「ベタ基礎の家なのに、冬になると玄関の土間がひんやりする」「お風呂の床だけ、やけに冷たい気がする」、、、そんな声を聞くことがあります。ベタ基礎にすれば足元は安心、と思っていた方ほど、意外に感じるのではないでしょうか。
実は、基礎をベタ基礎にすることと、基礎を断熱することは別の話です。ベタ基礎は地面からの湿気を防ぐうえで有利な工法ですが、玄関土間やお風呂の下(UB下)のように床が張られない場所は、断熱のやり方をきちんと考えておかないと、コンクリートの冷たさがそのまま室内に伝わってしまう可能性があります。
私たちも、高気密高断熱住宅について「省エネな住宅」「長持ちする住宅」とお伝えした後に、理由を聞かれて「気密が良いから」「断熱性能が高いから」と簡単に答えてしまう時があります。家づくりをする方が本当に知りたいのは「なんで気密が良いのか?」「なんで断熱性が高いと長持ちする家になるのか?」なのになぁと、時間が経ってから反省することがあります。
そこでこの記事では、高気密高断熱住宅の基礎で私たちが実際に行っている施工を、現場写真とあわせて紹介します。前半はベタ基礎と布基礎の防湿性の違いと防湿シートの施工、後半は玄関土間・UB下・ピットリビングの基礎断熱について、工務店の目線で分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
※この記事は2026年9月に内容を加筆・更新しました。

⇒ベタ基礎なのに玄関の土間やお風呂の床が冷たいのはなぜか知りたい
⇒床下の湿気や、基礎の防湿・断熱がどうなっているのか気になる
◆この記事を読むと分かること
⇒ベタ基礎と布基礎の防湿性の違いと、防湿シートの施工のポイント
⇒玄関土間・UB下・ピットリビングの基礎断熱を、現場写真でどう施工しているか
防湿性を考えるとベタ基礎
住宅の基礎の基本的な工法は、大きく2種類に分かれます。「ベタ基礎」(建物の下全体を鉄筋コンクリートの板で支える基礎)と「布基礎」(壁の下だけに逆T字型のコンクリートを通す基礎)です。
2つの工法の違いや、費用・耐震性の考え方については、以前オガタブログで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
今回は、ベタ基礎にするとなぜ防湿性が良いのか、という点を中心に考えていきます。

そもそもなぜ基礎に防湿性が必要なのか、理由は1つです。床下に湿気を溜めない、地面の湿気を家に伝わりにくくするためです。
床下に湿気が溜まってしまったときのリスクとして、次のようなことが考えられます。
・木材腐朽菌(木を腐らせる菌)の繁殖により、木材が劣化する恐れがある
・カビの繁殖により、健康面への影響が心配される
・シロアリが好む場所ができてしまう
どれも、住み始めてすぐには目に見えにくく、10年後・20年後に効いてくる問題です。だからこそ、基礎の段階で湿気の入り口を小さくしておくことが大切だと考えています。
一般住宅では布基礎が選ばれやすい理由
費用で考えたとき、ベタ基礎よりも布基礎の方がローコストになります。
理由は、鉄筋量の違いです。布基礎の場合、構造上問題がなければ床スラブ(床一面に打つコンクリートの板)の配筋が不要となります。
最近では布基礎でも防湿コンクリートが施工されることが多くなってきていますが、少し前までは、土の上に防湿シートを敷くだけ、といった施工がほとんどでした。そうすることで鉄筋の費用と床のコンクリート打設費用がなくなりますので、構造上問題がなければ、布基礎の方がローコストで住宅を提案できるということになります。
もちろん布基礎が悪いというわけではなく、地盤や建物に合っていれば十分に成り立つ工法です。ただ、防湿という一点で見ると、床下が土のままか、薄いコンクリートか、厚いコンクリートかで、湿気の上がりやすさは変わってくると私たちは考えています。
ベタ基礎のスラブ厚と布基礎の防湿コンクリートの厚みの違い
布基礎は基礎の床スラブが不要なことが多いため、打設する床のコンクリートは防湿対策のみの役割となり、「防湿コンクリート」と呼ばれます。
耐震面での役割を持たないため、防湿コンクリートの厚みは各会社さんの判断に任されます。なので厚みは40〜100mmなど、かなり振り幅が大きく、厚みが薄いほどローコストですが、防湿性は低くなってしまいます。
一方でベタ基礎の場合は、床スラブの工法として、鉄筋からのかぶり厚(鉄筋を覆うコンクリートの厚み)を60mm以上確保する必要があると決められています。なので仮に13mmの鉄筋を使用した場合、床スラブの厚みは60+13+13+60で約150mmとなり、布基礎の防湿コンクリートよりもどうしても厚くなります。

防湿性の考え方としては単純で、40mmのコンクリートの床と150mmのコンクリートの床なら、分厚い150mmの方が湿気を伝えにくいと考えられます。
ベタ基礎の防湿性が高いと言われるのは、こうした「厚みの差」が理由の1つです。耐震のために必要な厚みが、結果的に防湿にも効いてくる、という関係ですね。
防湿シートで気密をとる【テープ処理の現場写真】
ここが「高気密高断熱住宅はこんなことしてます」と紹介できるポイントの1つです。
私たちの場合は、ベタ基礎を採用するときでも、防湿シートは念のため敷いています。「150mmのコンクリートがあるならシートは要らないのでは?」と思われるかもしれませんが、湿気の入り口は二重に塞いでおいた方が安心、という考え方です。
防湿シートの注意点は、基礎工事の工程の関係で、シートを敷いた後に鉄筋組みなど人や物がシートの上で作業することになる点です。そのため、防湿シートは施工中にどうしても破れてしまうことがあります。
破れたところからは地面の湿気が上がってきてしまうため、布基礎で防湿コンクリートなし、防湿シートのみで対応する場合は、特に注意が必要です。
高気密高断熱住宅は、そういった穴や隙間をひとつずつ潰していく家づくりになります。私たちは、鉄筋組みなどの作業が終わった後、コンクリートを打設するまでに期間を設けて、防湿シートの破れをテープ処理してから打設に進みます。
基礎と土の間で、防湿シートによって土からの湿気に対する気密を確保し、できるだけ湿気が上がってこない施工を心がけています。地味な作業ですが、コンクリートを打ってしまえば二度と手を入れられない場所なので、、、ここは手を抜けないところです。
ベタ基礎の玄関土間・お風呂下(UB下)の断熱はどうする?【現場写真】
ここからが本題です。基礎の防湿ができたら、次は「足元が寒い」とならないための断熱の話になります。
断熱の位置には「床断熱」(1階の床の下に断熱材を入れる方法)と「基礎断熱」(基礎そのものを断熱材で包み、床下も室内側として扱う方法)があります。今回は、私たちが採用している基礎断熱を前提に、ベタ基礎の玄関土間やお風呂下(UB下)の断熱をどう考えているかを紹介します。
なぜ玄関土間やUB下は寒くなりやすいのか
ほとんどの家には、玄関土間やユニットバス(UB)といった、床が張られない部屋があります。
床が張られる部屋であれば、基礎と床の間に空間があり、断熱材も入れやすいのですが、玄関土間はコンクリートの上に直接タイルなどを張るため、基礎のコンクリートが室内に直接面することになります。お風呂も同じで、ユニットバスの下はコンクリートの土間に近い状態です。
家の外周部をぐるっと断熱材で囲むことで家全体が「断熱」されるわけですが、土間やUB下は造り方が他の場所と違うため、外周部の断熱のラインが途切れやすい場所でもあります。床が張られない場所の断熱をどう考えているかが、ベタ基礎の土間の寒さを左右するポイントと言えます。
コンクリートは熱を伝えやすい材料なので、断熱が途切れていると、外の冷たさが基礎を伝わって土間の表面温度を下げてしまいます。「ベタ基礎なのに玄関が寒い」という感覚は、こうしたところから来ている可能性があります。
玄関土間の基礎内断熱は基礎工事の段階で施工
私たちの場合は、玄関土間もUB下も、基礎内断熱(基礎の立ち上がりの内側に断熱材を張る方法)で断熱しています。
玄関土間は、基礎工事の段階で断熱を施工します。基礎の立ち上がりと土間のコンクリートが取り合う部分に、外の冷たさが伝わってこないように断熱材を入れておくイメージです。土間の断熱は、基礎工事のタイミングを逃すと後から施工しにくいため、工程の中にあらかじめ組み込んでおく必要があります。
下の写真は、基礎の立ち上がりの内側に断熱材を施工した様子です。コンクリートと室内側の間に断熱材を一枚はさむことで、土間のコンクリートの温度が外気に引っ張られにくくなります。

玄関は毎日出入りする場所であると同時に、冬は最も冷たい外気が入ってくる場所でもあります。だからこそ、玄関土間の断熱は、見えないところで家の印象を左右する部分だと感じています。
UB下の断熱は上棟後に施工【漏れがないか確認を】
一方、UB下(ユニットバスの下)の断熱は、私たちの場合は上棟後、ユニットバスを据え付ける前に施工しています。
玄関土間は基礎工事のとき、UB下は上棟後、と工程が少し違うため、どちらか一方だけ施工して、もう一方が抜けてしまうことがないよう、必ず漏れがないか確認する必要があります。同じ「床が張られない場所」でも、断熱を入れるタイミングが違う、というのがUB下の注意点です。
お風呂は家の北側に配置されることが多く、ただでさえ冷えやすい場所です。ここの断熱が抜けていると、浴室の床だけひんやりする、脱衣所との温度差が大きくなる、といったことにつながりかねません。
これから家を建てる方は、「玄関土間とお風呂の下は、いつ・どこに断熱を入れるのですか?」と聞いてみてください。工程まで答えが返ってくる会社さんであれば、断熱の抜けについても意識して施工されている可能性が高いと言えるでしょう。
ピットリビングなど床を下げるときは平面断熱
玄関土間やUB下のほかに、もう1つ「床がコンクリートに近づく」ケースがあります。ピットリビングです。
ピットリビングというのは、リビングだけ床が少し低いなど、段差のついたリビングのことです。ピットリビングに限らず、一般の床の高さから段差をつけて下げる場合は、コンクリートとの距離が近づく分、コンクリートの表面温度の影響を受けて、ひんやりと感じやすくなります。
その対処法として、私たちの場合は基礎の平面(底)に断熱材を全面に敷くことで、コンクリートの表面温度を「断熱」して、ひんやり感じにくくしています。

この写真は立ち上がり部の断熱材はまだ未施工ですが、底面に断熱材を敷き詰めた状態です。ピットリビングにしたい→床がひんやりする→断熱を敷く→床がひんやりしない、といったように、やりたいデザインで生じてしまう問題点を、性能を考慮した施工方法で解決できることも、高気密高断熱住宅の魅力の1つだと感じています。
デザインをあきらめるのではなく、性能でカバーする。土間もピットリビングも、考え方は同じです。
基礎外断熱・基礎内断熱・底面全面断熱など断熱仕様は要相談
床下の断熱工法としては、「基礎断熱」の中にも「基礎外断熱」(基礎の外側に断熱材を張る方法)と「基礎内断熱」(基礎の内側に断熱材を張る方法)があり、さらに基礎の底面にすべて断熱を敷き詰める方法や「床断熱」など、各会社さんの考え方によって採用されています。
当然、断熱材の厚みと面積が増えれば増えるほど断熱性能は向上しますが、予算のほかに、別のリスクが発生する場合もあります。例えば「基礎外断熱」を施工するとき、ただ断熱材を基礎の外周部に施工してしまうと、シロアリのリスクが上がってしまう可能性があります。
なので、どんなシロアリ対策のされた断熱材ならいいか、といった検討が必要になってきます。また、基礎の底面に断熱材を敷き詰める場合は、断熱材の厚みと基礎の立ち上がりの高さの検討が必要です。後々、点検の際に床下に人が入れない、といったトラブルを防ぐためです。
このように各会社さんが地域性やリスク、予算感などのバランスで仕様を決めていますので、「ここまでやりたい」というご希望がある際は、きちんと相談することをおすすめします。断熱は「多ければ多いほど良い」とは限らず、リスクとのバランスで決めるものだと考えています。
基礎断熱と床断熱、それぞれのメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、基礎断熱にした床下の空間を活かした暖房方法として「床下エアコン」があります。基礎断熱が前提になる暖房なので、興味のある方はこちらもご覧ください。
ベタ基礎の断熱に関するよくある質問
最後に、ベタ基礎の防湿や、玄関土間・UB下の断熱についてよくいただく質問にお答えします。
Q.ベタ基礎なら断熱は不要ですか?
A.いいえ、ベタ基礎であることと断熱されていることは別の話です。ベタ基礎は地面からの湿気を防ぐ「防湿」の面で有利ですが、コンクリート自体は熱を伝えやすい材料です。足元の寒さを防ぐには、床断熱か基礎断熱かを含めて、断熱をどこに入れるかを別に考える必要があります。
Q.玄関土間の断熱を忘れるとどうなりますか?
A.外の冷たさが基礎を伝わって土間の表面温度が下がり、玄関が冷たく、結露もしやすくなる可能性があります。土間の断熱は基礎工事の段階で施工するものなので、コンクリートを打った後から入れ直すのは簡単ではありません。着工前の打合せで確認しておくことが大切です。
Q.基礎断熱と床断熱はどちらがいいですか?
A.どちらが正解ということはなく、会社の考え方と地域性、暖房計画によって変わります。私たちは基礎内断熱を採用していますが、床断熱で快適な家を建てている会社さんもあります。大切なのは、土間やUB下のような断熱が途切れやすい場所まで含めて、どう考えているかです。違いは本文で紹介した関連記事を参考にしてください。
Q.打合せでは基礎について何を聞けばいいですか?
A.「私たちの基礎はどうなってますか?」と聞いて、防湿と断熱の両方の答えが返ってくるかを確認してみてください。具体的には、ベタ基礎か布基礎か、防湿シートは敷くのか、玄関土間・UB下・基礎の立ち上がりのどこに断熱を入れるのか、といった点です。図面や現場写真で説明してもらえると、より安心です。
まとめ
家の中で、唯一地面と接している箇所が基礎です。地面から家に対する弊害(湿気・シロアリ・冷え)を防いでくれるのも基礎ですし、建物を一番下で支えている箇所でもあります。
ベタ基礎は、約150mmの厚い床スラブと防湿シートによって、地面からの湿気を家に伝えにくくする工法です。ただし、ベタ基礎にしただけでは足元の寒さは解決せず、玄関土間・UB下・ピットリビングのような床が張られない場所の断熱まで考えて、はじめて「暖かい基礎」になります。
シロアリや木材の腐朽は、建物全体の耐震性や性能の劣化につながってしまいます。だからこそ、家づくりをする際は「私たちの基礎はどうなってますか?」と、きちんと打合せしてみてください。基礎の防湿と断熱を確認しておくことが、後悔しない家づくりの第一歩です。
基礎の断熱は、高気密高断熱住宅の考え方の一部です。なぜ気密にこだわるのか、その全体像はこちらの記事で解説しています。
土間の足元がどれくらい違うのかは、実際の建物で体感してみるのが一番です。愛知県小牧市のモデルハウスで、冬の玄関の空気感をぜひ確かめてみてください。
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