賛否!!セルロースファイバーに欠点はあるのか。米国では人気者!?
「セルロースファイバーは自然素材だから安心」
「湿気を吸っちゃうから性能が劣る」
何かと賛否の多い断熱材ではないでしょうか
住宅の性能を確保するうえで断熱材の選定は重要になってきますが、
インターネット社会になった昨今、様々な情報が錯そうしており、
「じゃあ実際のところセルロースファイバーは断熱材として使用してもいいのか?」
と頭を悩まされる方もいらっしゃると思います。
結論としては
問題ないと思います。
グラスウールなどに比べ日本ではあまりなじみがない断熱材ですが、アメリカではシェア率No,1の断熱材です。またエコロジー基準、環境基準に厳しいヨーロッパ諸国も自然素材でかつ性能が良いため高く評価しています。
しかし必ずメリット・デメリットは存在します。また日本とアメリカやヨーロッパ諸国では気候や風土が違うので一概に性能評価できるものではありません。
今一度、セルロースファイバーの素材や性能、コストなどについて知って頂ければと思います。
是非参考にしてみて下さい。
素材は紙!セルロースファイバーの原材料
この記事のもくじ
セルロースファイバーは新聞紙や段ボール、木材などの自然素材を原料とした木質系断熱材です。
原料が自然素材のためやはりエコな断熱材といえます。製造方法は新聞紙や、段ボールなどを細かく粉砕し、ホウ素系薬剤を混ぜて作り上げられます。このホウ素系薬剤には防虫効果があり、ゴキブリやシロアリなどの害虫対策にもつながります。
日本はシロアリの多い国です。被害総額は今や、年間1000億円を超えるともいわれています。
このような観点からもセルロースファイバーを使用することは住宅の品質を確保できるといえます。
紙だからもしかしてすぐ燃えちゃうの?・・・
古紙や新聞紙など再利用しますので、すぐ火に燃えちゃうのではないかと思いの方もいると思います。
不安な気持ちになるとは思いますがもちろん大丈夫です。
先ほどでも述べましたホウ酸系薬剤が添加されております。
この薬剤は難燃剤としての役割を果たすため。火が燃え広がるのを防止してくれます。
防虫防止と耐火性能を持ち合わせた優れた薬剤です。
音が聞こえない?セルロースファイバーの防音効果とは
断熱材をセルロースファイバーにすると防音効果があります。
セルロースファイバーの中にある小さな空気孔が音を吸音してくれます。
たとえば布団にかぶって声を出してみると外には音が聞こえにくくなります。
それは音を伝える空気の揺れが布団の中にある繊維の小さな空気の中で反射し音をかき消し、吸音効果を生むからです。
家の中の生活音を外に聞かれたくない、外の車や電車などの騒音が聞こえないようにしたい、と思いの方は断熱材をセルロースファイバーで検討してみても良いと思います。
セルロースファイバーがもつ調湿効果とは
原料が古紙や新聞紙のため、水分を吸っちゃい断熱効果が下がるのではないかという声を
よく聞きますがセルロースファイバーは調湿効果を持っています。
調湿効果があると、結露発生を防止してくれます。
結露が発生してしまうとカビの原因やシロアリの被害にあってしまい最悪の場合、住宅の構造材まで傷めてしまうおそれがあります。
しかしセルロースファイバーは木質繊維の持つ高い吸放湿性があるため、湿気を吸っても放出してくれます。
万が一結露が発生する環境になったとしてもセルロースファイバーの調湿効果が結露によっておこる被害を防いでくれます。
が、しかし断熱材に調湿性能を求めるのはどうかと。。。個人的には思いますが、、、
気になる断熱性能は!?セルロースファイバーの断熱効果とは
これまで断熱性能とは違う性能効果を
説明しました。
では一体セルロースファイバーはどれだけの断熱性能があるのか
本質にせまってみましょう!
断熱材は熱伝導率と呼ばれる断熱効果を表す数値があります。
熱伝導率の数値が高いと熱の伝わる力が高く、数値が低ければ熱の伝わる力が低いとされています。よって数値が低ければ低いほど断熱効果があるということになります。
住宅で使用する断熱材で一般的に使用するのはグラスウールが広く普及しています。
グラスウール断熱材を簡単にご説明しますと
グラスウール断熱材とはガラス繊維で形成された断熱材です。家庭や工事現場などから回収されたリサイクルガラスを原料としおり、
細かなガラス繊維が複雑に絡み合いその中に小さな空気層作り、断熱効果をもたらします。
セルロースファイバーとグラスウールの断熱材の熱伝導率を比較してみます。
グラスウールの熱伝導率が0.045 W/(m K)に対して、セルロースファイバーの熱伝導率は0.034W/(m K)となり、セルロースファイバーのほうが数値は低いので断熱効果が高いです!
・・・っていわれてもどれだけの効果があるか実感がわきません
あいかわらず単位の読み方は意味不明です。(笑)
たとえば・・
沸騰したお湯の中に銀のスプーンを入れたときの事を想像してみて下さい。お湯の中に入れたスプーンはすぐさま熱くなり、手で持つは危険な状態になると思います。
今度はお湯の中に割りばしを入れたとします。
スプーンのように急激に熱くならずジワジワと割りばしの温度が上昇していくと思います。スプーンに比べると割りばしを持てる時間も長くなります。
そうすると結果、熱伝導率は銀のスプーンよりも割りばしのほうが低いといえます。
ちなみに鉄の熱伝導率は30 W/(m K)で木の熱伝導率は0.1W/(m K)となります。
これらに比べると断熱材の熱伝導率は非常に低い数値になるので断熱効果高いと言えます。
少し実感がわいてきたでしょうか
・・・単位の読み方は意味不明ですけど(笑)
しかしいくら性能の良い断熱材を使用したからといって必ずしも高い断熱効果が得られるとは限りません。
大事なのは施工です。
グラスウール断熱材は大工さんが入れることが多く、人間の手作業になってきます。
そうすると断熱を入れる際にすこし雑になり、本来壁の中は断熱材でいっぱいになるところが、余分なすきまが生じたりし、
十分な断熱効果が得られないおそれがあります。
いわゆる断熱欠損と呼ばれるものです。
それに対してセルロースファイバーは機械で吹込み、敷き詰めるように断熱材を充填し行くので断熱欠損のおそれが少ないとされます。
施工の観点からもセルロースファイバーのほうがメリットはあるといえます。
コストが高い!?セルロースファイバーの価格
結論セルロースファイバーはコストがかかります!
前述したようにセルロースファイバー断熱材を使用するとなると場合、機械で行っていく作業になります。
確かな施工技術をもった専門業者が専用の機械を駆使して、セルロースファイバー断熱材を充填していきますので、材料代はもちろん、施工費用もかかってくることになります。
そうすると大工さんが造作工事の中でおこなうグラスウール断熱材充填よりも、専門業者が行うセルロースファイバー断熱材充填工事のほうがコストがかかってくるのは必然になります。
一棟あたりにかかるグラスウールの断熱工事が坪あたり約10,000円だとした場合、セルロースファイバーの断熱工事は坪あたり約20,000円とし、約倍以上のコストがかかってくることになります。
断熱工事は住宅づくりにおいてとても大切な工程の一つとなります。
ここの部分をしっかりと検討できるかどうかで、住宅の性能に大きな差が生まれます。
今回はセルロースファイバーについてご説明しましたが、その他にもたくさん断熱材があります。
断熱材にこだわられる方もそうでない方も、自分たちが今後建てていこうとする住宅、または現在建っている住宅はどのような断熱材を使用し、どのような施工方法なのか知っておくのも大切なことだといえます。
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