「漆喰DIYはやめた方が良い」と検索して、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
漆喰の白い壁に憧れてはいるものの、「費用が高い」と聞いて、それならDIYで、、、と調べてみたら「素人がやると失敗する」「やめた方が良い」という声がたくさん出てきて不安になる。よくある流れだと思います。
結論から言うと、漆喰DIYは「やる範囲」を選べば十分楽しめますが、仕上がり勝負の場所はプロに任せた方が良い、というのが現場を見てきた立場の本音です。全部を否定するつもりはありません。
この記事では、漆喰のメリット・デメリットから、「漆喰DIYはやめた方が良い」と言われる理由、DIYでやるならどこまでが現実的なのか、汚れの落とし方や後悔しやすいポイントまで、プロの工務店の目線で本音で解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
※この記事は2019年9月に公開した記事を、2026年9月に加筆・修正したものです。記事内の価格は執筆当時の目安として残しています。
漆喰とは?
漆喰は「しっくい」と読みます。建物の外装でも内装でも使用できる、万能な仕上げ材料です。昔からお城や蔵の壁にも使われてきた材料で、便利さだけでなく、機能的にもデザイン的にも優れており、オシャレで快適な家を演出することができます。
漆喰はセメントやモルタルのように“塗る”材料ですので、塗り方によって独特のデザインを生み出し、世界で唯一無二の仕上げが完成するのが大きな魅力です。セメントやモルタルのような灰色の暗い色ではなく、白っぽく艶のない落ち着いた仕上がりになりますので、見た目も抜群です。(個人的には、ですが)
一方で、漆喰の家を最近あまり見ない、、、と感じるのには理由があります。この記事の中で、その理由も併せてご紹介していきます。
漆喰のメリット3つ
まずは、漆喰のオススメポイントから紹介していきます。
①デザイン性が独特
外壁でも内装でも“塗り壁”になるので、好みの塗り方で建物を演出することができます。同じ漆喰でも、塗り方によって見え方はまったく変わってきます。
コテの動かし方で模様を付けたり、あえてフラットに仕上げたり。クロス(壁紙)のように「同じ品番なら同じ見た目」にはならない、一点物の壁になるのです。
②耐火性に優れている
漆喰は耐火性能に優れている材料です。万が一火災が発生した際も一定時間、延焼を防ぐ効果があり、適合商品であれば耐火認定を取ることもできる“建築不燃材料”として認められています。
さらに、漆喰は燃えても有害物質を出すことがないため安心です。
③梅雨にも冬にも強い(呼吸する壁)
漆喰には調湿効果(湿度を調整する働き)があり、湿度が高いときには水分を吸い、乾燥しているときには水分を放出してくれます。いわゆる“呼吸する壁”なのです。
さらに殺菌効果や消臭効果も期待されており、ウイルスやカビを減らす効果も得られたりするようです。
漆喰のメリットは数多いのにもかかわらず、なぜ分譲住宅などには採用されることが少ないのでしょうか?
それはきっと、デメリットの影響が大きいからなんだと思います。
とはいえ、デメリットをクリアしていれば、漆喰はかなりオススメの材料です。
漆喰のデメリット3つ
①金額が高い
内装工事で比較してみます。一般的な内装の壁は、下地+プラスターボード(石膏ボード)の上に仕上げ材を施工する作りです。
仕上げ材は、クロス(壁紙)であったり、タイルであったり、今回ご紹介している漆喰であったり様々です。
工事費は「材料費+人件費+諸経費」がベースとなってきます。
一般的な住宅の内装仕上げはクロス仕上げがほとんどです。理由はシンプルで、クロスの方が単価が安いからです。
クロス仕上げの1㎡あたりの施工費は、量産品クロスの場合で1,000円未満。質の高いクロスの場合はその2倍、3倍以上します。それに対して漆喰仕上げは、1㎡あたりおよそ4,000円~5,000円と高額になります。
外壁と内装を漆喰で仕上げると、数十万円~数百万円の差が生まれるのです。
※この価格は当記事執筆時(2019年)の目安です。時期や地域、施工面積によって変わりますので、「クロスと漆喰でこれくらい差が出る」という感覚として捉えてください。
よって、漆喰は高額になるのであまり見かけない、というわけです。
②外壁仕上げには使用できない場合がある
漆喰は耐火性能が強いと紹介しましたが、外壁では使用できない場合や地域があります。商品によっては、外壁の防火認定として認定を得られていない場合があるから、というのが理由です。
特に防火地域など制限の厳しい地域では、漆喰仕上げを使用できないことがあります。外壁に漆喰を使いたい場合は、予定建設地と併せて工務店やハウスメーカーに問い合わせてみてください。
③傷に弱い
漆喰の原材料は石灰石等ですので、傷には弱いです。しかし、傷に弱いのはクロス仕上げでも同じことです。堅いものを壁にぶつければ傷つくことは、どの仕上げ材でも必然です。
こうして見ると、漆喰のデメリットは実は少ないのです。
しかし、価格で大きく差が出てきてしまうので、あまり分譲マンションや建売戸建て住宅には使用されていません。なぜなら販売価格が高くなってしまうから。。。漆喰の内壁をそこまで求める方が多くないのか、それとも作り手が漆喰の良さを体感していないから必要性を感じていないのか。これは正直わかりません(笑)
漆喰DIYはやめた方が良い?プロの本音
さて、ここからが本題です。「漆喰は高い。それならDIYで塗れば安くなるのでは?」と考えて検索すると、今度は「漆喰DIYはやめた方が良い」という声がたくさん出てきます。
漆喰は外・中関係なく「壁」に使え、天井にも塗ることができる万能な仕上げ材料です。新築や規模の大きい改修工事では専門業者により施工されることが多いですが、DIYで施工すること自体は可能です。
では、やめた方が良いのかどうか。先に結論をお伝えすると、「やめた方が良いかどうかは、塗る範囲による」というのが本音です。順番にご説明します。
「やめた方が良い」と言われる理由
漆喰DIYがやめた方が良いと言われるのには、それなりの理由があります。現場を見てきた立場からも、うなずける部分が多いです。
まず、塗る作業そのものよりも、下地処理と養生(周囲を汚さないための保護)が想像以上に大変です。DIYの動画では「楽しそうに塗っている場面」が中心ですが、実際の作業時間の多くは、マスキングテープを貼り、床を覆い、下地を整える地味な工程に取られます。ここで手を抜くと、仕上がりにそのまま出てしまいます。
次に、ムラやひび割れです。漆喰は水分量や塗り厚によって表情が変わる材料のため、慣れていないとコテムラが目立ったり、乾燥の過程でひび割れが出たりすることがあります。
そして意外と知られていないのが、広い面は「乾く前に塗り継ぐ」技術が必要という点です。途中で手を止めて乾いてしまうと、塗り継ぎの跡が線になって残ることがあります。一面を一気に仕上げる段取りと体力が求められるのです。
さらに、失敗した場合の補修もそれなりに大変です。クロスのように「一部だけ張り替える」ということができないので、目立つ失敗は面ごと塗り直しになる可能性もあります。
DIYでやるならここまで(道具と材料)
ここまで読むと「やっぱりやめた方が良いのか、、、」と思われるかもしれませんが、そうとも言い切れません。小さい壁1面のアクセントや、部分的な補修程度なら、DIYでも十分楽しめます。多少のムラも“味”になりますし、自分で塗った壁には愛着が湧くものです。
ちなみに、漆喰の主原料は石灰石を燃焼させ、さらに水を加えてできた「消石灰」になります。消石灰に糊(海藻糊)を加えてよく塗れる状態にしたあと、さらにスサ(繊維質の材料)を加えます。糊は保水力に有効であり、スサは接着力を強化しひび割れ等の防止に有効です。その他、塗る場所によって骨材や樹脂、化学繊維なども配合されます。色を調整したい場合には着色顔料も配合されます。
そんな事よりも、DIYする為にはある程度の道具が必要になります。
ブルーシート=養生
テープ=養生
左官コテ=仕上げの為
混ぜるもの=棒でも良いが平たいものORスコップ
(とにかく混ぜるもの)(笑)
材料=当たり前
水=適度の硬さに調整します。
あとは、汚れても良い服装と、たっぷりの時間を確保してください。
プロに任せた方が良いケース
一方で、次のようなケースは最初からプロに任せることをおすすめします。
まず、外壁です。外壁は足場が必要になるうえ、防火認定の問題も絡むため、DIYには向きません。高所作業は危険ですし、雨がかりする外壁は施工の質がそのまま耐久性に影響します。
次に、リビング全面など広い面積を仕上げたい場合。前述の「乾く前に塗り継ぐ」問題があるため、広い面ほど難易度が上がります。
下地から新しく作る場合や、仕上がりの美しさにこだわりたい場合も、プロの領域です。毎日目に入る場所のコテムラは、住んでから気になり続けてしまうかもしれません。
まとめると、範囲を選べば漆喰DIYは楽しい。仕上がり勝負の場所と外壁はプロへ。これが本音の答えです。
漆喰の汚れの落とし方3つ
漆喰には傷に弱いというデメリットがありましたが、明るい色合いであるため、汚れが目立ちやすいという面もあります。
しかし、普通の汚れであれば簡単な清掃程度で落とせることも多いです。まずは濡れた雑巾がけを試してみて、それでも落ちない場合は、次の方法を試してみてください。
①消しゴムを使う
消しゴムは意外と万能な道具です。工事現場では仕上げ工事後にクリーニングを施しますが、その際にも簡単な汚れであれば消しゴムを使用することがあります。どこの家にも一つはあるはずですので、一度試してみてください。
②重曹+キッチンハイターを使う
重曹を水で練ります。粘土のようなイメージです。それを汚れた部分に塗り、10分程度放置します。重曹を取り除いた後、希釈したキッチンハイターを吹きかけます。吹きかける物がない場合は、雑巾に染み込ませて塗ってもOKです。
さらに10分ほど放置してから水を吹きかけ、拭き取ることで汚れが落ちます。時間があるときにお試しください。その際、念のため換気は十分に行ってください。
③メラミンスポンジ・やすりを使う
メラミンスポンジは、細かい繊維で削って汚れを落とすことができる道具です。水を含ませて拭くことにより汚れが落ちます。
それでも落ちない場合は、紙やすりのようなサンドペーパーを使用してみてください。壁を削ることになるので、できるだけ目の細かいもの(#800以上が目安)を使用するのが良いでしょう。サンドペーパーは数字が大きい方が目が細かく仕上げ向き、数字が小さい方が粗削りに適しています。漆喰の仕上げの状態によって使い分けてくださいね。
使用する際は、汚れている部分だけをゆっくりと擦るようにしてください。他の部分に傷がついてしまうこともあるので、十分に注意が必要です。
漆喰で後悔しやすいポイント
価格が高いのは何とか理解した。わかったわかったと。。。でも、後で後悔はしたくない。
漆喰にして後悔したポイントとして比較的多いのは、
・汚れ
・寿命
といった、劣化に対する声です。漆喰はおおよそ10~15年程度で寿命を迎えると言われており、塗り直しの必要が出てきます。塗り直しはDIYも可能ですので、ご自身の好みに合った塗り方・デザイン・色で塗り直すこともできますが、少々骨が折れるかもしれません。
また、外壁に関しては足場を掛けなければならない為、専門業者に依頼することが必須となります。業者に依頼すると、その分費用がかさみます。
とはいうものの、これは漆喰に限った話ではありません。クロス仕上げでも汚れや継ぎ目が目立ってくれば張り替えが必要になることがありますし、外壁が塗装仕上げの場合やサイディング仕上げでも同じですね。サイディング仕上げの外壁は、目地部分の防水(コーキング)が寿命を迎えると改修は必須です。放置すると水漏れしやすくなります。(絶対に入るとは言えませんが、確率が上がります)万一建物内部に水が廻ると、内部の材料はすべておしまいです。
漆喰に限らず、どの仕上げ材にも寿命とメンテナンスは必要ですので、漆喰特有の大きなデメリットは少ないと言えるのではないでしょうか?
なお、10~15年が寿命の目安といっても、そのまま使用していてもかまいません。予算やタイミングに応じて、メンテナンスの時期はご自身で判断しても問題ないのです。
漆喰に関するよくある質問
最後に、漆喰についてよくいただく質問をまとめます。
Q1. 漆喰DIYはやめた方が良いですか?
範囲によります。小さい壁1面のアクセントや補修程度なら、DIYでも十分楽しめます。一方で、外壁・広い面積・下地からの新規施工・仕上がりにこだわりたい場所は、プロに任せた方が良いでしょう。詳しくは本文の「漆喰DIYはやめた方が良い?プロの本音」の章をご覧ください。
Q2. 漆喰にすると後悔しますか?
後悔の声として多いのは「汚れ」と「寿命」ですが、どちらも対処法があります。汚れは消しゴム・重曹・メラミンスポンジなどで落とせることが多く、寿命はどの仕上げ材にも共通の話です。事前にデメリットを知った上で選べば、後悔は少なくできると考えています。
Q3. 漆喰にする意味はありますか?
賛否両論あると思いますが、個人的には予算が許すのであれば是非採用したいと思います。室内の空気感の違いを体感してしまうと、採用したくなります。。。そんなことは分かっとる!その通りです。予算との相談が必要です。
Q4. 漆喰の寿命はどれくらいですか?
おおよそ10~15年程度と言われています。ただし、寿命が来たら住めなくなるというわけではなく、そのまま使い続けることも可能です。汚れやひび割れが気になってきたタイミングで、塗り直しを検討すれば十分です。
漆喰 まとめ
漆喰仕上げは、ご自身の好みのデザイン・仕上げで唯一無二の空間を作り出すことができます。
よくある建売の「同じような感じ」になることはなく、自慢のお宅が出来上がること間違いないでしょう。
しかし、それなりの予算もかかるため、バランスを考慮して選択することが大切です。
また、漆喰を選んだからといって、すべての部屋を漆喰にしなければならないというわけではありません。
個々の部屋はクロス、リビングは漆喰、といった使い分けもできますので、そのように分けるのも一つの選び方です。
漆喰DIYについても同じで、「全部自分で」でも「全部プロに」でもなく、範囲で使い分けるのが後悔しないコツだと思います。
ご参考にしてみて下さい。
なお、塗り壁の風合いには憧れるけれど予算が、、、という方には、塗り壁風の壁紙「珪藻土クロス」という選択肢もあります。関連記事はこちら。
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