「新住協(しんじゅうきょう)って何の団体?」「工務店のホームページでよく見かけるけど、何をしているところ?」と気になって検索された方も多いのではないでしょうか。
先に結論からお伝えすると、新住協の正式名称は【新木造住宅技術研究協議会】。高気密高断熱住宅(すき間が少なく、断熱性能の高い住宅)の普及に取り組む、全国の工務店・設計事務所・研究者などが集まる技術団体です。名前だけ聞くと固そうですが、要は【家の性能を本気で勉強している人達の集まり】です。
実は、この記事を書いている私自身が、新住協の会員工務店の中の人です。この記事では、新住協とは何をしている団体なのか、Q1.0住宅・QPEXといったキーワードの意味、そして会員だからこそ分かるメリット・デメリットや会員工務店の探し方まで、本音で解説していきます。会員なのに書きにくい正直な話も包み隠さず書きますので、ぜひ最後までご覧ください。
※この記事は2026年9月に内容を加筆・更新しました。
◆今回はこんな方の為に書いています。
⇒工務店選びの中で【新住協】という言葉を見かけて気になっている方
⇒高気密高断熱住宅を候補に入れて会社選びをしている方
◆今回の記事を読むとこんなことがわかります。
⇒新住協の正式名称・読み方・何をしている団体か(Q1.0住宅・QPEXについても)
⇒会員工務店から見た新住協のメリット・デメリットと、会員の探し方
新住協とは?正式名称と何をしている団体か
まずは、新住協について。めちゃくちゃ簡単に言うと、高気密高断熱住宅の普及に取り組む意思を持つ、勉強熱心な全国の工務店が集まる団体です。読み方は「しんじゅうきょう」。その新住協の活動理念は、【良質な住宅が誰にでも求められるように(ともに進化する)こと】がモットーです。
歴史も簡単に紹介すると、前身の【新在来木造構法普及協議会(新在協)】が発足したのが1989年。1995年に【新住協】へ改名し、2004年(平成16年)にはNPO法人になりました。現在は【一般社団法人 新木造住宅技術研究協議会】として活動していて、代表理事は久保田淳哉氏、会長は室蘭工業大学名誉教授の鎌田紀彦氏です(新住協公式サイトより・2026年9月時点)。
新住協は開かれた技術集団です。この「開かれた」がポイントではないか?と思います。
建築業界にはいろんな理念のもと、色んな団体がありますが、そのほとんどが団体・組織の中でだけ技術や情報をクローズしてしまう事が多いのです。ところが新住協は、技術や各情報をどのような人に対してもオープンにしています。せっかくの優れた技術や情報も多くの人に知られてこそ、その価値が増大していき、高気密高断熱の良質な住宅が日本に1件でも多く建築されていく事で住宅被害者を減らし、かつ日本のエネルギー問題にも貢献できていくものだと考えているからです。
新住協は、特定の営利団体からは独立した、開かれた民間の技術開発団体です。これまで、全国の工務店、設計事務所、建材メーカー、建材販売店、大学や公共の研究機関が参加し、住まいづくりの実践現場と研究機関とが係わり、生きた情報を交換し合うことで、革命的な住宅技術を開発してきました。そして、その技術を独り占めすることなく、お互いにわかちあうことで、より安価で高品質な汎用技術へと育ててきました。
会員になると、支部の勉強会や年に一度の総会などで、最新の技術や施工の納まり(部材同士の取り合い部分の処理)まで共有されます。教科書の話で終わらず、現場でどう施工するかまで話し合うのが、新住協らしいところだと思います。
新住協の活動目的
新住協の活動目的としては、次のような文章が掲げられてきました。
この法人は、良質な住宅の普及を望む市民と住宅供給に携わる研究者や技術者が協働して、各種木造工法住宅の技術研究に取り組み、誰でもが良質で安価な住宅が求められる社会環境を構築する事業を行い、それらの活動が社会的に、豊かな住文化の育成、地球環境の保全、住宅技術の振興及び地域経済の活性化に寄与することを目的とする。
※NPO法人当時の新住協公式サイトより抜粋
現在の新住協公式サイトでも、【誰もが良質な住宅を求められる社会を目指して】という言葉が掲げられています(2026年9月確認)。固い文章ですが、要するに【いい家を、特別な人だけでなく誰でも手に入れられるようにしよう】という事です。作り手の私が言うのもなんですが、シンプルに良い理念だと思います。
Q1.0住宅(キューワンじゅうたく)とは
新住協を語るうえで外せないのが、新住協が提唱する【Q1.0住宅(キューワンじゅうたく)】です。公式サイトでも「Q1.0住宅を日本のスタンダードに」という目標が掲げられています。
ざっくり言うと、国の省エネ基準レベルの住宅と比べて、年間の暖冷房費(暖冷房にかかるエネルギー)を半分以下にすることを目指す住宅です。断熱を強化するならどこに重点を置くか、太陽の熱を冬はどう取り込み、夏はどう遮るか。それを理屈と経済性の両面から設計していきます。気候区分に応じて4つのレベルも設定されています(新住協公式サイトより・2026年9月時点)。
「高性能な家」と一言で言っても中身は様々ですが、Q1.0住宅は【“燃費”を計算で確かめながら造る家】とイメージしていただくと分かりやすいと思います。
QPEXとは
そして新住協と言えば、QPEXというシミュレーションソフトで、暖冷房費のシミュレーションができる事が特徴です。家のどこから熱が逃げやすく、どこを強化しなければいけないのか等が一目瞭然でわかり、その対策が練りやすいのも特徴です。
QPEXの入力項目一部紹介。
方位・隣地の状況・距離・基礎形状・サッシグレード・ガラス種・庇の出幅と高さ・屋根壁断熱仕様・屋根壁構成・換気種別とその能力・設定温度等の入力項目を入力していきます。
(めちゃくちゃある。。。と思った方。。。実はまだまだあります。ほんの一例です)(-_-;)
このQPEXがあるからこそ、「なんとなく暖かそうな家」ではなく、「暖房費が年間これ位になりそうな家」という話ができるわけです。
新住協のメリット・デメリット(会員の本音)
新住協の会員数は年々増加していっております。それだけ、高気密高断熱住宅へのお客さんからの需要の高まりと、私達作り手の意識の向上があると思います。
年に一度の総会などは異様な雰囲気で、総会だけではモノ足らず、その後の懇親会・二次会三次会までも建築談議が続くような、変態の集まりと言ってもよいかもしれません(笑)*変態とは最上級の誉め言葉です。
ここからは、そんな新住協に実際に入っている会員工務店から見た、メリットとデメリットを本音で書いていきます。
新住協のメリット
まずは、建築の温熱に対する考え方が変わる事が挙げられます。「断熱材を入れたから暖かいはず」ではなく、「この家はどこから熱が逃げて、暖冷房費がどれ位かかりそうか」を計算で確かめる習慣がつきます。
そしてもう一つが、先ほど紹介したQPEXの存在です。暖冷房費のシミュレーションができるので、断熱を強化したら暖房費がどれだけ変わるのかを、数字で比較しながら仕様を決められます。感覚や営業トークではなく、計算をもとに話ができる。これは建てる側にとっても、住む側にとっても大きなメリットだと思います。
そして、その積み重ねの先にあるのが、冬暖かく夏涼しい暮らしと、無理のない光熱費です。数値そのものが目的ではなく、快適に暮らせるかどうかが本題。ここを外さないのが新住協の考え方だと感じています。
新住協のデメリット?
会員で非常に書きにくいのですが、、、温熱一辺倒の建築の場合、意匠性(デザイン性)が少し難ありになってしまう事。(ウチの場合だけかもしれません)。温熱性能を担保しつつ、意匠性も日々勉強しています。
次に、価格が上がって行き過ぎる場合がある事。断熱材一つとってみても、いい物をもっともっととやっていくと確かに性能は上がりますが、それに伴い価格も上がっていきます。その地域の丁度良いレベルを探し、住まい方と相談して、オーバースペックにならないように建築する事が重要だと思います。QPEXを活用し、丁度良いを探しましょう。
新住協の会員はどこにいる?名古屋・愛知での探し方
「新住協が何をしている団体かは分かったけど、それで、会員の工務店はどこにいるの?」という話です。
新住協の会員さんは全国各地に散らばっており、それぞれの地域で潜んでおります(笑)。この潜んでいるという表現は。。。ほぼ共通して言えるのが皆、広告宣伝などに疎く、自らガンガンと前に行くような営業をしていないので、あまり知られていなかったりします。良い物を【モクモクと創る】イメージです。派手な広告よりも、住んでいるお施主さんの紹介や口コミで仕事が続いている会社さんが多い印象です。しかし、いざ話し出すと、高気密高断熱の事や住宅の事は止まりません。
名古屋エリアは、新住協の中部東海支部エリアに属しています。関東以北程ではありませんが、多数の会社さんが所属していて、みな日々切磋琢磨して高気密高断熱住宅を建築しています。
会員を探すときは、新住協公式サイトの会員ページが便利です。都道府県・市町村から探せるほか、支部ごとの会員名簿も見られるようになっています(2026年9月確認)。
また、【新住協○○】とHPで検索してみるのもおすすめです。(○○には地域名を入れてみてください)。あなたの町に潜んでいる会員さんが、案外近くに見つかるかもしれません。
新住協の会員でも差がある!?(正直な話)
これは正直な話、、、あると思います。
新住協=高気密高断熱住宅のスペシャリスト!というイメージが強く、そのイメージ欲しさに加盟している会社さんもあります。こればっかりは、直接色んな話をしてみないと分からないと思います。一番衝撃だったのが、ある総会の時の事。休憩中の立ち話での会話、【高気密高断熱の仕方を知っている事が重要で、QPEXが欲しかったの。使うかどうかはわかりませんけど】。これ、同じ新住協の会員さんの言葉です。いまだにその会社さんは加盟しています。。。
新住協の中ですら意識の差があるので、もっと範囲の大きな建築業界では、もっと多くの考え方が存在します。それぞれの会社さんで考え方が違い、それぞれの良さがあると思います。どんな建築よりも【高気密高断熱が何よりも最高だ!】と声高らかに押し付けたりしませんが、住み続ける為の生涯コストを見た時、高気密高断熱住宅を候補の一つに入れて考える事は良い事だと思います。
では、高気密高断熱住宅に対しての、メーカーさんや工務店さんの意識レベルを知るための質問はこちら。
【C値って何?】
【Q値って?UA値は何?】
【断熱欠損って何の事ですか?】
【気密層って何?どこでとってますか?】
【高気密高断熱住宅って息苦しいって聞きますが本当ですか?】
今検討中の工務店さんやメーカーさんに、ぜひ聞いてみてください。質問の意味が分からなくても大丈夫です。専門用語を並べて煙に巻くのではなく、あなたに伝わる言葉で説明しようとしてくれるかどうか。そこを見るだけでも、その会社さんの高気密高断熱への姿勢はかなり見えてきます。
C値・Q値・UA値って何の事?という方は、こちらの記事で予習できます。関連記事はこちら
新住協に関するよくある質問
最後に、新住協についてよくいただく質問にお答えします。
Q.新住協とはどんな団体ですか?
A.高気密高断熱住宅の普及に取り組む、全国の工務店・研究者などが集まる技術団体です。正式名称は【新木造住宅技術研究協議会】。技術を会員の中だけで囲い込まず、誰に対してもオープンにしている「開かれた技術集団」です。2004年(平成16年)にNPO法人となり、現在は一般社団法人として活動しています(公式サイトより・2026年9月時点)。
Q.新住協はなんと読みますか?
A.「しんじゅうきょう」と読みます。【新木造住宅技術研究協議会】の略称です。あわせて、新住協が提唱する「Q1.0住宅」は「キューワンじゅうたく」と読みます。工務店との打ち合わせで出てきても、これで慌てずにすみます。
Q.新住協の会員工務店はどうやって探せますか?
A.新住協公式サイトの会員ページから探せます。都道府県・市町村や支部ごとに、会員の工務店・設計事務所を探せるようになっています(2026年9月確認)。あわせて【新住協○○(地域名)】で検索してみるのもおすすめです。詳しくは本文の「会員はどこにいる?」の章をご覧ください。
Q.新住協の家は高いですか?
A.仕様によっては価格が上がる場合もあります。断熱材や窓をいい物にすればするほど、性能と一緒に価格も上がっていくためです。だからこそ会員は、QPEXで暖冷房費をシミュレーションしながら、その地域・その住まい方にとっての「丁度良い」を探します。オーバースペックを勧めない提案ができるかどうかが、腕の見せどころだと思います。
まとめ:高気密高断熱住宅を候補の一つに
新住協(新木造住宅技術研究協議会)について、会員工務店の目線でまとめてきました。
新住協は、高気密高断熱住宅の技術を誰にでもオープンにしている、開かれた技術集団です。QPEXという計算ソフトで暖冷房費を確かめながら、その地域・その家族にとって丁度良い性能を探していく。この考え方は、後悔しない家づくりの大きな武器になると思います。
一方で、新住協だけが良い団体とは限りません。ほかにも良い団体は多数存在しますし、正直な話、同じ新住協の会員の中にも意識の差があります。大切なのは団体の名前ではなく、目の前の担当者が自分の言葉で温熱の話をできるかどうか。本文で紹介した5つの質問を、ぜひ活用してみてください。
住み続ける為の生涯コストを考えた時、高気密高断熱住宅を候補の一つに入れて考える事は、10年後・20年後の暮らしにきっとプラスになるはずです。
愛知県小牧市のモデルハウスでは、新住協で学ぶ会員工務店が建てた高気密高断熱住宅を、実際に体感していただけます。数字の話は本やネットでも学べますが、体感だけは現地でしかできません。気になる方は、ぜひ一度遊びに来てください。
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