「珪藻土と漆喰、結局どっちが高いの?」「見た目は似ているけれど、どっちを選べばいいの?」と迷って検索された方も多いのではないでしょうか。
内装に塗り壁を検討し始めると、必ずといっていいほど出てくるのがこの2つの素材です。ところが、調べれば調べるほど「珪藻土の方が安い」「いや漆喰の方が安い」と情報がばらばらで、かえって分からなくなってしまう、、、そんな声もよく耳にします。
先に結論をお伝えすると、珪藻土と漆喰の費用は「素材名」だけでは決まらず、製品のグレードと職人の手間で高い・安いが逆転することもあります。だからこそ、素材の違いを知ったうえで、同じ条件で見積もりを比べることが大切です。
この記事では、日本の伝統的な建材である珪藻土と漆喰にスポットを当て、それぞれの特徴やメリット・デメリット、「どっちが高い?」という費用の考え方、そして選び方まで、塗り壁を施工する工務店の目線で分かりやすく深掘りします。ぜひ最後までご覧ください。
※この記事は2026年9月に内容を加筆・更新しました。
⇒内装に塗り壁を検討している方
⇒珪藻土と漆喰、どっちが高いのか・どっちが合うのか迷っている方
◆この記事を読むと分かること
⇒珪藻土・漆喰それぞれのメリットデメリット
⇒珪藻土と漆喰の違いと、費用の考え方
珪藻土とは?
珪藻土の基本的な特徴
まず初めに珪藻土は、小さな植物性プランクトンである「珪藻」の化石からできた自然素材です。顕微鏡で見ると無数の微小な穴が空いていて、この穴が湿気やにおいを吸ったり吐いたりするため、優れた調湿機能を持つといわれています。
もう一つ知っておきたいのは、珪藻土はそれ自体では固まらない、という点です。壁に塗るためには、石灰や樹脂などの「固化材」を混ぜて製品にする必要があります。この固化材の種類や配合が製品ごとに違うため、同じ「珪藻土」と名前がついていても、調湿性能も価格も製品によってかなり幅があります。
表面はざらっとした自然な風合いで、光を柔らかく受け止めるため、温もりを感じさせる仕上がりになります。
珪藻土のメリット
- 調湿機能: 室内の湿度を自然に調節し、快適な居住環境づくりに役立つといわれています。
- 消臭効果: 多孔質(小さな穴がたくさんある構造)がにおいを吸着し、空気を清浄に保つ効果が期待できます。
- 自然素材の風合い: 珪藻そのものは自然由来の素材で、ナチュラルな内装を好む方に人気があります。
- 耐火性: 耐火レンガや七輪の原料に用いられるほど熱に強く、火に対する安心感があります。
ただし、これらの性能はあくまで「製品による」が前提です。固化材に樹脂を多く使った製品では、穴がふさがれて調湿性能が落ちる場合もあるといわれています。カタログの「珪藻土」という文字だけで判断せず、成分や性能の表示を確認することが大切です。
珪藻土のデメリット
- 強度の問題: 珪藻土は比較的もろく、ものをぶつけると傷や欠けがつきやすいです。製品によっては、こすると粉がつくこともあります。
- 施工の難しさ: 均一に塗るには一定の技術が必要で、専門の職人に依頼するのが一般的です。
- 費用: ビニールクロスに比べると材料費や施工費が高くなる傾向があります。特に高品質の製品ほど材料費は高くなりがちです。
とはいえ、珪藻土のデメリットの多くは「製品選び」と「施工の腕」でかなりカバーできる部分でもあります。成分表示を確認し、施工実績のある会社に相談することが、後悔しない珪藻土選びの第一歩です。
漆喰とは?
漆喰の基本的な特徴
次に漆喰は、消石灰(石灰石を焼いて水を加えたもの)を主成分とする建材で、古くからお城や蔵の壁など、日本の建築に用いられてきました。
漆喰は塗ったあと、空気中の二酸化炭素を少しずつ取り込みながらゆっくりと硬化していきます。時間をかけて石のように固くなっていく素材、と考えると分かりやすいでしょう。自然な白さと滑らかな質感が特徴で、強いアルカリ性のためカビが生えにくいといわれています。
珪藻土が「穴で呼吸する素材」だとすれば、漆喰は「固まって守る素材」。同じ塗り壁でも、性格はかなり違いますね。
漆喰のメリット
- 耐久性: 硬化すると表面が硬くなり、傷がつきにくく長持ちしやすいです。
- 防カビ・防湿: 強アルカリ性のためカビが発生しにくく、湿気を調節する効果も期待できます。
- 消臭効果: 酸性のにおい(汗臭や生ゴミ臭など)を中和しやすいといわれています。シックハウス症候群の原因物質の一つとされるホルムアルデヒドを吸着するといわれる製品もありますが、効果は製品によって異なります。
- 美観: 伝統的な美しさを持ち、なめらかで上品な仕上がりになります。
漆喰のデメリット
- 費用: 一般的な塗料やビニールクロスと比較して、材料費や施工費が高くなりやすいです。
- 施工の難しさ: 均一に塗り上げるのが難しく、塗り重ねや乾燥にも時間がかかるため、熟練した職人が必要です。
- ひび割れ: 硬い素材のため、下地の動きや乾燥によって細かいひび(ヘアクラック)が入ることがあります。
- メンテナンス: 時間が経つと黄変することがあり、見た目の維持に注意が必要です。
漆喰は「丈夫で長持ちしやすいが、施工の手間と技術が要る素材」と覚えておくと、この後の「どっちが高い?」の話が理解しやすくなります。
珪藻土と漆喰はどっちが高い?費用の考え方
ここからが本題です。「珪藻土と漆喰はどっちが高い?」という質問に対して、ネット上の情報がばらばらなのには理由があります。それは、塗り壁の費用が「素材名」ではなく「製品」と「手間」で決まるからです。
この章では、新しい金額を並べるのではなく、見積もりを見たときに迷わないための「費用の考え方」を整理します。(金額は製品・下地・面積・地域で大きく変わるため、あえて㎡単価などの数字は書いていません)
塗り壁の費用は「材料費+下地処理+職人の手間」で決まる
珪藻土でも漆喰でも、塗り壁の費用は大きく分けて3つの要素で構成されています。
- 材料費: 珪藻土や漆喰そのものの価格。製品のグレードで大きく変わります。
- 下地処理: 石こうボードの継ぎ目やビス頭の処理、下塗りなど、塗る前の準備にかかる費用。
- 職人の手間(施工費): 塗り重ねの回数、乾燥待ちの日数、仕上げの模様などで変わる人件費。
ビニールクロスの場合は下地処理をして貼れば完成ですが、塗り壁は下塗り・乾燥・上塗りと工程が多く、その分だけ職人が現場にいる日数も増えます。塗り壁がビニールクロスより高いのは、材料費というより「手間の差」が大きい、と考えると分かりやすいでしょう。
また、同じ塗り壁でも、平らに仕上げるか、コテ跡を残す模様仕上げにするかで手間が変わります。見積もりを比較するときは、材料名だけでなく「何回塗りか」「どんな仕上げか」まで条件をそろえることが大切です。
珪藻土と漆喰、どちらが高くなりやすいか
では本題の「どっちが高い?」ですが、一般的には、漆喰の方が施工の手間がかかる分、高くなりやすいといわれています。漆喰は薄く何度も塗り重ね、乾燥を待ちながら仕上げていくため、職人の日数がかさみやすいためです。
一方で、珪藻土は製品の幅がとても広い素材です。固化材や配合によって、比較的手ごろな製品から、調湿性能を重視した高品質で高価な製品まであります。そのため、高品質の珪藻土を選ぶと、漆喰より珪藻土の方が高くなる、という逆転も普通に起こります。
ネット上でも「珪藻土の方が高い」「漆喰の方が高い」と両方の情報を見かけますが、実はどちらも間違いではありません(だから余計に迷うのですが、、、)。整理すると次のとおりです。
- 手間の面では、漆喰の方が高くなりやすい
- 材料の面では、珪藻土は製品グレードで価格の幅が大きい
- 結果として、製品と職人次第で「どっちが高い」は逆転する
だからこそ、「珪藻土だから安い」「漆喰だから高い」と素材名で決めつけず、同じ部屋・同じ面積・同じ仕上げの条件で見積もりを取って比べることをおすすめします。「珪藻土と漆喰、どっちが高いですか?」と聞かれたら、「その製品と、その職人さん次第です」というのが正直な答えです。
費用を抑えたいなら「珪藻土クロス」という選択肢も
「塗り壁の雰囲気は欲しいけれど、費用はできるだけ抑えたい」という方には、珪藻土クロスという選択肢もあります。珪藻土クロスは、珪藻土を紙などの壁紙に吹き付けた製品で、貼って仕上げるため塗り壁より工程が少なく、費用を抑えやすいのが特徴です。
ただし、塗り壁と比べると珪藻土の量そのものが少ないため、調湿・消臭の効果は限定的といわれています。「見た目の雰囲気」を優先するのか、「性能」を優先するのかで、選ぶべきものは変わってきます。
珪藻土クロスは「塗り壁の代わり」というより「塗り壁と一般クロスの中間の選択肢」と捉えると、予算配分の判断がしやすくなるでしょう。珪藻土クロスと塗り壁の違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。
珪藻土と漆喰の違いを比較
ここまでの内容を、比較表にまとめます。細かな性能は製品によって変わるため、あくまで「傾向」としてご覧ください。
| 項目 | 珪藻土 | 漆喰 |
|---|---|---|
| 主成分 | 珪藻の化石+固化材 | 消石灰(石灰) |
| 調湿 | 高いといわれる | 一定の調湿性あり |
| 耐久性 | 傷つきやすい | 硬く傷つきにくい |
| 施工の難しさ | 製品により幅あり | 熟練の技術が必要 |
| 費用感 | 製品で幅が大きい | 手間で高くなりやすい |
| 見た目 | ざらっと温かみ | なめらかで上品 |
以下で、それぞれの違いをもう少し深掘りします。
素材と環境面の違い
- 珪藻土: 珪藻の化石という自然由来の素材が主原料。ただし、固化材の種類によって「自然素材の割合」は製品ごとに異なります。
- 漆喰: 石灰石から作られる消石灰が主原料。こちらも自然由来の素材で、古くから使われてきた実績があります。
どちらも自然素材を原料としている点は共通です。ただ、「100%自然素材だから安心」と単純には言い切れないため、気になる方は成分表示を確認してみてください。
施工方法と維持のしやすさ
- 珪藻土: DIY用の製品もありますが、均一に仕上げるには技術が必要です。比較的柔らかく傷はつきやすいものの、部分補修はしやすい素材です。
- 漆喰: 専門的な技術が必要で施工が難しい反面、硬化後は硬く傷がつきにくいため、メンテナンスの手間は少ないといわれています。
珪藻土・漆喰どちらも、傷がついたときの補修方法は意外と簡単です。特別な技術は必要なく、材料を塗りやすい硬さに水で溶いて、当該部に塗り込む。そんな感じで補修は可能です。
ただし、補修した部分は周囲と色や質感がわずかに違って見えることがあります。補修用に、施工時と同じ材料を少し取っておいてもらうと、後々安心です。
見た目と感触の違い
- 珪藻土: ナチュラルで温かみのある質感。ざらっとした表面が光を柔らかく受け止め、空間に柔らかな印象を与えます。
- 漆喰: スタイリッシュで洗練された印象。滑らかな仕上がりで、上品な白さが特徴です。
珪藻土・漆喰共に光沢が激しいわけではないので、どちらも優しい印象を与えます。写真では違いが分かりにくいので、できればサンプルや実際の施工例を見て、手で触れて比べることをおすすめします。
どちらを選ぶべきか?
住宅の用途に合わせた選択
- 珪藻土: 調湿や消臭機能を重視する場合や、ナチュラルな内装を好む場合に適しています。
- 漆喰: 耐久性や防カビ性を重視し、スタイリッシュな空間を求める場合に向いています。
(上記は、あえての表現であり個人的な主観を基にしてます)
例えば、湿気がこもりやすい寝室や北側の部屋には珪藻土、手が触れやすく汚れや傷が気になる玄関やリビングには漆喰、といった使い分けをする方もいらっしゃいます。家全体を一つの素材でそろえる必要はなく、部屋の用途で塗り分けるのも一つの方法です。
コストとメンテナンスを考慮した選択
費用については前の章でお伝えしたとおり、珪藻土と漆喰のどっちが高いかは製品と職人の手間で決まり、素材名だけでは判断できません。見積もりの条件をそろえて比べることが前提です。
メンテナンス面では、漆喰は硬く傷がつきにくいため手間が少ないといわれる一方、黄変やひび割れが気になることもあります。珪藻土は傷がつきやすい反面、補修はしやすい素材です。どちらも10年後・20年後を見据えて、「傷がついたらどう直すか」まで施工会社に確認しておくと安心です。
初期費用の安さだけで判断せず、メンテナンスの手間まで含めた「トータルの費用」で比べることが、後悔しない塗り壁選びにつながります。
個人の好みと共通点、選択のポイント
最終的には、個々の好みやライフスタイルによって、どちらの材料が適しているかは異なります。自然素材への関心の高さ、建築スタイル、家族の暮らし方などを考慮に入れて選びましょう。
両者の共通点も整理しておきます。
- 自然素材: どちらも自然素材を原料としている。
- 価格: ビニールクロス貼りに比べ材料代が高く、手間や作業工程が多いためコストがかかる。
- 補修: どちらも材料を水で溶いて塗り込めば部分補修ができる。
選択のポイントは次の3つです。
- 珪藻土は、湿気がこもりやすい部屋や、調湿を重視したい場合に向いている。
- 漆喰は、滑らかな質感や耐久性を重視する場合に向いている。
- どちらの製品も、固化材や接着剤によって性能や価格が変わるため、成分や性能を確認することが重要。
素材名で決めるのではなく、「製品の中身」「施工する職人」「見積もりの条件」の3つで比べることが、珪藻土と漆喰選びで失敗しないポイントです。
珪藻土を使った生活用品と、そのほかの塗り壁
珪藻土は壁材以外にも、身近な生活用品に使われています。素材の性質をイメージするのに役立つので、いくつか紹介します。
バスマットやコースターは珪藻土の吸水性を、七輪は耐火性を活かした製品です。壁の珪藻土も同じ性質を持っていると考えると、調湿・耐火といったメリットがイメージしやすいのではないでしょうか。
室内の塗り壁仕上げでは、珪藻土や漆喰のほかに、特殊な土【シラス】(マグマの超高温で焼成された高純度無機質セラミック物質)を主原料とした中霧島壁というものもあります。↓
シラス壁も調湿・消臭性が期待できる自然素材の塗り壁で、珪藻土とも漆喰とも違う、マットで落ち着いた質感が特徴です。塗り壁は珪藻土と漆喰の二択ではないので、選択肢の一つとして知っておくと、家づくりの幅が広がります。
珪藻土と漆喰に関するよくある質問
最後に、珪藻土と漆喰についてよくいただく質問にお答えします。
Q.珪藻土と漆喰はどっちが高いですか?
A.一般的には、施工の手間がかかる漆喰の方が高くなりやすいといわれていますが、製品のグレードと職人の手間によって逆転することもあります。珪藻土は製品ごとの価格の幅が大きく、高品質な製品を選ぶと漆喰より高くなる場合もあります。素材名で決めつけず、同じ部屋・同じ面積・同じ仕上げの条件で見積もりを取って比べることが大切です。
Q.珪藻土や漆喰は自分で塗れますか?
A.DIY用の製品はありますが、仕上がりと耐久性は技術次第です。小さな範囲やアクセントとして楽しむ分には良いのですが、リビングなど仕上がりが目立つ場所は、プロに任せた方が後悔が少ないでしょう。漆喰DIYの現実については、こちらの記事で本音を書いています。
Q.調湿効果が高いのは珪藻土と漆喰のどっちですか?
A.一般には、無数の穴を持つ珪藻土の方が調湿性能は高いといわれていますが、固化材の種類によって性能は大きく変わります。樹脂系の固化材が多い製品では穴がふさがれ、調湿性能が落ちる場合もあります。漆喰にも一定の調湿性はあるため、「珪藻土なら必ず調湿が良い」と単純には言えません。製品の性能表示を確認することをおすすめします。
Q.傷や汚れはどう直せばいいですか?
A.珪藻土・漆喰どちらも、材料を水で塗りやすい硬さに溶いて、傷の部分に塗り込めば補修できます。特別な技術は必要ありません。軽い汚れであれば、消しゴムやサンドペーパーで表面を軽く削る方法もあります。ただし、補修部分は周囲と色味が違って見えることがあるので、施工時の材料を少し保管しておくと安心です。
まとめ
珪藻土と漆喰は、どちらも自然素材を原料とした日本の伝統的な塗り壁です。珪藻土は調湿・消臭とナチュラルな風合い、漆喰は耐久性・防カビ性と上品な白さが持ち味で、どちらが優れているというより「向いている場面が違う」素材だと言えるでしょう。
そして「どっちが高い?」という疑問への答えは、手間の面では漆喰が高くなりやすいが、製品グレードと職人次第で逆転もある、というのが正直なところです。素材名で決めつけず、同じ条件で見積もりを比べることが大切です。
大切なのは「珪藻土か漆喰か」より、「製品の中身・施工する職人・見積もりの条件」で比べること。この3つを押さえておけば、10年後・20年後も「この壁にしてよかった」と思える塗り壁選びにつながります。
壁の色や質感は、部屋の用途によっても選び方が変わります。壁紙選びの考え方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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