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失敗しないために!高気密高断熱住宅で知っておくべきキホンのポイント

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昨今、多くの住宅会社がPRしている高気密高断熱住宅。今回は家づくりにおいて重要な要素の1つである、高気密と高断熱の両方の観点から、新築を選ぶうえで抑えておくべきポイントをみていきましょう。

 

まずは、今回の記事の結論からです。

 

◆今回はこんな方の為に書いています。

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1. 断熱のキホン

 

最近は多くの住宅会社が「当社は高断熱仕様です」と何もないかのように当たり前のようにPRしています。しかし、着目したいポイントは実は断熱のレベルは会社によってかなり差があることです。

 

まずは「高断熱とは?」という基本的な内容を中心にみていきましょう。

 

1-1. 断熱性能とは

住宅の断熱性能とは?という基礎的な内容から解説をしていきます。

 

家(部屋)は、屋根・壁・床(基礎)で囲まれた空間になっていますが、これらの部位には断熱材が入っています。この断熱材の厚みや密度・種類などによって、家の外と中との熱を通しにくくする能力(性能)が変わってきます。

 

また、居室には必ず窓を設けなくてはいけない法律もあり、窓の性能も考慮していきます。そして、家全体での熱の逃げにくさを計算して算出します。

 

カンタンに言い換えれば、断熱性能とは家の保温性を示すもので、最終的によく出てくる用語であるUA値という指標で表されます。

 

 

1-2. UA値とは

ではそのUA値とは、家の断熱性能を表す指標として知っておくとよいでしょう。

 

家は ” 屋根・壁・床(基礎)で囲われている ” と説明しましたが、これらの外部の空間と接する部位から、どれだけ熱が逃げにくいか?を1つずつ計算して、平均値を算出したものがUA値です。

 

東西南北それぞれの壁(壁面や窓を含む)、屋根や天井、床や基礎、すべての「面」それぞれの熱の逃げにくさをU値という数値で算出してAverage(平均)するため、UのAverage、すなわちUA値といいます。

 

ここで抑えておくべきポイントは、同じ住宅会社であれば、同じ数値が出るわけではないことです。

 

家の大きさや形、窓の大きさなどで1邸1邸の平均値を出します。

 

そのため、同じ種類の断熱材・窓を使っていても、家の大きさ・間取り、窓の大きさなどでこの平均値であるUA値は左右されます

 

よく、「標準でZEHレベルの断熱仕様」という文言が見受けられますが、もしかしたら貴方の希望の間取りでは叶えることができないかもしれない、ということは知っておきましょう。

1-3. 断熱等級とは

つづいて住宅会社のホームページでも、よく出てくる断熱等級を中心に、用語の説明をしていきます。

 

まず断熱等級とは、UA値を基に家の断熱性能をランク分けした指標で、数字が大きいほど性能が高くなります(良くなります)。現在では7段階の指標が存在していますが、実は2022年4月までは断熱等級は4つの段階しかありませんでした。

 

地球温暖化対策や世界的な省エネへの取り組みとして、住宅分野でもさらに消費エネルギーを減らすことが必要となっており、高い断熱性能を持つ住宅の普及を国も推進しています。

 

7つの断熱等級の基準は、以下の通りとなっています。

 

等級 基準レベル UA値換算
断熱等級7 HEAT20 G3グレード UA値換算0.26 W/㎡・K
断熱等級6 HEAT20 G2グレード UA値換算0.46 W/㎡・K
断熱等級5 ZEHの断熱基準を満たす UA値換算0.6 W/㎡・K
断熱等級4 平成25年基準 UA値換算0.87 W/㎡・K
断熱等級3 平成4年基準 UA値換算1.54 W/㎡・K
断熱等級2 昭和55年基準 UA値換算1.67 W/㎡・K
断熱等級1 無断熱

※UA値は主に東京や大阪などの6地域を基準に記載

 

このような基準になっていますが、つい最近までは断熱等級4までの基準しかありませんでした。もっと言えば、ZEHやHEAT20という考え方として断熱等級4より高い性能は存在していましたが、「国の基準として設定をしていなかった」という方が正確でしょうか。

 

そのため2022年までは一部の住宅会社で、「断熱性能は最高等級」というPRを行っており、実態と表現方法がマッチしていない訴求がまかり通っていました。まあ言ったもん勝ちに近い状況です。使うモノ使えば技術の伴わない会社さんや職人さんが建てても断熱性能は最高等級です。

 

昨今は、建築業界にも少しずつ高い断熱性能に関する知見も広がってきていることや、この基準の新設に伴い、長期優良住宅やフラット35の適用見直しも行われてきています。それでは、高断熱にする目的や効果について、深堀していきましょう。

 

2. 高断熱にする目的と効果

断熱は、住宅の性能だけ見れば高ければ高いに越したことはありませんが、当然コストとのバランスや、お住まいの地域の気候状況も加味したバランス感も大事です。

 

ここでは、高断熱にするそもそもの目的や効果をいっしょにみていきましょう。

2-1. 高断熱にする目的

まず、そもそも高断熱化する目的は、「温熱環境の改善」「光熱費の抑制」の2つになります。

 

魔法瓶の水筒が、水筒内の温度を長い時間保つことができるように、家も保温性(断熱性)が高いことで冷暖房で調温した空気を、余計なエネルギーを使わず保持しやすくなります。

 

また、昔の断熱性の低い家を想像してもらうと、リビングは暖房が効いていても廊下や洗面は寒かったですよね。断熱性能が高い家は家全体の保温性が高いことから、居室ー非居室間の温度差を小さくできるメリットがあります。

 

ヒートショックといって、建物の中の気温差が大きいと血圧が急激に上下し、身体(特に心臓や血管)へ大きな負担をかける現象があります。

 

ヒートショックは最悪の場合、死に至る現象でもあり、温熱環境の改善自体は健康寿命の長寿命化にもつながります

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ヒートショック死亡者と交通事故死亡者数どっちが多い?

 

2つ目の「光熱費の抑制」ですが、保温性が高いと冷暖房も必要以上にエネルギーを使わなくても、快適な空間をキープすることができます。

 

わかりやすく言うと、冬季において昔の家では暖房26℃でフル稼働させないと寒かったのに対し、高断熱の家では暖房20℃設定でも快適な温熱環境が創り出せるわけです。(ここでの温度設定はあくまで例です)

 

また、代表的な冷暖房機器はエアコンですが、エアコン自体の能力も年々向上して相当高効率なレベルになってきております。

 

昨今は世界的にもエネルギー価格が急激に上昇しており、光熱費を抑えることはご自身の生活を守るという意味でも、家づくりにおいても不可欠な要素であります。

 

新築の時はイニシャルコストに目がいきがちですが、ランニングコストにも配慮することが大事です。

 

 

2-2. 高断熱の+αの効果

高断熱にすることによって、一般的によく言われる「快適性」と「冷暖房費の抑制」以外の効果があります。

 

それは、「家の間取りの自由度を高める」ことです。

 

昔の家は、部屋を大きくし過ぎると冷暖房が効かない、といったことになるため、各部屋を小さい単独の部屋で設計することが多かったです。(もっとも耐震上の理由や、考え方の違いもありましたが)

 

吹き抜けや天井高さの高いリビングなど、広い空間をもった間取りを断熱性の低い家で建築すると、住んでからの住み心地が悪くなるため、必然的に間取りの自由度が低いものになってしまっていました。

 

一方で断熱性能を高めることにより、空間を大きくしたり建具で仕切ることのない部屋を設計したり、と選択肢が広がりました。新築において多くの方が楽しみにしている、自分だけの間取りプラン。高断熱住宅では、この間取りの可能性を広げることがもう1つの大きな効果と言えます。住宅業界の巨匠も断熱を知ったおかげで間取りに自由度が増したと言ったとか。

3. 最適な断熱性能とは

ここまでくると、断熱性能を高くすること=良いこと、といった認識になる方が多いと思います。しかし、最高等級である断熱等級7が必ずしも最適である、とは限らないポイントが建築の少し難しい点です。

 

その理由はコストと建築場所の気候という要素です。

 

断熱を高くすれば、当然快適性やランニングコストは下がっていきますが、より性能良い断熱材や窓サッシを入れることはコストアップに直結します。

 

数十万円~数百万円のコストアップになるため、そこまでのお金をかけて「超」高断熱にするかどうかは、価値観次第となってきます。

 

また、寒冷地であれば断熱性能を極限まで高めることに意味がありますが、九州の比較的温暖な地域で、そこまでの高断熱が必要か否か、同じ地域でも日の当たり方が違う土地でも変わってきます。色んな判断軸が必要です。このようにバランスの良いところを住宅会社と探っていくことが大事ですが、そうは言っても最低限ならどのレベルがいいのか?どこがオススメなのか?も聞いておきたいですよね。

3-1. 一般地であれば断熱等級5~6がおすすめ

ただ、そうは言ってもどの程度がおすすめなのか?は知っておきたいという方は結論としては、一般地(東京や大阪などの6地域)では?

 

 

 

 

・最低限のレベル:断熱等級5(ZEH基準相当・UA値:0.6W/㎡・K以下)

・望ましいレベル:断熱等級6(HEAT20・G2グレード・UA値:0.46W/㎡・K以下)

 

 

 

この理由は、快適性やイニシャルコストとランニングコストとのバランスから、です。

 

快適性では、一般の方にとって快適性の差が感じられるレベルにも限界があり、その限界値がG2グレードであると言われています。

 

また、イニシャルコストの問題も大きく、断熱等級7(HEAT20・G3グレード)までになると、サッシも最高レベルの商品を採用する必要が出てきたり、間取りへの制限が高くなってきたりと、家づくりにおいての優先順位に影響が大きくなってきます。

 

ここは住宅会社ごとに差が大きくなるポイントでもあるため、「自分の建てる家・地域で納得のいく提案」をしてくれる会社を選ぶこと、が大事と言えます。

 

4. 気密のキホン

断熱の話につづいて、気密についても簡単に紹介していきます。

 

断熱性は、計算で算出できるものでしたが、気密は実際に建築した家で実測するところが大きく異なる点です。

 

ただ実は、この気密測定を行っている会社は意外と多くなく、2022年時点では全体の約2割程度と言われています。

4-1. C値とは

気密性能は「C値」という指標で表現されます。

 

家全体の隙間の合計(㎠)を建物の延べ床面積で割り算したものですが、カンタンに言い換えれば数値が小さいほど住宅の隙間が少ない、と覚えてもらうとよいでしょう。

 

一般的に、高気密住宅の目安となるC値は1以下であると言われています。C値に関しては断熱のように基準があるわけではありませんが、なぜ1以下なのか?については後述します。

 

4-2. 高気密の目的と効果

高気密にする目的は主に2つあり、換気がしっかりできることで温熱環境をコントロールしやすくなることと、家を長寿命化させることです。

 

1つ目のポイントである温熱環境ですが、約8割の新築住宅は「第3種換気」を採用しています。

 

機械換気で給気・排気を行う1種換気であれば、気密の影響は比較的少ないものの、隙間が多い家は換気がちゃんとできません。

画像引用:パナソニック

 

上図はパナソニックのホームページからの抜粋ですが、家の中と外の温度差によって、給気(外気を部屋の中に取り入れる)がどれだけされているか?を表すグラフです。グラフの左の数値(給気量)が0以下の場合、本来空気を吸ってこないといけない給気口から、むしろ外に空気が逃げている、という状態を表します。

 

これは24時間換気の設計をしていても、実態として全く換気ができていないことを表します。換気ができないと部屋の中の空気が滞留しやすくなり、特に冬季は壁内結露という現象につながり、家を急激に腐らせる要因の1つになり得ます。

 

5-1.高気密と言えるレベル

高気密の目安となるC値は1以下と言われていますが、1以下であれば換気の有効性からも計画的な換気がしっかりできる可能性が高くなります。

 

また、どんな建物でも平均的に1以下を出す会社であれば、施工精度も一定以上であると言えるため、気密性能を訴求している多くの会社が1以下となっています。

 

しかしC値はあくまで目安として、換気機器の選定や断熱材の種類なども、深く影響してくるため、1以上だと必ずダメ、という訳でもありませんので、あくまで参考程度のお考え下さい。意中の工務店さんに平均的なc値を聞いてみるのも良いかもしれませんね。

 

6.まとめ

断熱と気密に関する基本的な内容を紹介してきました。

 

断熱も気密も、性能にこだわることは大事なことですが、コストや目的などとのバランスをしっかり考えて住宅会社を選ぶこと、またその意味をしっかり分かっている住宅会社を選ぶこと、が最も失敗を防ぐ大事なポイントではないでしょうか。

 

家づくりでは、性能だけで比較しがちですが、ご家族が長く住まうものです。家族内の優先順位など、総合的に判断して楽しい家づくりにしてください。

 

今回の記事の結論です。

 

 

・高断熱として指標になる数値は、断熱等級5は最低限必要で、できれば断熱等級6(HEAT20 G2グレード)がのぞましい

 

・高断熱にする目的と効果は、部屋の温熱環境を向上させることと、光熱費(冷暖房費)を抑えることができることです

 

・高気密の目安となるC値は1以下で、平均的に1以下であれば、住宅会社の施工レベルも一定以上であることがわかる

 

・高気密にする目的と効果は、換気がしっかりできることで温熱環境をコントロールしやすくなることと、家を長寿命化させることです

 

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