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民法234条 建築基準法65条 隣地距離  2つの法 どっちが優先する?

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建築基準法 隣地距離

新築住宅を建築する際、どのように決めていますか?隣地境界線から建築予定の建物の外壁までの距離。

 

お宅の外壁はうちの境界線から50cm以上離れていますか?」

「そうでなければ建築を中止してください

 

と隣地(お隣Xさん)から言われたため、イメージ通りの新築住宅を建築できない、というAさんの相談を昨年受けたことがあります。

 

しかし、もうその時には工事が始まっていました。。。

 

なぜ昨日まで全く関係も何もなかった弊社に。。。

 

なぜ昨日まで全く関係のなかった弊社に???疑問ばかりが頭をよぎります。何か怪しいとさえ思いました。(苦笑)

 

話を聞いていくとその相談者Aさんの友達の友達が弊社で新築を建ててくださった方だったようで、弊社は当たり前に行っている近隣挨拶と着工前の案内を一緒に回った時の事を耳にされたようで羨ましいと思ったそうです。

 

なんかすごい巡り会わせだな~と思いながらもAさんに「なぜ設計士さんに相談しなかったの?」と聞くと、設計士さんがこう言ったそうです。「私は図面を書いただけで工事をしたのは工務店、発注したのはお施主さんでしょ?」

との事。。。当然工務店も「住むのはお施主さんだからお施主さんで解決してください。」だって。。。腐った設計士には腐った工務店がやっぱり付いているもので、設計士も工務店も責任放棄です。書いて終わり建てて終わりの典型ですね。。。

 

一番気の毒なのはお施主Aさん(相談者Aさん)です。そのAさんに、私が「なぜその工務店にしたの?」と聞くと、「設計士さんに工務店選びも任せていて、一番良心的な価格だったから」との事。要するに一番安かった?ってことかな?(安いものには訳があるのに~相見積がうまくいくケースってあるのかなのブログ)はこちら↓

 

いわゆる、設計士さんが仕切っての相見積(入札方式)というやつです。相見積もうまく機能すれば良い方法かもしれませんが、今回は最悪のパターンとなってしまいました。。。

少し話がそれますがお付き合いください。

(相見積がうまくいくケースってあるのかなのブログ)はこちら↓

ABCの3社がX設計士が書いた図面を見積もるとき。

A社は危険察知し設計士に助言ないしは提案を兼ねて最善の方法を見積もる。

 

B社は図面のとおり施工するだけで責任は設計士にあると、危険察知しながらそのまま見積もる。

 

C社は図面を見落としまくり見積もる。

 

当然見積金額の結果はA>B>Cとなり C社に決定となる。

—————————————

話を元に戻しましょう。境界線から50センチ以上・・・

根拠となっているのが、民法の234条です。

★★★
第234条(境界線付近の建築の制限)
建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
2.前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。
★★★

上記を外壁後退や外壁離隔距離などと呼びますが、上記の通り民法では境界線から50cm以上の距離を保つように定められています。

 

無視して建築しようとすれば、お隣さんから建築中止を要求されることがありますし、計画の変更を求められる事も

ありえます。

 

ですが、既に建物が完成してしまっている場合などは、撤去や改善を求められても現実的に応じるのは難しく、損害賠償のみを請求できるとされています。またそのような場合でもお隣さん自身がしっかりと隣地から50㎝以上離して建築していないと認められない場合があります。そりゃそうですよね、自分に甘くて人に厳しいってどうなの???

って感じです↓↓↓

神戸地裁 平成14(ワ)764

では、現実的には隣地からの距離が50㎝以上はなれている建物ばかりなのか?と疑問がわきます。都会の街を歩いて見渡せばわかるように、実際にはこの民法234条が守られていない住宅がかなり多いです。都会であればあるほど民法234条を遵守しすぎると、住みにくい住宅になってしまいがちです。ましてや、間口が狭い敷地であれば尚更です。

 

地域性にもよることなので、一概には言えませんが、50cm離さずに住宅を建築することは今までも、これからも数多くあるのは間違いありません。民法236条には以下のように書かれています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
第236条(境界線付近の建築に関する慣習)
前2条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

地域の慣習があれば、それが優先されるということです。

 

法ではこのように書かれていますが、大事なことは、その後その土地や住宅で住み続けるわけですのご、近所付き合いも考える必要があるということです。民法や慣習だけを持ち出して杓子定規に一方的な解釈で物事を進めることはトラブルの素となります。お隣さんとギクシャクしては相当住みづらくなります。民法は相隣関係の調整をする為にあると言っても良いと思います。お互いの権利の主張を角を立ててするよりも、【これ以上すると良くないよね】と言う自制する為の参考書と考えると良いのではないかと思います。(個人的意見ですが、、)

 

設計依頼を設計士や工務店にした場合は、その業者が当然に敷地調査や近隣環境調査に出向くためご自身での確認は不要かもしれませんが、これから住む街を知るという意味でも、時間を作ってその土地周辺を歩いて周囲をご自身で確認しておくと良いのではないでしょうか。

 

次に、関連する事として、

建築基準法65条

 

には以下のように記載されています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
第六十五条(隣地境界線に接する外壁)
防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この内容は、民法234条の内容と反するように見えます。防火地域や準防火地域については、基本的には商業地域をイメージしてください。繁華街や駅前の商業用に適した立地です。

このような地域では、外壁を耐火構造にしておけば、外壁を境界線に接することができるというものです。敷地の有効活用という点でも納得できるものではないでしょうか。

 

???民法では50㎝、建築基準法では問題なし???

 

頭がグチャグチャになりそうです。。。どちらの法が優先されるのか?それは法律にも優先関係があります。

一般法と特別法

 

一般法とは適用対象がより広い法です(今回でいう民法234条1項)。特別法は適用対象がより特定されている法で、一般法の規定だけでは不十分な特定の分野に関しての法です(建築基準法65条)。

 

過去の最高裁の判例でも、

建築基準法65条が優先される内容となっています。

最高裁判例  昭和58(オ)1413

 

参考までに裁判所URLはこちらです→裁判所URL

色んな事が載ってますので建築以外でも勉強になりますよ。

 

話は長くなりましたが、その相談者Aさんに、今後どうしたいのか?を聞くと出費は押さえたいし、お隣Xさんとは争いごとはしたくないとの事です。(みんなそうだと思います)

 

なんだかんだと話しているうちに情が入ってしまい、一回だけ同行することになりました。お隣Xさんにしたら何の関係もない業者がいきなり来ても「誰だあんたは?」となってもおかしくないのですが、(最初はそんな雰囲気でしたが)

何故か私が入った3者で話していくと、結局は設計士や工務店(相談者Aさんも含む建築側)が挨拶も一回も無く、しかも工務店関係者が我が物顔で敷地に入ってきている事がどうしても腹に据えかねたようです。

 

私自身が良い勉強となりました。

 

人と人は理屈や理論だけ分かり合える訳がなく、やっぱり人には感情がありますので心と心の話し合いが大切に思います。

 

今回の話の途中の設計士と工務店はいまだに営業をしています。しかもHPには≪誠実≫とか≪ノンクレーム≫とか

耳障りの良い ≪ 文 字 ≫ が書かれています。最善の努力をしてもどうしても起きてしまった事なら仕方ないとしても、今回の様な対応(最初から責任逃れ)をした事は同業者として悲しく思います。。。

 

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