「新築の庭にシンボルツリー(家の顔になる庭木)を植えたい。でも、落葉樹と常緑樹のどちらを選べばいいの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
落葉樹と常緑樹の違いを一言でいうと、「秋から冬に葉をすべて落とすか、一年中緑の葉を保つか」です。ただ、この違いがもたらすのは、庭の見た目や落ち葉掃除の話だけではありません。
実は、家のどちら側に、落葉樹と常緑樹のどちらを植えるかによって、夏の暑さ・冬の日当たり・外からの視線対策まで変わってきます。庭木は「外構の飾り」ではなく「家の設計の一部」。これが、住宅の現場から見た庭木選びの考え方です。
この記事では、落葉樹と常緑樹の違いを比較表で整理したうえで、家づくりの視点でのシンボルツリー・庭木の選び方、家のそばに植えるときの注意点、手入れが楽な庭木を選ぶポイントまで解説します。ぜひ最後までご覧ください。
※この記事は2026年9月に内容を加筆・更新しました。
⇒落葉樹と常緑樹の違いを知りたい
⇒手入れが楽なシンボルツリー・庭木を探している
◆この記事を読むと分かること
⇒落葉樹と常緑樹の違い(比較表)と代表的な樹種
⇒家のどちら側に何を植えると暮らしが快適になるか
落葉樹と常緑樹の違い【比較表】
まず、「落葉樹と常緑樹の違いは?」という疑問に結論からお答えします。落葉樹は秋から冬に葉をすべて落とす木、常緑樹は一年を通して緑の葉を保つ木です。
「葉の落ち方が違うだけ」と思われるかもしれませんが、この1つの違いから、四季の変化・落ち葉掃除・日差しの通し方・向いている場所など、暮らしに関わるたくさんの違いが生まれます。主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 落葉樹 | 常緑樹 |
|---|---|---|
| 葉の落ち方 | 秋冬に全て落ちる | 年中少しずつ入替 |
| 四季の変化 | 新緑・紅葉が魅力 | 年中緑で安定 |
| 落ち葉掃除 | 秋にまとめて | 年中少なめ |
| 日差しの通し方 | 夏は遮り冬は通す | 一年中遮る |
| 向く場所 | 南側の窓辺 | 目隠し・境界沿い |
※同じ落葉樹・常緑樹でも、樹種や品種によって性質は異なります。一般的な傾向としてご覧ください。
この表の中で特に注目していただきたいのが、下2つの「日差しの通し方」と「向く場所」の違いです。ここが家づくりと深く関わるポイントで、次の章で詳しく解説します。その前に、まずはそれぞれの特徴と代表的な樹種から見ていきましょう。
常緑樹の特徴と代表的な樹種
常緑樹は、名前のとおり一年を通して緑の葉を保つ木です。庭がいつも生き生きとして見え、秋にまとめて大量の落ち葉が出ないぶん、掃除の負担が少ないのがメリットです。
とはいえ、「まったく葉が落ちない」わけではありません。常緑樹も古い葉を少しずつ入れ替えているため、年間を通してぱらぱらと落ち葉はあります。ここは誤解されやすいところですね。
シンボルツリーとして人気のある常緑樹には、次のような樹種があります。
・ソヨゴ: 成長がゆるやかで手入れが楽。秋に赤い実がなる
・ハイノキ: 繊細な枝ぶりが美しく、成長がゆっくり
・常緑ヤマボウシ: 一年中葉を保つヤマボウシの仲間(品種)
・シマトネリコ: 軽やかな葉が人気。寒さで葉を落とすことがある
なお、シマトネリコは暖かい地域が原産の木のため、冬の寒さが厳しい場所では葉を落としてしまうことがあります(「半常緑」と呼ばれることもあります)。同じ常緑樹でも性質はさまざま、という一例です。
落葉樹の特徴と代表的な樹種
落葉樹は、春の新緑・夏の濃い緑・秋の紅葉・冬の枝ぶりと、四季の変化を一年通して楽しめるのが最大の魅力です。特に秋の紅葉は、庭を華やかに彩ってくれます。
一方で、秋から冬にかけて葉をすべて落とすため、落ち葉掃除の手間は常緑樹より大きくなります。掃除の時期が秋に集中する、と言い換えることもできます。
シンボルツリーとして人気のある落葉樹には、次のような樹種があります。
・アオダモ: 株立ちの樹形が美しく、成長がゆるやか
・ヤマボウシ: 初夏の白い花と秋の実・紅葉が楽しめる
・ハナミズキ: 春の花と秋の紅葉・赤い実が楽しめる
・エゴノキ: 初夏に小さな白い花が下向きに咲く
・シャラノキ(ナツツバキ): 初夏にツバキに似た白い花が咲く
・ジューンベリー: 春の白い花と初夏の赤い実が楽しめる
・イロハモミジ: 秋の紅葉の代表格
ここで1つ、注意点があります。ヤマボウシは「常緑ヤマボウシ」という品種の流通が増えていることもあって常緑樹と思われがちですが、ヤマボウシもハナミズキも、基本は落葉樹です。庭木として選ぶときは、落葉タイプか常緑タイプかを苗木の段階で必ず確認してください。
【家づくりの視点】落葉樹は南に、常緑樹は目隠しに
ここからが、この記事で一番お伝えしたい本題です。落葉樹と常緑樹の違いを知ったうえで「家のどちら側に、どちらを植えるか」まで考えると、庭木は暮らしの快適さを支えてくれる存在になります。
覚え方はシンプルです。落葉樹は南側の窓辺に、常緑樹は視線を隠したい場所に。それぞれの理由を解説します。
南側の落葉樹は「天然の日よけ」になる
南側の窓の近くに落葉樹を植えると、夏は生い茂った葉が強い日差しを和らげ、冬は葉が落ちて暖かい日差しを室内に取り込みやすくなります。
夏は日差しを遮り、冬は日差しを通す。これは、太陽や風といった自然の力を設計に活かす「パッシブデザイン」と呼ばれる考え方の定番手法の1つです。エアコンに頼りきる前に、まず建物と庭の工夫で夏の暑さ・冬の寒さを和らげよう、という発想ですね。
名古屋・愛知の夏の暑さは年々厳しく感じられますから、南側の窓に日よけの工夫をしておく価値は大きいと言えるでしょう。もちろん、日差し対策の主役はあくまで庇(ひさし)やシェード、窓そのものの性能で、木は補助役です。それでも、スイッチも操作もなしに「夏は日陰を作り、冬は自動で日差しを通してくれる」落葉樹の性質は、なかなかの優れものだと思いません?
常緑樹は一年中の「目隠し」になる
一方、常緑樹の「一年中葉がある」という性質は、目隠しにぴったりです。
リビングの大きな窓の外に道路や隣家の窓があると、視線が気になってカーテンを開けられない、というお悩みは本当によく聞きます。そんな場所に常緑樹を植えると、外からの視線を柔らかく遮りながら、窓からの眺めは緑になるという、一石二鳥の効果が期待できます。
逆に、落葉樹を目隠しに使ってしまうと、冬に葉が落ちて「家で過ごす時間が長い季節に、目隠しがなくなる」ことになりかねません。目隠し目的なら常緑樹、と覚えておいてください。
窓の目隠しについては、植栽以外の方法も含めてこちらの記事で詳しく解説しています。
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家のそばに植えるときの注意点
庭木を家の近くに植えるときは、建物側の立場から注意していただきたいことが3つあります。
1つ目は、「植えた時の大きさ」ではなく「成長した後の大きさ」で考えることです。植えた時は細く小さな苗木でも、樹種によっては10年後・20年後に想像以上の大きさになります。枝が屋根や外壁に触れたり、隣の敷地に越境してしまったりしないよう、成長後の樹高・枝張りを調べたうえで、建物や境界から距離を取って植えることが大切です。
2つ目は、地面の下の話です。木の根は意外に広く伸びるため、家の基礎や給排水管のすぐそばに大きく育つ木を植えると、将来、根が影響を及ぼす可能性がゼロではありません。また、エアコンの室外機のすぐ前に木を植えると、風の通りを妨げて効率が落ちる原因になることもあります。
3つ目は、落ち葉と雨樋(あまどい・屋根の雨水を集めて流す部材)の関係です。屋根より高く育つ落葉樹が家のすぐそばにあると、落ち葉が雨樋にたまって、詰まりの原因になることがあります。雨樋の詰まりは、外壁の汚れや雨水があふれる原因につながることもあるため、大きく育つ落葉樹は屋根から少し離すか、定期的に樹高を抑える剪定をおすすめします。
このあたりは、家が完成してから庭を考えるのではなく、間取り・窓の配置と一緒に「どこに何を植えるか」まで計画しておくと、失敗がぐっと少なくなります。
手入れが楽な庭木を選ぶポイント
「庭木は欲しいけれど、手入れに時間をかけられない」という方も多いのではないでしょうか。
手入れの負担を減らす一番のコツは、そもそも成長がゆるやかで、病害虫に強い樹種を選ぶことです。先ほど挙げたソヨゴやハイノキ、アオダモなどは、比較的手入れが楽なシンボルツリーとしてよく名前が挙がります。ただし、手入れがまったくいらない木はありませんので、最低限のお世話として次の3つを押さえておきましょう。
水やりのタイミングと量
植えたばかりの木は、まだ根が十分に張っていないため、土の乾き具合を確認しながらしっかり水を与えることが大切です。
特に夏場は乾燥が進みやすいので、日中の暑い時間帯を避けて、早朝や夕方に水やりをするのがポイントです。日ざかりに水をやると、土の中で水が温まって根を傷めてしまう心配があります。
一方で、植えてから数年たって根付いた庭木は、基本的に雨任せで育つ樹種も多く、日照りが続いたときに補う程度で十分な場合もあります。「毎日欠かさず水やりしないと枯れる」というイメージで庭木をあきらめている方には、少し安心していただける話ではないでしょうか。
水やりを含めた植栽のお手入れ全般については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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剪定の時期と方法
剪定(せんてい・枝を切って形を整えること)は、木の見た目を整えるだけでなく、風通しを良くして病害虫を防いだり、大きくなりすぎるのを抑えたりするためにも行います。
時期の目安は、常緑樹は寒さが緩んだ春先、落葉樹は葉を落として休眠している冬が一般的です。ただし、最適な時期は樹種や地域によって異なりますし、花の咲く木は切る時期を間違えると翌年の花が咲かなくなることもあります。
自分で切るのが不安な場合は、無理をせず植木屋さんや外構業者さんにお願いするのも1つの方法です。年に1回プロに整えてもらうだけでも見違えますので、「手入れの時間が取れないから庭木はあきらめる」と決めてしまう前に、選択肢に入れてみてください。
病害虫の予防と対策
病害虫を防ぐ基本は、定期的な観察と早めの対処です。特に新しい葉が出る春先は、虫や病気が発生しやすい要注意の季節です。
水やりのついでに葉の裏側をのぞく習慣をつけておくと、異変に早く気づけます。葉が食べられていたり、白い粉のようなものが付いていたりしたら、被害が広がる前に対処しましょう。
そして、繰り返しになりますが、病害虫に強い樹種を最初に選んでおくことが、一番の予防になります。樹種選びの段階で「この木は虫が付きやすいですか?」と植木屋さんや外構業者さんに聞いておくと安心です。
花・実・香りも楽しむ庭木選び
ここまで「日よけ」「目隠し」「手入れ」という実用の話をしてきましたが、庭木の楽しみはそれだけではありません。花や実、香りという「楽しみ」の視点も、ぜひ樹種選びに加えてみてください。
花や実を楽しむ
花や実のなる木を選ぶと、季節ごとの楽しみがぐっと増えます。例えば、ヤマボウシやハナミズキ・エゴノキの花、ソヨゴやジューンベリーの赤い実、ウメの花と実、秋のイロハモミジの紅葉などは、季節の風物詩として長く愛されてきました。
ジューンベリーのように実を食べられる木なら、お子さまと収穫を楽しむこともできます。実のなる木には小鳥が遊びに来てくれる楽しみもあります(そのぶん、食べ散らかしの掃除もセットになりますが)。
シンボルツリーを「花や実の楽しみ」で選ぶと、庭が家族の思い出の場所になっていきます。春に花が咲いたら写真を撮る、初夏に実を摘む、秋に紅葉を眺める。そんな小さな行事が、毎年の恒例になっていくはずです。
香りを楽しむ
香りで選ぶのも、庭木選びの楽しい切り口です。
ジンチョウゲ(春)・クチナシ(初夏。ガーデニアとも呼ばれます)・キンモクセイ(秋)は「三大香木(さんだいこうぼく)」と呼ばれ、季節の訪れを香りで知らせてくれます。ほかにも、ジャスミンやライラックなど、良い香りの花を咲かせる植栽があります。
玄関までのアプローチや窓の近くなど、人がよく通る場所に香りの木を植えておくと、帰宅のたびにふわっと香りが迎えてくれます。どこからともなくキンモクセイが香ってくる秋の夕方、いいですよね〜。
ちなみに、ヒノキや杉のように、花ではなく葉や幹そのものが香る木もあります。木の香りは、庭だけでなく家の内装材(床や天井の無垢材)でも楽しめるところです。
庭木・シンボルツリーに関するよくある質問
最後に、庭木選びでよくいただく質問にお答えします。
Q.落葉樹と常緑樹の違いは何ですか?
A.秋から冬に葉をすべて落とすのが落葉樹、一年中緑の葉を保つのが常緑樹です。この違いから、落葉樹は「四季の変化」と「夏は日よけ・冬は日差しを通す」働きが魅力に、常緑樹は「落ち葉掃除の少なさ」と「一年中の目隠し効果」が魅力になります。
Q.手入れが楽なシンボルツリーはどれですか?
A.成長がゆるやかで、病害虫に強い樹種から選ぶのがおすすめです。常緑樹ならソヨゴやハイノキ、落葉樹ならアオダモやエゴノキなどが、手入れが比較的楽な樹種としてよく選ばれています。ただし手入れがゼロで済む木はないため、年1回程度の剪定は見込んでおくと安心です。
Q.家のすぐ近くに木を植えても大丈夫ですか?
A.成長後の大きさを想定して、建物や境界から距離を取ることが大切です。基礎や給排水管、エアコンの室外機のすぐそば、屋根にかかる位置は避けるのが無難です。植えた時ではなく10年後・20年後の姿で考えることが、後悔しない配置のコツです。
Q.落ち葉の掃除が大変なのは、落葉樹と常緑樹のどちらですか?
A.まとまった量の落ち葉が出るのは落葉樹ですが、時期は秋から冬に集中します。一方の常緑樹も、葉の入れ替わりで一年中少しずつ葉を落とします。「秋にまとめて掃除するか、一年中少しずつ掃除するか」の違いと考えると、選びやすいのではないでしょうか。
まとめ:庭木も「家の設計の一部」として考えよう
最後に、この記事の要点を整理します。
・落葉樹と常緑樹の違いは「秋から冬に葉をすべて落とすか、一年中緑を保つか」
・落葉樹を南側の窓辺に植えると、夏は日よけ・冬は日差しを通す「天然の日よけ」になる
・常緑樹は一年中葉があるので、視線を遮りたい場所の目隠しに向く
・家のそばに植えるときは、成長後の大きさ・基礎や配管との距離・雨樋の落ち葉に注意
・手入れが楽な庭木を選ぶなら、成長がゆるやかで病害虫に強い樹種から
庭木は、植える場所と樹種の組み合わせしだいで、日よけにも目隠しにも、家族の楽しみにもなってくれます。だからこそ、庭木も家の設計の一部として、間取りや窓の配置と一緒に考えることが、後悔しない家づくりにつながります。
家が完成してから「さて、庭はどうしよう」と考えるのではなく、計画の段階で「南側のこの窓の外に落葉樹を」「道路からの視線はこの常緑樹で」と決めていく。その一手間で、10年後・20年後の暮らしの快適さは変わってくるはずです。
窓の配置と、日差しや外からの視線との関係は、図面よりも実際の建物で体感するのが一番分かりやすいものです。モデルハウスでも窓まわりの工夫をご覧いただけますので、庭木と窓の関係をイメージする参考にしてみてください。
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