし、「南に窓があれば明るい」とは限りません。隣の建物との距離や高さによっては、南向きでも1階には光が届きにくいこともあります。図面の方位だけでなく、現地で隣家の位置や窓の高さを確かめることが大切です。
寸法の読み方(mm表記・910mmモジュール・壁心)
注文住宅の平面図には、「3,640」「2,730」といった数字が並んでいます。単位はmm(ミリメートル)ですので、3,640は3.64m、2,730は2.73mのことです。図面の「3,640」を見て『さんぜんろっぴゃく、、、何?』となった方、安心してください。数字の並びには規則があります。
木造住宅の多くは、910mm(3尺)を基本の単位にして設計されています。これを「尺モジュール」と呼び、方眼紙のマス目のように910mm刻みで柱や壁の位置が決まります。図面の1マス=910mm=半間(はんげん)、2マス=1,820mm=1間(いっけん)で、3,640は2間、2,730は1間半ということになります。会社によっては1,000mmを単位にする「メーターモジュール」を採用しているところもあり、その場合は廊下や階段の幅がひと回り広くなります。
もうひとつ覚えておきたいのが「壁心(かべしん・へきしん)」です。図面の寸法は、壁の中心線から中心線までを測ったものですので、実際に使える部屋の内側(内法・うちのり)は、壁の厚みの分(木造でおおむね10cm前後)だけ狭くなります。ソファやベッドが本当に入るかどうかは、壁心の寸法ではなく内法で確かめてください。「6畳と書いてあったのに、家具を置いたら思ったより狭い」の原因の多くは、この壁心と内法の差です。
畳数と㎡の換算(1畳は何㎡?)
間取り図の広さは「畳」で書かれることが多いのですが、㎡(平方メートル)に直すと、どのくらいでしょうか。先ほどの不動産広告の目安では1畳=1.62㎡以上でした。一方、910mmモジュールの図面では、1畳は0.91m×1.82mで約1.66㎡になります。目安として、両方を並べておきます。
| 畳数 | 1.62㎡換算 | 910モジュール | 壁心の目安 |
|---|---|---|---|
| 4.5畳 | 約7.3㎡ | 約7.5㎡ | 2,730×2,730 |
| 6畳 | 約9.7㎡ | 約9.9㎡ | 3,640×2,730 |
| 8畳 | 約13.0㎡ | 約13.3㎡ | 3,640×3,640 |
| 10畳 | 約16.2㎡ | 約16.6㎡ | 4,550×3,640 |
| 15畳 | 約24.3㎡ | 約24.8㎡ | 5,460×4,550 |
「壁心の目安」は、910mmモジュールでその畳数になる部屋の代表的な寸法(mm)です。たとえば6畳は2間×1間半、8畳は2間×2間の正方形、という形が基本になります。もちろん同じ畳数でも細長い形や正方形に近い形があり、同じ8畳でも形によって置ける家具や使い勝手はまったく変わりますので、畳数だけで「広い・狭い」を判断しないようにしたいところです。
畳数の感覚がつかみにくい場所の代表が玄関です。「玄関は何畳あれば十分?」という疑問には、こちらの記事で人数別の目安をまとめています。
扉・窓・階段の記号の見方
間取り図の壁の線には、ところどころ切れ目があります。そこが扉や窓の位置です。扉の記号はおもに3種類で、開き戸は扉の線と四分円の弧(扉が開く軌跡)で描かれます。弧の向きを見れば、扉が部屋の内側に開くのか外側に開くのか、右吊りか左吊りかが分かります。開き戸の弧の中に家具や人の通り道が重なっていないかは、図面の段階で確認できる代表的なチェックポイントです。
引き戸は、壁の線に沿って2本の線がずれて重なる形で描かれ、開閉のためのスペースが要らないのが特徴です。折れ戸はジグザグの山形で描かれ、クローゼットの扉によく使われます。扉の記号は「開くときにどこを通るか」を表していますので、動線と一緒に見るのがコツです。
窓は、壁の線の上に細い二重線・三重線で描かれます。ただし平面図だけでは、床まである掃き出し窓なのか、腰の高さにある腰窓なのか、はめ殺しのFIX窓なのかが分かりにくいことがあります。窓の高さや種類は、立面図(建物を横から見た図)や建具表(窓・扉の一覧表)であわせて確認してください。
階段は、段ごとの線と矢印で描かれ、「UP」や「上」が上がる方向を表します。段数を数えてみると、同じ階高(1階の床から2階の床までの高さ)なら段数が少ないほど1段が高く、急な階段になります。図面の階段の段数は、意外と見落とされがちな安全のチェックポイントです。そのほか、CH(天井の高さ)、FL(床の高さ)、GL(地面の高さ)といった記号も、平面図や断面図に出てきます。
間取りを決めるポイントと失敗しやすい点
間取りとは何かが分かり、図面が読めるようになったら、いよいよ決める段階です。注文住宅は、新築ならではの間取りの自由度の高さが魅力です。しかし、自分たちでこだわって作った間取りが、暮らしてみたら意外と使いにくかった、ということも少なくありません。間取りで失敗しやすい点としてよく挙がるのが、家事動線・水回りの位置・収納の3つです。
家事動線(キッチン・洗面・洗濯・物干しを近くに)
家事動線とは、料理・洗濯・掃除などの家事をするときに家の中を移動する経路のことです。キッチン、洗面脱衣室、洗濯機、物干し場が離れていると、毎日の家事に無駄な往復が生まれ、その積み重ねが「使いにくい家」の印象につながります。
キッチン・洗面脱衣室・洗濯機置き場・物干し場をひとつのまとまりとして近くに置くと、家事動線はぐっと短くなります。最近は洗濯機のそばに室内物干しや収納を置いて「洗う・干す・しまう」を1か所で済ませる考え方も一般的になってきました。間取り図の上で、朝の支度や夕方の家事の動きを指でなぞってみると、無駄な行き来がある場所が見えてきます。
一方で、動線を短くすることばかり優先すると、来客時にキッチンの奥の洗面所まで見えてしまう、といった別の不満が出ることもあります。家事動線は「短ければ正解」ではなく、家族の暮らし方に合っているかどうかで判断するのが大切です。
水回りの位置(音・におい・来客への配慮)
トイレ・お風呂・洗面といった水回りの位置は、暮らし始めてからの快適さを左右します。たとえば玄関のすぐ横にトイレがあると、お客様が来ているときに家族がトイレに行きにくい、という声はよく聞きます。寝室の隣にお風呂があると、家族の入浴の時間がずれたときに音が気になって眠れない、ということも起こります。
先ほどのパイプスペースの話と同じで、水回りは上下階でまとめ、音の出る場所は寝室やリビングのくつろぐ場所から少し離すのが基本です。まとめて配置すると配管が短くなり、工事費の面でも無理が少なくなります。
2階にトイレを置くかどうかも悩みどころです。夜中に階段を下りなくて済む安心感がある一方で、真下の部屋への音や、掃除する場所が増えるという面もあります。どちらが良いかは家族構成と生活時間しだいですので、一概には言えないところです。
収納は「量」より「場所と奥行き」で考える
部屋の数や広さにこだわるあまり、収納が足りなくなって家が片付かない、というのは典型的な失敗のひとつです。かといって、収納は大きければよいというものでもありません。奥行きが深すぎる収納は、手前の物しか取り出せず、奥がデッドスペース(使えない空間)になりがちです。
収納で大切なのは、総量よりも「使う場所の近くに、入れる物に合った奥行きで」あることです。掃除機や日用品のストックは廊下やリビングの近くに、外で使う物は玄関のSICに、季節物や布団は奥行きのある納戸に、という具合に、しまう物から逆算して収納の場所と大きさを決めていくと、住んでからの「入らない」「取り出しにくい」が減ります。
間取りの検討では、部屋を減らすのはつらいけれど収納を削るのは簡単、という心理が働きやすいです。そこをぐっとこらえて、間取り図の中の収納を「何を入れる場所か」まで書き込んでみてください。仕切りを減らして開放的にした家で、後から収納や落ち着きの面で後悔した話は、こちらの記事に場所別でまとめています。
リビングの広さとキッチンの形の考え方
間取りの中で、いちばん時間を使って考えたいのがLDKです。家族が集まる場所であり、家全体の印象を決める場所でもあります。ここでは、リビングの広さとキッチンの形について、決め方の考え方だけ整理しておきます。
リビング(LDK)の広さはどう決める?
リビングは家の中心になる場所ですので、「広々としたリビングにしたい」と考える方が多いのは自然なことです。ただ、敷地の広さや予算との兼ね合いで、どこかで線を引く必要が出てきます。そのときの物差しとして、先ほどの不動産広告の目安が使えます。居室が2部屋以上の家であれば、LDKと表示できる下限は10畳以上でした。
一方で、家族が集まって食事をし、ソファでくつろぎ、子どもが遊ぶスペースまで考えると、理想のリビングの広さは15畳前後と言われることが多いようです。もちろんこれは目安であって、同じ15畳でも、吹き抜けや窓の大きさ、隣の和室とつなげられるかどうかで、体感の広さは大きく変わります。
また、広ければ広いほど良いかというと、そうとも限りません。広いLDKは冷暖房の効きに気を使いますし、その分ほかの部屋や収納にしわ寄せがいきます。家族の人数と、家具の大きさ、そこで何をして過ごすかを具体的に書き出したうえで、「自分たちに合った広さ」を探すのが後悔しないコツです。
対面キッチンにするかどうかはメリット・デメリットを知ってから
キッチンの形は、壁に向かって作業する「壁付け」と、リビング側を向いて作業する「対面」に大きく分かれます。対面キッチンは、家族と会話しながら料理ができる、部屋を見渡せる、といった点で人気があり、いまの注文住宅では主流になっています。
ただし、対面キッチンにはにおいや煙がリビングに広がりやすい、手元がリビングから見える、油はねの掃除範囲が広がる、といった面もあります。また、対面にすると壁付けよりキッチンまわりに必要な面積が増えますので、LDKの広さとセットで考える必要があります。
対面か壁付けかは、流行ではなく「料理中に何を大事にしたいか」で決めるのが基本です。後悔しやすいポイントや、ペニンシュラ・アイランドといったレイアウトの選び方は、こちらの記事で本音で解説しています。
間取りを自分で書いてみる・アプリでシミュレーションする
ここまで読んでいただけたら、間取りとは何か、間取り図はどう読むかは、かなり分かってきているはずです。次は、一度ご自身で理想の間取りを書いてみることをおすすめします。
方眼紙に書いてみる(1マス=半間)
一から自分で考えて書くのは大変そうに思えますが、コツは先ほどの910mmモジュールです。方眼紙の1マスを半間(910mm)と決めて、2マス×2マスの正方形が2畳、4マス×3マスが6畳、という要領で部屋を並べていきます。自分で書いてみると、「この広さでこの部屋数は入らない」「ここに廊下が要る」といった現実が体で分かりますので、設計者との打ち合わせが格段にスムーズになります。
書き方の手順や、自分で書くときに陥りやすい失敗については、こちらの記事で詳しくまとめています。
間取りシミュレーションアプリの使いどころ
最近は、スマートフォンやパソコンで使える間取りシミュレーションのアプリも数多くあります。多くのものは、部屋を選んでタップするだけで間取りが作れ、壁の位置を動かしたり、家具を置いて配置を試したりできます。方眼紙に書くのが苦手な方でも、気軽に理想の形を試せるのは大きなメリットです。
ただし、注意点もあります。アプリで作った間取りは、敷地の形や方位、隣家との関係、耐力壁(建物を支える壁)の位置、法規制、予算といった条件を見ていません。そのため、アプリの間取りは「そのまま建てられる図面」ではなく、「自分たちの希望を設計者に伝えるための資料」として使うのがちょうどよい距離感です。
「この配置は構造上むずかしい」「この窓は隣家の窓と向かい合う」といった判断は、現地を見て条件を整理する設計者の仕事です。アプリで作った案を持ち込んで、なぜそのままでは難しいのかを聞いてみる。そのやり取り自体が、自分たちに合った間取りに近づく近道になります。
間取りに関するよくある質問
最後に、間取りについてよくいただく質問にお答えします。
Q1.2LDKと3DKは、どちらが広いのですか?
A.数字だけでは決まりません。数字は居室の数ですので、部屋数は3DKの方が多いですが、DKの目安は6畳以上、LDKの目安は10畳以上ですので、合計の広さは同じくらいのことも、2LDKの方が広いこともあります。広さを比べるときは、間取りの表記ではなく専有面積(マンション)や延床面積(戸建て)の㎡数で見てください。
Q2.サービスルーム(S)は、部屋として使えますか?
A.使えますが、居室と同じ環境を期待すると後悔するかもしれません。採光や換気の基準に届いていない部屋ですので、昼間でも暗かったり、空気がこもりやすかったりします。収納・書斎・趣味の部屋には向きますが、寝室や子ども部屋として使うなら、照明と換気(空気の入れ替え)を意識してください。注文住宅なら、窓の取り方を工夫して居室にできないか、設計の段階で相談してみるのが先です。
Q3.間取り図の1マスは何cmですか?
A.木造住宅では91cm(910mm)のことが多いです。これは尺モジュールと呼ばれる基本単位で、1マス=半間、2マス=1間になります。ただし、1mを単位にするメーターモジュールの会社もありますし、不動産広告の間取り図は寸法が入っていない略図のこともあります。図面に寸法線や凡例があればそちらを優先し、なければ担当者に単位を確認してください。
Q4.間取りは、建てた後から変えられますか?
A.変えられる部分と、変えにくい部分があります。木造の在来工法(柱と梁で支える工法)であれば、間仕切り壁を取って部屋をつなげるといった変更ができる場合もあります。ただし、筋交いや構造用合板が入った耐力壁は動かせませんし、高気密高断熱の家では、壁や天井の気密層・断熱層を傷めるような工事は慎重に考える必要があります。将来子ども部屋を分けたい、いずれ1階だけで暮らしたい、といった見通しがあるなら、最初の間取りの段階で「後から変えやすい作り」にしておく方が、費用も手間も少なくて済みます。
まとめ|間取りを決める6つのステップ
間取りとは何か、というところから、間取り図の記号・略語、寸法や畳数・扉や窓の記号の見方、決めるときのポイントまで、長々と書いてきましたが、全体像はつかめたでしょうか。
間取りとは、部屋の配置と広さ、つながりを決めた計画のことで、1LDK・2DKの数字は居室の数、L・D・Kはリビング・ダイニング・キッチンを表しています。DK・LDKと表示できる広さには不動産広告上の目安(居室1部屋ならDK4.5畳以上・LDK8畳以上、2部屋以上ならDK6畳以上・LDK10畳以上)があり、Sはサービスルーム、PSは配管の通り道、MBはメーターボックス、WICは人が入れる収納です。記号と寸法の読み方が分かれば、間取り図は「ただの四角の集まり」から「暮らしを想像できる図」に変わります。
そのうえで、間取りを決めるときは、次の流れで考えていくとよいでしょう。
①理想の間取りを、まず自分で書いてみる
②家事動線(キッチン・洗面・洗濯・物干し)をしっかり考える
③水回りは近くにまとめ、音の出る場所は寝室から離す
④収納は、しまう物から逆算して場所と奥行きを決める
⑤家族の人数と過ごし方からリビングの広さを考える
⑥図面や間取りシミュレーションで、実際の動きを確かめる
間取りに、万人共通の正解はありません。大切なのは、記号や畳数の知識を「自分たちの暮らしに合っているか」を判断するために使うことです。完成した瞬間だけでなく、10年後・20年後も「この間取りにしてよかった」と思える住まいを目指しましょう。
間取り図の読み方は、実物の家と図面を見比べるのがいちばん早いです。愛知県小牧市のモデルハウスでは、図面を手にしながら実際の空間の広さや窓の位置を確かめることができます。
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当記事で紹介したポイントを参考にして、後悔しない家づくりに役立ててみてください。


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