「全館空調の家は快適そうだけれど、今の家にリフォームで後付けできるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
全館空調を設けると部屋ごとの温度差が少なくなり、室内の空気をクリーンに保てるといったうれしい効果が期待できます。ただ、結論からお伝えすると、全館空調の後付けは可能ですが、リフォームでの導入はあまりおすすめできません。
新築のお家をご検討されている方であれば、建設のタイミングで設置するのは問題ありませんが、後付けは家自体の工事が必要になってきます。
工事をすると家の気密性能(家のすき間の少なさ)が低下するおそれがあるため、損なわないように施工する技術が求められますし、リフォーム期間も要することから費用もそれなりにかかってしまうのです。
今回は、住宅づくりのプロが全館空調の後付けがおすすめできない理由と、リフォーム費用の考え方・工事期間・依頼する際の注意点をご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
※この記事は2026年9月に内容を加筆・更新しました。
⇒今の家への全館空調の後付けリフォームを検討している
⇒新築の家に全館空調を取り付けるか迷っている
◆この記事を読むと分かること
⇒全館空調の後付けがおすすめできない理由と費用の考え方
⇒リフォームで失敗しないためのチェックポイント
全館空調とは?設置すると暮らしにもたらす効果とは

全館空調とは室内の温度を温めたり冷やしたりする設備であり、家全体を快適な温度に保つ役割があります。
エアコンも室内の温度を快適に維持する設備ですが、各部屋ごとに設置しなければ機能を上手く発揮しません。
一方、全館空調は室内機からダクト(空気の通り道となる管)を通して各部屋の天井ごとに吹き出し口を作り、冷暖気を送る仕組みになっています。
リビング、洗面所、トイレなど全部屋の温度を一定に保つことができ、季節を問わず快適な温度を維持できるので、一年中過ごしやすいです。
お子さまやペットは室温が高すぎたり低すぎたりすると寝つきが悪くなったり、体調を崩しやすくなったりしてしまいますが、全館空調は部屋ごとに温度を調整できます。
温度差が激しくなりやすいお風呂場や脱衣所も一定に保つ設定をすることで、ヒートショック(急な温度差で血圧が大きく変動し、体に負担がかかること)対策にもなるのです。
全館空調には高性能なフィルターがついているタイプもあり、空気に含まれているホコリやカビ、ダニなどをきれいにしてくれるため、アレルギー持ちや敏感肌のご家族にうれしい設備でもあります。
このように全館空調は、住む人の暮らしと健康にいい効果をもたらしてくれるのです。
全館空調の後付けは可能!だけどおすすめできない理由

結論から言うと「全館空調の後付けは可能」ですが、リフォームでの導入が絶対におすすめだとは言えません。
全館空調の機能を最大限に発揮するには、気密性と断熱性が整っていることが前提だからです。
設備を設置できたとしても、気密性と断熱性が整っていなければ「余計に電気代がかかる」「思ったほど効果を体感できない」といったことが起こる可能性があります。
これから新築の家を建てるご家庭であれば全館空調の取り付けに問題はありませんが、リフォームで導入するときは慎重に考える必要があり、具体的には以下のポイントです。
- 現在の気密性能の把握
- 断熱性能の把握
- メンテナンスが伴うという心構え
- 過度な期待をしすぎない
- 予想以上に見積金額が張る(場合が多い)
- 配管スペースが思いがけないところを通る可能性がある
新築時に導入を検討されている方は、全館空調のメリット・デメリットをまとめたこちらのブログもぜひ参考にしてみてください。
全館空調の後付けリフォーム費用の考え方
全館空調システムにはさまざまなタイプがあり、どの会社のどのシステムを選ぶかや、家の広さ・状態によってリフォーム費用は大きく変わってきます。
一般的に、全館空調の導入には100万円を超える費用がかかることが多いといわれています。ただし、坪数や仕様によって幅がありますし、着工年が古い建物の場合は断熱工事(断熱材や窓の性能を高める工事)を追加で行う必要があり、さらに費用がかかる可能性もあります。
参考までに、主な全館空調システムの例を一覧にしておきます。
| 会社 | 全館空調システム名(例) |
|---|---|
| 三菱地所ホーム | エアロテック |
| 桧家住宅 | Z空調 |
| 三井ホーム | スマートブリーズ |
| ダイキン | デシカホームエア |
| パナソニック ホームズ | エアロハス |
| セキスイハイム | 快適エアリー |
| 住友林業 | エアドリームハイブリッド |
※上記は2026年9月時点で各社が公式サイトなどで紹介している主な例です。費用や仕様、リフォーム対応の可否は会社・商品・家の条件ごとに異なるため、必ず各社の公式情報や見積もりでご確認ください。
また、全館空調の寿命は10〜15年程度といわれます。導入コストだけでなく、メンテナンスコストや電気代、将来の入れ替え費用も考慮すると、最初の導入コストが多少高くても、設置後のランニングコストを抑えたほうが総合的に安くなる場合もあります。
ご希望の予算やランニングコストを比較検討するためにも、1社だけで決めず、複数の会社に見積もりを依頼することをおすすめします。
全館空調の後付けにかかる工事期間
全館空調のリフォーム工事のプロセスは以下の通りで、数日から1週間ほどかかるのが一般的です。
- 工事箇所を解体
- 本体・ダクトの設置
- 電気工事
- 工事箇所を修復
- 仕上げ工事
住みながらリフォーム工事ができるため、家を空ける必要はありません。
しかし、エアコンの設置と比べると工事日数がかかるので、費用も高めになることは押さえておきましょう。
全館空調を後付けする人がリフォーム依頼する際の注意点

「特段の検査や調査もなく、じゃあ全館空調工事をしましょう!」と言う業者さんは注意が必要です。
全館空調を設置する際には、家全体の気密性をチェックするために気密測定(家のすき間の量を専用の機械で測る検査)という作業をおこない、測定結果によっては全館空調をする前に気密化するための工事が必要になります。
気密性がある程度担保されていないと、計画的な換気が成り立たないからです。さらに、使用されているサッシやガラスの素材も確認し、断熱性が高いガラスへの変更が推奨される場合もあります。
気密測定やC値(家のすき間の大きさを表す数値)については、こちらの記事で詳しく解説しています。
新築であれば気密性、断熱性は一定水準の担保があると思いますが、築年数が古い家であれば窓ガラスだけでなく、全ての壁をチェックして、壁に対しても気密性、断熱性の工事を行うことも大切です。
※気密性や断熱性能については、新築工事をしていただいた工務店さんやハウスメーカーさんに聞いてみるとわかりますよー!
全館空調システム自体はエアコンと同様に室内機と室外機で動作を行いますが、室内機の設置場所でリフォームの内容も変化します。
室内機を屋根裏に設置するタイプと、室内に機械室を準備して設置するタイプの大きく2種類がありますが、メリットとデメリットは以下の通りなので参考にしてみてください。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 屋根裏設置 | ・部屋を広く使える ・部屋のレイアウトを自由にしやすい |
・屋根裏の室内機を点検するため、メンテナンスの手間がかかる |
| 機械室設置 | ・屋根の形状を生かした構造にできる ・ロフトなど屋根裏の小さいスペースを有効活用できる ・メンテナンスがしやすい |
・機械室を準備する分、その他の部屋が小さくなる |
全館空調リフォームに関するよくある質問
全館空調の後付けリフォームについて、よくいただく質問をまとめました。
Q1. 全館空調は後付けできますか?
後付け自体は可能です。ただし、全館空調の効果を発揮するには気密性・断熱性が整っていることが前提のため、家の状態によっては気密化や断熱の工事が別に必要になり、費用対効果が合わないケースもあります。
「後付けできるかどうか」だけでなく、「後付けして効果が出る家かどうか」を先に確認することが大切です。
Q2. 全館空調の後付けリフォーム費用はどのくらいかかりますか?
導入には100万円を超える費用がかかることが多いといわれますが、坪数・仕様・断熱工事の要否などの条件次第で大きく変わります(2026年9月時点)。
1社だけで決めず、複数の会社に見積もりを依頼して、内訳とランニングコストを比較することをおすすめします。
Q3. 後付けの工事期間はどのくらいですか?
数日から1週間ほどが一般的です。住みながらリフォーム工事ができるため、仮住まいは基本的に必要ありません。
Q4. 全館空調とエアコンはどちらがいいですか?
家の性能や暮らし方によって変わるため、一概にどちらが有利とはいえません。
ただ、気密性・断熱性の高い家であれば、エアコン1台でも家全体を快適に保ちやすくなります。全館空調にこだわらず、家の性能そのものを高めるという選択肢もあわせて検討してみてください。
全館空調の後付けをする際は費用対効果を考えよう

全館空調を新築の家に設置したり、リフォームで後付けしたりすることで、快適な温度やきれいな空気を保つことができるので、暮らしにもいい影響をもたらします。
エアコン単体の部分的な空調設備ではなく、家全体かつ空気までコントロールすることができるのが全館空調の強みですが、リフォーム費用や工事に時間がかかること、家の構造や工事のやり方によっては期待できる効果が得られないといったケースも出てきます。
後付けに失敗しないためにも、まずは全館空調がどのようなモノなのかを理解することが大切です。
さらに、複数の会社に見積もりを依頼し、後付けにかかるリフォーム費用だけでなくランニングコストも把握しながら、設置するかしないかをじっくり検討してみてくださいね。
また、気密性・断熱性の高い家なら、エアコン1台で家中を快適に保つという選択肢もあります。エアコン1台で本当に足りるのかどうかは、こちらの記事で詳しく解説しています。
全館空調で後悔したくない方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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