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地盤調査の費用はいくら? 結果の見方と地盤保証、“報告書816件”のニュースから学ぶ確認ポイント

地盤調査

2026年7月、大手ハウスメーカーの子会社にあたる地盤調査会社が、地盤調査報告書816件を不適切に作成していたと発表しました。試験データの加工や、別の現場のデータの流用が、10年以上にわたって続いていたという内容です。

 

家づくりを検討中の方の中には、このニュースを見て「そもそも地盤調査って何を調べているの?」「うちの土地の報告書、見たことがないかも」と感じた方も多いのではないでしょうか。

 

地盤調査は、建築会社が手配して行うのが一般的です。そのため施主さんは費用も中身もよく分からないまま、「調査済みです」「改良は不要でした」という一言で済んでしまいがちです。しかし、地盤は家を支える土台そのもの。調査の中身を知らないままにしておくのは、少しもったいないと思いませんか。

 

この記事では、地盤調査の費用の目安、調査方法の違い、結果(報告書)の見方、地盤改良が必要になった場合の費用、地盤保証の仕組み、そして今回のニュースから施主さんが学べる確認ポイントを、専門知識のない方にも分かりやすく整理します。ぜひ最後までご覧ください。

 

◆こんな方のために書いています
⇒土地探し中、または土地を契約したばかりで、地盤調査の費用や中身が気になっている方
⇒「地盤調査済み」「地盤保証付き」と言われたけれど、何を確認すればよいか分からない方

 

◆この記事を読むとわかること
⇒調査方法ごとの費用の目安と、地盤改良が必要になったときの費用の幅
⇒地盤調査報告書の5つの見どころと、地盤保証・瑕疵保険で保証されること/されないこと

 

地盤調査とは? 注文住宅ではいつ・誰が行うのか

地盤調査で何を調べているのか

地盤調査とは、家を建てる土地の地面が、建物の重さをどれだけ支えられるかを調べることです。専門的には「地盤の許容応力度」(地盤が安全に支えられる重さの上限)を確かめる作業で、建築基準法施行令では、この許容応力度は国が定めた方法で地盤調査を行い、その結果に基づいて決めることとされています(令第93条)。

 

たとえるなら、大きな本棚を置く前に床がたわまないか確かめるようなものです。地面が弱いところに重い建物を載せると、建物全体が沈んだり、一部だけが沈んで家が傾く「不同沈下」が起きたりします。床が傾く、ドアが閉まりにくい、基礎にひびが入る、といった不具合は、この不同沈下が原因になることが多いのです。

 

もう一つ知っておきたいのは、地盤調査の結果によって選べる基礎の種類が変わることです。告示では、地盤の長期許容応力度が20kN/m²未満なら杭基礎、20以上30未満ならべた基礎か杭基礎、30以上なら布基礎も選べる、という区分が示されています(平成12年建設省告示第1347号)。つまり地盤調査は、「改良がいるかどうか」だけでなく、基礎の設計そのものの前提になっています。

 

地盤調査は、家を支える地面の強さを確かめ、基礎の設計の前提をつくる作業です。

 

いつ行う? 土地契約後〜設計中が一般的

注文住宅の場合、地盤調査を行うのは土地の契約が済んだあと、建物の配置がおおよそ決まった段階が一般的です。理由は2つあります。ひとつは、他人の土地に穴を開けることになるため、契約前には土地の所有者の許可が必要になること。もうひとつは、調査地点は建物の配置に合わせて決めるため、間取りや配置がある程度固まっていないと意味のある調査になりにくいことです。

 

また、古い家が建っている土地では、解体して更地になってからでないと調査ができません。そのため、土地の購入を決める時点では、地盤の強さが分からないことがほとんどです。ここが、地盤にまつわる費用の話が難しい最大の理由です。

 

とはいえ、契約前にできることがゼロというわけではありません。売主の了承が得られれば購入前に調査するケースもありますし、周辺の地盤データや過去の土地利用(田・池・川の跡など)から、ある程度の見当をつけることはできます。この点は後ほど「結果の見方」の章で触れます。

 

地盤調査は通常、土地契約後・配置決定後。土地を買う時点では地盤の強さが分からないのが普通です。

 

費用は見積のどこに入っている?

地盤調査の費用は、建物本体の工事費とは別の「付帯工事」「別途工事」といった項目に入っていることが多いです。木造住宅で一般的な調査方法(次の章で説明します)であれば、地盤調査会社が公表している目安で1回5〜10万円程度が相場感です(2026年9月時点)。会社によっては本体価格に含めていたり、地盤保証の費用と一緒に計上していたりします。

 

注意したいのは、調査費とは別に「地盤改良費」という項目があることです。見積書に「地盤改良工事 別途」「地盤改良費 未定」と書かれている場合、その金額は調査が終わるまで確定しません。調査費が数万円でも、改良が必要になれば数十万円から100万円を超える追加費用が出る可能性があることは、契約前に必ず頭に入れておきたいところです。

 

見積では「地盤調査費」と「地盤改良費」を分けて確認。後者は調査が終わるまで決まりません。

 

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地盤調査の方法と費用の目安 スウェーデン式サウンディング試験(スクリューウエイト貫入試験)が主流

スクリューウエイト貫入試験(旧称: スウェーデン式サウンディング試験)

木造住宅の地盤調査で最も多く使われているのが、スクリューウエイト貫入試験です。長く「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれてきましたが、2020年のJIS改正(JIS A 1221:2020)で名称が変わりました。もとになった国際規格に「スウェーデン」という国名が付いていないこと、日本の試験装置や方法が独自に発展して国際規格と異なるものになっていること、が理由とされています。略称の「SWS試験」は今もそのまま使われていますので、報告書や見積にどちらの名前が出てきても同じものだと思ってください。

 

試験の仕組みはシンプルです。先端がスクリュー(らせん)状になった鉄の棒(ロッド)におもりを載せ、地面にねじ込んでいきます。おもりを載せただけで沈むか、沈まなければハンドルを回して25cm沈めるのに何回(半回転)必要か、を深さごとに記録します。おもりを載せただけで、回転させなくても沈んでしまう状態を「自沈」といい、これが弱い地盤の目印になります(自沈については次の章で詳しく説明します)。

 

一般的な大きさの住宅では、建物の四隅と中央の5地点を調べます。調査にかかる時間は半日程度、費用は地盤調査会社の公表例で1回5〜10万円程度です(2026年9月時点)。深くまで軟弱な層が続く土地では、時間も費用も増えることがあります。

 

一方で、この方法は土そのものを採取しないため、土の種類(砂か粘土か)を直接見ることはできず、調べられる深さにも限界があります。簡便で安い分、分かることには限りがある調査だと理解しておくとよいでしょう。

 

木造住宅の主流はスクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式)。半日・5〜10万円程度が目安で、5地点で調べるのが一般的です。

 

ボーリング調査(標準貫入試験)

ボーリング調査は、地面に穴を掘りながら土を採取し、あわせて「標準貫入試験」で地盤の硬さを測る方法です。標準貫入試験では、63.5kgのハンマーを76cmの高さから落とし、サンプラーという筒を30cm打ち込むのに何回かかったかを数えます。この回数が「N値」で、地盤の硬さを表す代表的な数値です(JIS A 1219)。

 

土を直接採取できるので、土の種類や地層の重なり方、地下水の位置まで詳しく分かります。マンションや鉄骨造、地下室のある建物では標準的な調査で、木造住宅でも軟弱地盤が深く続く場合や、あとで述べる亜炭鉱の跡が疑われる土地などで採用されることがあります。

 

費用は地盤調査会社の公表例で1か所15〜30万円程度、日数は2〜3日程度が目安です(2026年9月時点)。木造住宅では「高いから普通はやらない」のではなく、「必要な土地では選択肢に入れる」調査だと考えるとよいと思います。

 

ボーリング調査は土を採取してN値を測る詳しい調査。費用は高めですが、深い軟弱層や特殊な土地では選択肢になります。

 

表面波探査

表面波探査は、地面を軽く揺らして、その振動(表面波)が伝わる速さから地盤の硬さを推定する方法です。穴を掘らないため敷地を傷めず、半日程度で終わります。費用は地盤調査会社の公表例で6〜12万円程度です(2026年9月時点)。

 

こちらも土は採取しないため、地層の種類を直接確認するものではありません。会社によって採用する調査方法は違うので、「なぜこの方法なのですか」と聞いてみると、その会社の考え方が見えてきます。

 

3つの方法を並べると

調査方法 費用の目安 所要時間 ひとこと
スクリューウエイト貫入試験 5〜10万円程度 半日程度 木造住宅の主流
表面波探査 6〜12万円程度 半日程度 掘らずに測る
ボーリング調査 15〜30万円程度 2〜3日程度 土を採取・詳しい

 

※費用は地盤調査会社2社が公表している目安の幅(2026年9月時点)。土地の条件や会社によって異なります。

 

調査費そのものは数万円〜十数万円。本当に差が出るのは、そのあとの「地盤改良費」です。

 

地盤調査の結果の見方 報告書のどこを見ればよいのか

地盤調査
調査結果イメージ

地盤調査が終わると、調査会社から「地盤調査報告書」が出てきます。数字と専門用語が並んでいて、最初は何を見ればよいのか分からないと思います。ここでは、施主さんが押さえておきたい5つのポイントに絞って説明します。

 

ポイント1: 調査地点の数と配置

まず、何地点調べたか、その地点が建物の配置とどう重なっているかを見ます。スクリューウエイト貫入試験なら、建物の四隅と中央の5地点が基本です。報告書には調査位置図が付いていますので、建物の配置図と重ねて、建物の下をきちんと調べているかを確認しましょう。

 

調査後に間取りや配置が大きく変わった場合、調べた地点が建物の下から外れてしまうことがあります。そのときは、追加調査が必要かどうかを建築会社に確認してください。

 

ポイント2: 自沈層の有無と深さ

報告書の中でいちばん大切なのが「自沈層」です。自沈とは、ロッドにおもりを載せただけで、回転させなくても沈んでいく状態のこと(JISでは「回転を与えずに静的に貫入する状態」と定義されています)。おもりの重さだけで沈むということは、それだけ地面が柔らかいということです。

 

国の告示では、基礎の底から2m以内に1kN(約100kg)以下のおもりで自沈する層がある場合、または2mを超え5m以内に500N(約50kg)以下で自沈する層がある場合は、建物の重さによる沈下などで有害な損傷や変形が起きないことを確かめなければならない、とされています(平成13年国土交通省告示第1113号)。つまり、浅いところに自沈層があると、地盤改良の検討が必要になる可能性が高いのです。

 

報告書では、深さごとの荷重(Wsw)と半回転数(Nsw)が表になっていて、自沈した深さには「自沈」と書かれていたり、色分けされていたりします。何mから何mに自沈層があるか、それが5地点のうちいくつで出ているか。ここを見るだけで、報告書の印象はかなり変わるはずです。

 

報告書で最初に探すのは「自沈層」。どの深さに、何地点で出ているかが、地盤改良の要否を左右します。

 

ポイント3: 換算N値

「換算N値」という欄もよく出てきます。N値は先ほどのボーリング調査(標準貫入試験)で測る硬さの数値ですが、スクリューウエイト貫入試験ではN値を直接測れないため、荷重と回転数から推定した値を「換算N値」として載せています。

 

あくまで推定値なので、数字だけで良し悪しを断定しないことが大切です。ただ、深さ方向にどう変化しているか(浅いところは小さく、ある深さから急に大きくなる=そこに硬い層がある、など)を見ると、その土地の地層のイメージがつかめます。

 

ポイント4: 盛土・埋土と地下水位

見落としやすいのが「盛土(もりど)」「埋土(うめど)」の記載です。造成のときに別の場所から運んできて盛った土は、自然に堆積した土に比べて締まりが弱く、時間とともに沈むことがあります。報告書に盛土の厚さが書かれていたら、その厚さと、盛土の下の地盤の状態をあわせて見てください。

 

地下水位も大切な情報です。地下水位が浅く、砂質の地盤である場合、地震のときに液状化(地面が液体のようになる現象)が起きやすいとされています。液状化への対応は地盤改良とは別の話になりますが、地下水位の記載があるかどうかは確認しておきたいところです。

 

ポイント5: 周辺の地形と土地の履歴 愛知の場合

報告書には調査した数値だけでなく、周辺の地形や土地の履歴(以前は田だった、池を埋めた、など)を踏まえた考察が書かれていることがあります。数字はあくまで「その地点・その日」の結果なので、地形や履歴とあわせて読むことで初めて意味を持つと考えてください。

 

愛知県で家を建てる方は、地域による地盤の違いが大きいことも知っておきたいところです。名古屋市は、東部の丘陵地(守山・千種・名東・天白・緑区、標高50〜100m程度)、中央部の台地(中・東・昭和・瑞穂区など、標高10〜15m程度)、そして北・西・南部の沖積地(川が運んだ土砂でできた低地。最も低い所で海抜-1.73m)の3つに大きく分かれます(名古屋市公式サイト)。

 

西側に広がる濃尾平野は、粘土やシルト、砂が重なった軟らかい地層でできていて、かつて地下水のくみ上げによる地盤沈下が進みました。環境省の資料では、愛知県内の地盤沈下面積は約740km²、海抜0m以下の「ゼロメートル地帯」は約207km²に及ぶとされています(令和6年度 地盤環境情報)。同じ愛知でも、東部の丘陵地と西部の低地では、地盤調査の結果も、改良費の出やすさもまったく違うのです。

 

さらに尾張北部の一部には、亜炭(石炭の一種)を掘った跡が地下に残る地域があります。亜炭鉱の空洞は通常の地盤調査では見つけにくいため、これは別の視点での確認が必要です。詳しくは次の関連記事をご覧ください。

 

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数字は地形・履歴とセットで読む。愛知は東部の丘陵地と西部の低地で地盤事情が大きく違います。

 

地盤改良が必要になったら 工法と費用の目安

地盤改良工事

 

代表的な3つの工法

調査の結果、「このままでは建物を安全に支えられない」と判定された場合、地盤改良(地盤補強)工事を行います。木造住宅で使われる工法は、軟弱な層がどの深さまで続いているかで大きく3つに分かれます(2026年9月時点、地盤調査・補強会社の公表資料)。

 

表層改良は、軟弱な層が地表から2m程度までの浅い場合に使う方法で、セメント系の固化材を土に混ぜて締め固め、地面の表層を板のように固めます。

 

柱状改良は、軟弱層が2mを超えて8m程度までの場合に使う方法で、セメント系固化材と水を混ぜたものを地中に注入・撹拌して、コンクリートのような柱を何本もつくり、その上に建物を載せます。木造住宅では最も多く採用されている工法です。

 

小口径鋼管杭は、軟弱層が8mより深くまで続く場合に、鋼管(鉄のパイプ)を硬い層まで打ち込んで建物を支える方法です。

 

工法 軟弱層の深さ目安 費用の傾向 ひとこと
表層改良 〜2m程度 比較的安い 浅い軟弱層向け
柱状改良 2〜8m程度 中程度 木造で最多
小口径鋼管杭 8m超も可 高め 深い軟弱層向け

 

費用は敷地の広さ、建物の大きさ、軟弱層の深さで大きく変わります。地盤調査会社が公表している目安では、木造住宅の地盤改良費はおおむね30万〜200万円程度と幅があり、深い柱状改良や鋼管杭になるほど高くなる傾向です(2026年9月時点)。

 

地盤改良は「軟弱層の深さ」で工法が決まり、深くなるほど費用は上がります。目安は数十万円〜200万円程度と幅があります。

 

「土地を買ってから分かる追加費用」という注意点

ここまで読んでいただいた方はお気づきかと思いますが、地盤改良費は土地を買ったあとに金額が分かる追加費用です。土地の予算を目一杯使ってしまうと、改良費が出た時点で建物側の予算を削ることになりかねません。

 

対策としてできるのは、資金計画の段階で地盤改良費の予備費を見込んでおくこと、候補地の周辺で建築会社が過去にどんな改良をしたかを聞いてみること、そして土地の契約前に地形や履歴(低地か台地か、田や池の跡ではないか)を確認しておくことです。周辺の家で改良が多い地域なら、最初から改良費ありきで予算を組んでおくと安心です。

 

また、「地盤改良は不要と判定されました」と言われたときも、なぜ不要なのか(自沈層がなかったのか、あっても深い位置だったのか)を一言聞いてみてください。判定の根拠を説明してもらうことが、次の章の地盤保証にもつながります。

 

なお、地震の揺れに対する建物側の強さ(耐震)や、水害への備えとしての基礎の高さ(高基礎)、ハザードマップの読み方については、それぞれこちらの記事で詳しく解説しています。ここでは「地盤が弱くても建物を強くすれば済む、という話ではない」ことだけお伝えしておきます。

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地盤改良費は土地購入後に確定する追加費用。予備費を見込み、判定の根拠を聞く習慣を持ちましょう。

 

地盤保証とは? 住宅瑕疵担保責任保険との違い

地盤保証の仕組み・期間・限度額

地盤保証とは、地盤調査や地盤改良工事を行ったにもかかわらず、地盤が原因で建物が不同沈下した場合に、建物を水平に戻す修復工事の費用などを保証する仕組みです。地盤調査会社や地盤保証会社が建築会社を通じて提供していることが多く、多くの場合、その裏付けとして損害保険会社との保険契約があります。

 

保証期間は引き渡しから10年または20年とするものが多く、保証限度額は1事故あたり最大5,000万円という例があります(2026年9月時点、住宅情報サイトの用語解説および地盤保証会社の公表資料)。対象になるのは、不同沈下によって建物に一定以上の傾きやひび割れが生じた場合で、ある業界団体の地盤保険では、床の傾き3/1000以上(1mで3mm)などを基準にしています。

 

ここで大切なのは、地盤保証は「調査会社の判定どおりに基礎や改良工事を行ったこと」が前提だという点です。改良が必要と判定されたのに予算の都合で省いた場合、当然ながら保証は受けられません。

 

地盤保証は10〜20年・限度額数千万円が一般的。ただし「判定どおりに施工したこと」が前提です。

 

保証の対象外(免責)の例

地盤保証には免責事項(保証されないケース)が必ず定められています。よくある例は、地震・液状化・噴火・洪水・津波などの自然災害による沈下、近隣の工事や盛土など第三者の行為による影響、などです。つまり、大地震のあとに家が傾いた、という場合は地盤保証の対象にならないことが多いのです。

 

「地盤保証付きなので安心です」という説明を受けたら、保証書や約款を見せてもらい、期間・限度額・免責事項・傾きの基準を確認しましょう。保証会社が倒産した場合の扱い(保険による裏付けがあるか)も聞いておくと安心です。

 

住宅瑕疵担保責任保険との関係

新築住宅には、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分について10年間の瑕疵担保責任が法律で義務付けられ、その資力確保のために住宅瑕疵担保責任保険(または供託)が使われています。では、地盤沈下で家が傾いたら、この保険で直せるのでしょうか。

 

答えは「地盤そのものは対象外だが、基礎の問題として扱われる場合がある」です。住まいるダイヤル(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)の相談事例では、地盤は土地であって住宅には含まれないため、地盤の問題そのものについて施工業者が瑕疵担保責任を負うわけではない一方、地盤の状況を把握したうえでそれに対応した基礎を設計・施工する責任は施工業者にあり、軟弱地盤に対応していない基礎で不同沈下が起きれば「基礎」の瑕疵として責任を負う、と説明されています。

 

また、住宅瑕疵担保責任保険協会のQ&Aによると、保険に入るには地盤調査報告書(またはそれに代わる書類)の提出が原則必要で、地盤改良が必要と判定されたのに発注者の予算の都合だけで改良を行わない場合は保険に加入できない、とされています。一方で、広い範囲の造成や自然災害による地盤変動は免責です。

 

整理すると、瑕疵保険は「基礎の設計・施工の欠陥」を、地盤保証は「地盤の調査・改良の判断ミスによる不同沈下」を、それぞれ補う関係にあり、どちらも自然災害は対象外という点は共通しています。

 

瑕疵保険と地盤保証は別物で、補う範囲が違います。「保証があるから」ではなく「何が保証されるか」を確認しましょう。

 

“報告書816件”のニュースから学ぶ 施主が確認できる7つのこと

 

何が起きたのか(2026年9月時点で分かっていること)

冒頭のニュースについて、発表元の公表資料をもとに事実関係を整理しておきます(2026年9月時点)。2026年7月24日、大手ハウスメーカーの子会社にあたる地盤調査会社が、2012年10月から2025年3月にかけて、少なくとも4名の担当者が816件の地盤調査報告書を不適切に作成・提出していたと発表しました。内容は、スクリューウエイト貫入試験の試験データやボーリング柱状図(掘った結果を記録した図)の加工、室内試験での他現場データの転用などです。同社は調査業務の多くを再委託していて、再委託先から届いたデータをもとに顧客向けの報告書を作る段階で行われていたとされています。対象は主に東北地方の物件です。

 

発覚のきっかけは、この会社の報告書に基づいて施工中だった物件で外構の路盤が沈下したことでした。調査を依頼していた側が別の会社に地盤調査を再依頼したところ、2つの報告書の内容に食い違いがあり、2025年7月に問い合わせたことから判明しています。

 

816件のうち、同グループが設計・建設した581件については、再調査が必要な19件を除き「安全性に問題なし」と発表されています。その確認方法は、社内に保管されていた当時の調査データ(多くは再委託先から届いた元データ)をもとに構造計算をやり直す、というもので、第三者機関による検証も順次進めているとのことです。弁護士と地盤工学の専門家による外部調査委員会が設置され、調査完了は2026年12月の予定です。

 

このニュースから学べるのは、「大手だから」「調査済みだから」で終わらせず、施主さん自身が報告書を手に取ることの大切さだと思います。発覚のきっかけが「別の会社の再調査との食い違い」だったことも、示唆的ではないでしょうか。

 

施主が確認できる7つのこと

1. 報告書の原本(全ページ)を受け取る 要約や口頭説明だけでなく、データ表・柱状図・調査位置図・写真を含めた原本をもらいましょう。将来の売却時にも役立ちます。

 

2. 調査日・調査会社名・担当者名・現場写真 いつ、誰が、どこで調べたのかが書かれているか。現場写真に自分の土地の特徴(隣家、電柱、境界など)が写っているかも見てください。

 

3. 調査地点の数と配置 5地点あるか、建物の配置と重なっているか。

 

4. 自沈層と換算N値の生データ 深さごとの荷重・回転数が載っているか。「総合判定」の1枚だけの報告書は要注意です。

 

5. 判定の根拠 「改良不要」「改良必要」の理由を、データのどこを見て決めたのか説明してもらいましょう。

 

6. 調査会社と改良工事会社の関係 調査と改良工事を同じ会社が行う場合、判定が工事の受注に影響しないか、という視点も持っておきましょう(そういう会社が悪いという意味ではありません)。

 

7. セカンドオピニオンという選択肢 どうしても納得できないときは、別の会社に再調査を頼むこともできます。スクリューウエイト貫入試験なら費用は数万円〜十数万円程度。数千万円の買い物を考えれば、選択肢として知っておく価値はあります。

 

「安全性に問題なし」を確かめる方法は、報告書を自分の目で見ること。7つの確認は、どれも特別な知識がなくてもできます。

 

工務店として、正直なところ

地盤調査は建築会社が手配し、調査会社が行い、報告書は建築会社に届きます。この流れの中に施主さんの出番がほとんどないため、報告書を見ないまま家が建つことは珍しくありません。(正直に言うと、施主さんの側から「報告書を見せてください」と言われることは、それほど多くないのが実感です。)

 

しかし、地盤は基礎の設計の前提であり、改良費という大きな追加費用の根拠であり、地盤保証の前提でもあります。だからこそ、実務者の立場としては、報告書が届いたら施主さんと一緒にページをめくる時間を取るべきだと思っています。自沈層はどこか、なぜこの判定なのか、この基礎で大丈夫と考える理由は何か。30分もあれば十分に説明できる内容です。

 

「見せてください」と言われて嫌がる会社は、まずないはずです。もし嫌がられたら、それ自体が一つの判断材料になるかもしれませんね。

 

地盤調査は任せきりになりやすい工程だからこそ、報告書を一緒に読む30分が、後悔しない家づくりの土台になります。

 

Q&A|地盤調査の費用でよくある質問

Q1. 地盤調査の費用は誰が払うのですか?

注文住宅では、建築会社が手配し、その費用は施主さんの負担として見積に計上されるのが一般的です(付帯工事や別途工事の項目に入っていることが多いです)。会社によっては本体価格に含めていたり、地盤保証料と一体で計上していたりするので、見積のどこに入っているかを確認しましょう。

 

Q2. 地盤調査をしないで家を建てることはできますか?

建築基準法施行令では、地盤の許容応力度は地盤調査の結果に基づいて定めることとされています。また、住宅瑕疵担保責任保険協会のQ&Aによると、保険加入には原則として地盤調査報告書の提出が必要で、2階建て以下の木造戸建てで現地調査チェックシートにより調査不要と判断される場合に限り、チェックシートで代用できる扱いがあります。実務上、新築の木造住宅で地盤調査を省くことはまずないと考えてください。

 

Q3. 地盤調査はいつ行いますか? 土地を買う前にできますか?

一般的には土地の契約後、建物の配置がほぼ決まった段階です。契約前は土地の所有者の許可が必要で、建物が残っていれば調査もできません。ただ、売主の了承が得られれば購入前に調査する例もあります。それが難しい場合でも、地形・土地の履歴・周辺の改良実績から見当をつけ、改良費の予備費を見込んでおくことが現実的な対策です。

 

Q4. 「地盤改良が必要」と言われたら、断ることはできますか?

判定に疑問があれば、根拠を聞いたり、別の会社に再調査を依頼したりすることはできます。ただし、予算の都合だけで改良を省くことは、住宅瑕疵担保責任保険に加入できない(保険協会Q&A)、地盤保証も受けられない、という結果につながります。「断る」のではなく「根拠を確かめる」という向き合い方をおすすめします。

 

Q5. 地盤保証があれば安心ですか?

保証は大きな安心材料ですが、万能ではありません。地震や液状化、洪水などの自然災害による沈下は免責とされることが多く、保証期間や限度額にも上限があります。「保証がある」ではなく、「何が・いつまで・いくらまで保証されるのか」「何が対象外か」を書面で確認することが大切です。

 

まとめ

地盤調査の費用そのものは、木造住宅で主流のスクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)なら5〜10万円程度と、家づくり全体から見れば小さな金額です。本当に差が出るのは、そのあとに決まる地盤改良費で、こちらは数十万円から200万円程度まで幅があり、しかも土地を買ったあとに確定します。

 

報告書が届いたら、調査地点の配置、自沈層の有無と深さ、換算N値、盛土や地下水位、そして周辺の地形と履歴。この5つを見るだけで、報告書はぐっと読みやすくなります。愛知県は東部の丘陵地と西部の低地で地盤事情が大きく違い、尾張北部には亜炭鉱の跡という別の視点もあります。

 

地盤保証と住宅瑕疵担保責任保険は別の制度で、補う範囲が違います。どちらも自然災害は対象外という点は共通していますので、「保証があるから」で思考を止めず、何が保証されるのかを書面で確認してください。

 

816件の報告書のニュースは、遠い地域の大きな会社の話に見えるかもしれません。しかし、発覚のきっかけが「別の会社による再調査との食い違い」だったことを思うと、施主さんが報告書を手に取り、分からないことを聞く、というごく当たり前の行動がいちばんの備えなのだと感じます。

 

家は地面の上に建ちます。10年後、20年後も床が水平で、ドアがすっと閉まる。そんな当たり前の暮らしを支えているのは、目に見えない地盤と、それを確かめた一冊の報告書です。任せきりにせず、一緒に読むところから、後悔しない家づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

 

なお、本記事の費用・制度・ニュースの内容は2026年9月時点の情報です。費用は土地の条件や会社によって異なり、制度も変わる可能性がありますので、検討の際は最新の情報をご確認ください。

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